【選手名鑑】ニック・ポープの現在地|「8部」から這い上がったGKのシンデレラストーリー

 順風満帆を好む人は多い。しかし、波乱万丈な人生になってしまうケースもある。ピンチに陥ったときこそチャンスを掴む瞬間でもあるが、また一人数奇な人生を送る選手が現れた。

 2018年3月、フレイザー・フォースター(サウサンプトン)や、ギャリー・ケイヒル(チェルシー)、クリス・スモーリング(マンチェスター・ユナイテッド)ら実力者がロシアW杯に向け、続々とイングランド代表から落選する中、1人の選手にお呼びの声がかかった。プレミアリーグ、バーンリーに所属するGKニック・ポープだ。
 
 彼の名はプレミアリーグのファンでもあまり知られていない。それもそのはず、彼はイングランドの各年代別の代表に招集されたこともなく、17-18シーズンが始まるまでは、プレミアリーグに出場したことさえなかったのだ。さらに彼のこれまでのキャリアを紐解いていくと、レスターに所属するFWジェイミー・ヴァーディ以上とも言える苦労ぶりが見えてきた。

目次



ニック・ポープのプレースタイルと選手紹介

 GKに必要な能力をハイレベルに兼ね備えている。特にシュートストップに定評があり、スーパーセーブを連発する。一躍その名を世界に轟かした17-18シーズンは、プレミアリーグ35試合35失点、113セーブ、クリーンシート11試合、セーブ率76%を記録。でマンチェスター・ユナイテッドのダビド・デ・ヘアに次ぐ高い成績だった。

ニック・ポープのプロフィール

選手名 ニック・ポープ(Nick Pope)
ポジション GK
出身 イングランド/ソハム
年齢/生年月日 26歳/1992年4月19日
身長・体重 191cm・76kg
現所属チーム/背番号/利き足 バーンリー(イングランド)/29/右足
代表/デビュー年 イングランド代表/2018年6月7日
過去所属 チャールトン、ベリーFC、ヨーク・シティ、アルダーショットなど
クラブ・代表タイトル なし
個人タイトル バーンリー年間最優秀選手(17-18)

16歳で「戦力外」に

 ニック・ポープは、1992年4月19日にイングランドの「ソハム」に生まれた。幼い頃からサッカーに励み、イプスウィッチ・タウンの下部組織に入団。しかし、2008年16歳の時に放出され無所属となる。16歳という年齢で「戦力外」となったポープは、最下部リーグである8部のベリー・タウンFCへ移籍。プロデビューを果たす。



下部リーグで悪戦苦闘の日々

 ベリー・タウンFCでの活躍が認められ、2011年夏19歳の時にチャールトン(当時3部)に入団。しかし、チャールトンで出場機会を得ることが出来ず、下部リーグへのレンタル移籍を重ねた。しかし、レンタル先でも試合に出場できない日々が続いた。ようやく13-14シーズンにヨーク・シティ(当時4部)で出場機会を得ることに成功すると、翌14-15シーズン、チャールトン(当時2部)への復帰を果たす。この時チームには現カーディフGKニール・エザリッジが在籍していた。自信を回復させ、満を持しての復帰だったが、定位置を確保するまでは至らず、シーズン後半戦はベリーFC(当時4部)へレンタルで放出された。

プロデビューを果たした地が再びターニングポイントに

 ベリーFCはベリー・タウンFCとは異なるチームだ。しかし、プロデビューを果たした『ピンチをチャンス』に変えたベリーの街で努力がついに実り始める。ポープは22試合出場10失点とリーグ最高レベルのディフェンス力を顕示し、13もの試合でクリーンシートを達成したのだ。自信に確固たる力を身につけて復帰したチャールトンでようやく定位置を掴むことに成功する。シーズン途中に一時期ポジションを奪われたが、リーグ戦24試合に出場した。

 この活躍認められ、プレミアリーグへ昇格したばかりのバーンリーへ完全移籍。初のプレミアリーグにチャレンジしたポープだったが、16-17シーズンのバーンリーには絶対的守護神で主将のトム・ヒートンがチームを残留に導く大活躍をみせており、ポープはカップ戦の4試合のみの出場に留まった。

突如と訪れた「プレミアリーグ」デビュー

 大躍進を遂げたのは17-18シーズンだ。シーズン当初、ポープは平凡な2番手GKでシーズンを過ごすと考えられていた。しかし、第4節クリスタル・パレス戦でトム・ヒートンが負傷し数ヶ月に及ぶ負傷離脱を余儀なくされる。いつもも通りベンチ入りをしていたポープは、36分から急遽ゴールマウスを守ることとなった。スタメンで勝ち取ったわけではなく、思いもよらない形でプレミアリーグデビューを果たしたポープだったが、この試合で攻守を連発。1-0でのチームの勝利に大きく貢献し、GKの途中出場という難しい状態ながらゴールマウスを守りきったポープも称賛を受けた。しかし、チームの絶対的守護神のヒートンの長期に渡る離脱という危機的状況に、バーンリーは元マンチェスター・ユナイテッドのアンデルス・リンデゴーアを緊急補強するほどだった。
 それでもポープは付け焼き刃の守護神としてゴールを守り続けた。5節のリバプール戦では8本の枠内シュートをセーブするなど、相手攻撃陣の猛攻を耐えしのぎ1-1のドローでチームに勝ち点1をもたらした。この活躍もあり、経験豊富なリンデゴーアにポジションを明け渡すと思われていたポープだが、そして、この試合からヒートンが復帰したシーズン終盤までポープは1度もゴールマウスを譲らなかった。この理由はデータにも現れている。16-17シーズンのヒートンは、35試合48失点、141セーブ、クリーンシート10試合、セーブ率75%を記録。一方、ポープは35試合35失点、113セーブ、クリーンシート11試合、セーブ率76%を記録。昨季と今季はチーム状況が違うため完璧に比較することは出来ないが、ほとんどの部門でポープが上回った。ヒートンに守護神争いで制したポープは、ロシアW杯イングランド代表メンバーに選出された。シーズン開幕前、一体誰が彼のW杯イングランド代表メンバー入りを予想していただろうか。大会ではジョーダン・ピックフォードの控えGKとしてチームのベスト4入りに大きく貢献した。

肩を脱臼し再び激しいポジション争いへ

 初のW杯を経験したポープに対しては、リバプールなどの強豪クラブが獲得に乗り出すなど一躍注目株となった。しかし、18-19シーズン初戦のヨーロッパリーグ予選アバディーン戦で肩を脱臼。復帰は2018年12月頃となっている。守護神の負傷離脱によりマンチェスター・シティからジョー・ハートを緊急補強。戦列に復帰したらハート、ヒートン、リンデゴーアらとハイレベルなポジション争いが待っている。そして2018年4月13日には、かつて2部でポジション争いを繰り広げたニール・エザリッジが所属するカーディフとの対戦が待っている。共に「想像を絶する苦労を重ねて今がある」選手同士の対決に注目だ。

ニック・ポープの動画



年度別出場成績

18-19/バーンリー(第6節終了時)

EL予選     1試合0失点

17-18/バーンリー

プレミアリーグ 35試合33失点
FAカップ    1試合4失点
EFLカップ    2試合2失点

16-17/バーンリー

プレミアリーグ 0試合0失点
FAカップ    3試合0失点
EFLカップ    1試合1失点 

15-16/チャールトン

FLC(英2部)  24試合33失点
FAカップ    1試合2失点
EFLカップ   3試合6失点

14-15/チャールトン/ベリー

FLC(英2部)  8試合9失点
EFLカップ   1試合1失点

FL2      22試合10失点

13-14/チャールトン/アルダーショット/ヨーク・シティ

FLC(英2部)  0試合0失点
FAカップ    0試合0失点
EFLカップ   0試合0失点

英5部     5試合9失点

FL2      22試合11失点
FL2プレーオフ 2試合1失点

12-13/ケンブリッジ/チャールトン

英5部      9試合7失点

FLC(英2部)  1試合0失点

11-12/チャールトン

FAカップ    0試合失点



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