今回の試合でも同様で、試合全体で67%ものポゼッション率を記録するなど、かつてとは異なる姿を見せた。特に前半41分、浅野にゴールを決められて以降は70%もの支配率を誇っていたことからも、ボールを保持することで自分たちが主導権を握る時間を長くし、反撃の機会を窺っていたことが分かる。
逆に日本は、現在のオーストラリアの戦術を綿密なスカウティングによって読み切っていたのだろう。だからこそ、スタメンからゲームメイクに長けたプレーヤーを外し、ボール奪取能力に秀でたMF山口蛍(セレッソ大阪)や井手口を配置。奪った後のショートカウンターで生きるスピードを備えた浅野とFW乾貴士(エイバル)を両ウイングに据えて、得点の機会を得る布陣を構成していた。
2点目のシーンでは、乾と交代でピッチに入ったFW原口元気(ヘルタ・ベルリン)が相手からボールを奪い、井手口につないだことでチャンスが生まれた。
前述したポゼッション率が示す通り、オーストラリアが試合を支配するものの、日本は32回も相手ボールをインターセプトし、攻撃へと転じた。オーストラリアの12回と比べると、その狙いは一目瞭然で、ディフェンスラインだけでなくMF長谷部誠(フランクフルト)、山口、井手口が中盤の高い位置で奪い切ることで攻撃へとつなげていた。
ボールを奪われた後のオーストラリアは、日本をフィジカルで止めてしまう。しかし、ファウルとなるケース(12回)が多く、日本にFKを安易に与えるシーンが散見された。