最後に、弊媒体としてチェックしているデータを紹介しつつ、中島翔哉と三竿健斗の「視点」について触れたい。
オレンジで表しているのが通称『ハーフスペース』と呼ばれるエリアだ。前半の宇佐美や後半の本田はまさにウイングのポジションであり、サイドに相手DFを抑え込んだり、クロスや、自らの仕掛け起点になるため、タッチラインを活かしたポジショニングとなる。しかし、このハーフスペースは、ウイングにもセンターにもポジションができるため、相手DFとすれば、ボランチ・サイドバック・センターバックの誰が対応すべきかハーフテンポ、ワンテンポずれてしまう。
前半で言えば大島も同スペース内から捌いており、技術や戦術眼に関しては一流のものを秘めていることもわかる。三竿は
うろつく時間が長く、ピッチ全体を見渡せたからこそ、何度もハーススペースから縦へと突破を試みた中島にDFが二人ついていることが距離をおいた上でも理解ができていたのかもしれない。小林悠もピッチを見渡した上でのアクションは素晴らしかったが、配球役とのコンビネーションが今後の鍵となるだろうか。
中島はこのスペースからのアクションに終始した。縦・右・斜め、DFの脇をどのように活用するか。武器である左45度からのミドルも封じて、「俺ならやれる」ここでDFに捉えられてもできるのだと意思を表明し続けていた。意思を発した中島とチェックしていた三竿によってもたらされた同点ゴールが、どうにか日本をつなぎとめた。
まだ次のウクライナ戦もあるが、チームの骨格はまだ出来上がっていない。ただし、世界基準で考えるのであれば、現代的戦術にアジャストできる選手の抜擢こそ、勝利や得点への鍵となるのではないだろうか。