【かつて期待されていたあの選手は今…。】イングランド編

・ジャック・ロドウェル
国籍: イングランド
Pos : MF
年齢: 27歳
過去所属クラブ: エバートン、マンチェスター・シティ
現所属: サンダーランド(イングランド2部)

 かつてイングランドのユース代表でキャプテンを務めていた元神童の経歴も異例だ。
 エバートンユース出身で、UEFAカップのAZ戦に16歳284日でトップチームデビューを飾ると、若手ながらポジションを掴み、12年夏にマンチェスター・シティへと移籍。しかし層の厚いシティでは2シーズンでわずか25試合の出場に留まり、14年夏にサンダーランドへと移籍をする。
 この時の経験から「若い選手は試合に出場できるクラブにいるべきだ」とインタビューで語っている。サンダーランドではケガに苦しみながらもまずまずの出場機会を得た。しかし、なかなか勝利に貢献することが出来ず、自身の先発したリーグ戦で39試合の連続未勝利が続き、17年2月4日のクリスタル・パレス戦まで実に3年8ヶ月間も勝利を挙げられなかった。これはプレミアリーグ史上最長の先発未勝利記録である。16-17シーズンにサンダーランドはプレミアリーグで最下位となり、チャンピオンシップ(イングランド2部)へと降格したが、ロドウェルは残留した。その理由として、2部でも約4.5億円の年俸を貰える契約となっていたことがあげられる。
これだけの年俸を貰いながら出場は2試合で勝利からも見放されており、昨年11月にサンダーランドの指揮官に就任したクリス・コールマン監督のもとでは、完全に構想外となっている。今年に入りサンダーランドU-23の試合には出場しているようだが、それ以外の情報は一切ない状況だ。
 ちなみに今季サンダーランドはロドウェルのキャリアの低迷と共に、降格初年度ながらシーズンのほとんどを最下位で過ごしている。ロドウェルはこの構想外の状況からみて、サンダーランドの残留の救世主となることはないだろう。

・マイカー・リチャーズ
国籍:イングランド
Pos : DF
年齢: 29歳
過去所属クラブ: マンチェスター・シティ、フィオレンティーナ
現所属: アストン・ビラ(イングランド2部)

 上記のロドウェル同様、イングランド2部で構想外となっているもう一人選手を最後に紹介したい。かつてマンチェスター・シティユースの最高傑作とも称されたマイカー・リチャーズだ。
 プロレスラーのような強靭な肉体の持ち主で、スピード、パワー、スタミナ、そしてリーダーシップを兼ね備えるまさに完成された選手であった。しかし、シティでは度重なるケガで伸び悩み、15年夏に現在所属しているアストン・ビラに加入した。この年、ビラは主将を務めていたファビアン・デルフやエースのクリスティアン・ベンテケを放出しており、リチャーズに対する期待はとても大きいものだった。
 加入初年度から監督を務めていたティム・シャーウッドからキャプテンに任命されたものの、パフォーマンスは全盛期からの著しく低下しており、CBを組んだジョレオン・レスコットと共に酷評された。シーズンわずか3勝の成績では残留を果たすことはできず、イングランド2部へ降格。決定後、リチャーズ自身は移籍の噂が流れたものの、残留を決意した。しかし、ここからの低迷ぶりがさらにリチャーズのキャリアに泥を塗る。
 16-17シーズン序盤のディ・マッテオ政権ではメンバー入りを果たしていたものの、10月に就任したスティーブ・ブルース政権では完全に構想外に。ブルースの初陣となった10月15日のウルブス戦こそ先発出場を果たすも、負傷交代で退場後、今日まで出場機会は一度も訪れることがなかった。今季に関してはEFLカップの第3ラウンドのミドルズブラ戦のみベンチ入りを果たしたが、それ以外全ての試合でメンバー外に。すでに公式戦で最後にプレーしてから500日以上が経過するが、彼はまだアストン・ビラの選手だ。クラブでジョン・テリーに次ぐ高給取りだが、放出されることなく来夏に迎える契約満了まで残留するという。
 出場していないリチャーズだが、若手選手に与える影響力やその求心力は計り知れなかった。現在ビラはアンドレ・グリーン、キーラン・デイビスなど下部組織出身のイングランドU-20代表選手を多く抱えているが、彼のサッカーに対するプロフェッショナルな姿勢が非常に良い影響を与えているようだ。
 現在、彼はトップチームの練習もフルメニューでこなしており、紅白戦にも出場している。近々、リチャーズの姿をピッチでみることが出来るかもしれない。もしくは、このまま構想外が続けば、プレーすることなく若手選手の見本の立ち位置となってしまうが、来夏までの契約をどう全うするのだろうか。



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