【遠藤航】実ったベルギー移籍!レベルアップし、カタールW杯の支柱へ

 ベルギー1部シント=トロイデンは、浦和レッズの日本代表DF遠藤航を完全移籍の契約で基本合意したと発表した。
 ロシアW杯のメンバーに選出されたものの、大会中の出場は叶わず。湘南ベルマーレ所属時から海外移籍の願望を表していたが、帰国後のリーグ初戦を自身の2得点で勝利を飾ったところで、ヨーロッパ行きが決まった。

 プレーヤーの原点はトップ下から始まった。「ボールの溢れる先」を読み、そこから得点につなげていた。もともとはユース志望だったが、セレクションで落選。地元の中学でプレーするも、同世代のFW宇佐美貴史やMF柴崎岳といった全国的存在とは無縁の位置にいた。転換点となった一つは、中2の冬。チームに経験者がいない事情からCBへ転向した。「右も左もわからなかった」状況から持ち前のポジショニングセンスや読みの鋭さから体格をカバーしてプレーヤーのレベルを向上させる。中3時には神奈川県の国体メンバーにも選ばれて優勝を飾り、一気に全国区の選手へと階段を駆け上がった。
 オファーを受け、湘南ベルマーレユースを進路として選択すると、ユース年代の日本代表として継続招集を受けるようになる。中盤より後ろならばどこでもこなすことのできるユーティリティー性と戦術理解度から各年代の監督に重宝されてキャプテンを務めるようにもなる。

 しかし、飛び級で招集されたAFC U-19選手権2010では3失点を喫する一因となり、2012年大会でも敗戦。それでも、所属する湘南ベルマーレでは負傷や代表招集時を除くほぼすべての試合に出場することで安定したパフォーマンス能力を披露すると、2014年に立ち上がったリオ五輪を目指す手倉森ジャパンでも変わらなかった。特に3バック時に右CBのポジションから攻撃参加で駆け上がって得点に関与するシーンは総力をベースとする湘南にあって象徴的な存在だった。
 2年連続でオファーを受けたこともあり、成長への涙の移籍で浦和レッズへとステップアップ。同年リオ五輪で世界の本気舞台を初めて踏むも、グループリーグで敗退。2018年のロシアW杯メンバー入りに向けてギアを一段あげた。
 2017年は浦和レッズでアジアを制し、クラブW杯へ出場。日本代表ではMF長谷部誠やCB酒井宏樹、CB森重真人、CB槙野智章などのポジションを穿つことができずにいたが、コンスタントな招集と自身の研鑽に励み続けた。結果としてロシアW杯のメンバーにも入ることはできたが、MF大島僚太、CB植田直通、GK中村航輔とリオ世代から招集された4名とも出場を果たすことはできなかった。

 次回のカタールW杯に向けて階段を上がる必要性を感じ、今回の移籍に繋がった。日本は特に「五輪の6年後」がその世代をメインとする大会となる。そのため、リオを経由した選手たちは次回のカタールが世代の一つの着地点となる。早生まれのためプラチナ世代にも属する遠藤航にとっては、2010、2012でU-20W杯を踏むことができなかったリベンジも晴らしたい大会だ。世代の精神的支柱として牽引してきた存在が見せる今後4年間のパフォーマンスに注目したい。



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