2019年6月4日、強豪レアル・マドリードへの移籍が発表されたセルビア代表FWルカ・ヨビッチ。10代からセルビア国内で注目を集めていたヨビッチだが、世界から注目を浴び始めたのはフランクフルトへと移籍した2017-18シーズンからだろう。公式戦で9ゴールを決める活躍を披露し、チームの30年ぶりのタイトル獲得にも貢献。そしてロシアW杯を経て臨んだ2018-19シーズンは更なる躍進を遂げている。ブンデスリーガ32試合に出場し、得点ランキング3位の17ゴールを記録。UEFAヨーロッパリーグでも得点ランキング2位の10ゴールを記録し、クラブのベスト4進出に大きく貢献していた。
ヨビッチのプレースタイルと選手紹介
コロンビア代表FWファルカオとも比較されるストライカー。スペースへの飛び出しやポジショニングが上手く、左足、右足、頭で精度の高いシュートを打てる。しかし、稀に集中力不足で決定機を外すなど改善点も見受けられる。
ヨビッチのプロフィール
選手名 | ルカ・ヨビッチ(Luca Jvic) |
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ポジション | CF/LWG/RWG |
出身 | ビイェリナ/ボスニア・ヘルツェゴビナ |
年齢/生年月日 | 22歳/1997年12月23日 |
身長・体重 | 181cm・79kg |
現所属チーム/背番号/利き足 | フランクフルト(ドイツ)/8/両足 |
代表/デビュー年 | セルビア代表/2018年9月8日 |
過去所属 | フランクフルト(ドイツ)、ベンフィカ(ポルトガル)、レッドスター(セルビア) |
クラブ・代表タイトル | DFBポカール(フランクフルト)、リーガNOS優勝2回(ベンフィカ)、セルビア・スーペルリーガ優勝2回(レッドスター) |
個人タイトル | なし |
幼少期から育成組織入団まで
ヨビッチは、1997年12月23日にボスニア・ヘルツェゴビナの大都市である「ビイェリナ」に生まれた。父は元プロサッカー選手であるミラン・ヨビッチ。幼い頃にセルビアへ移り住み、5歳の時にサッカーを始めた。2004年、首都ベオグラードで展開している4歳から12歳の子供を対象にしたサッカーの育成組織に入団。ここでの活躍により2005年、8歳の時にレッドスターの下部組織へ入団した。
16歳でクラブをリーグ優勝に導く
抜群の才能の持ち主であったヨビッチは、13-14シーズンのシーズン最終節ボイボディナ戦で1点ビハインドの後半73分から途中出場を果たす。セルビアのレジェンドであるデヤン・スタンコビッチ氏が保持していたクラブ歴代最年少出場記録を更新する16歳5ヶ月5日という若さでの出場だった。そして出場から2分余りで結果を残す。後半76分に3-3の同点に追いつくゴールを決めてみせたのだ。試合はこのまま終了。2位のパルチザンに勝ち点「1」差で優勝を決めた。得失点差ではパルチザンが上回っていたため、ヨビッチのゴールがなければレッドスターは優勝を逃していた。
シーズン終了後に正式にトップチームへと昇格。14-15シーズンは後半戦から先発出場の機会を増やし22試合で6ゴールを記録。優勝こそ逃したものの10代の選手では十分すぎる活躍をみせた。続く15-16シーズンは現横浜F・マリノスに所属するウーゴ・ヴィエイラにポジションを奪われサブに回るも、第22節までに5ゴールを記録した。
ポルトガル王者ベンフィカへ完全移籍
2016年冬、ポルトガルの強豪ベンフィカへの完全移籍が発表された。当時ベンフィカにはエースの元ブラジル代表FWジョナスを始め、メキシコ代表FWラウール・ヒメネス、ギリシャ代表FWコンスタンティノス・ミトログルら実力者が在籍しておりトップチームではなくセカンドチームでのプレーが主戦場となった。
2017年夏、ドイツのフランクフルトへ2年間の買い取りOP付きのレンタル移籍をすることが発表された。買い取りOP額は1250万ユーロ。この移籍に関して最も貢献したのが、ブンデスリーガ史上初の女性スカウトであるエレナ・コスタ氏だ。彼女はベンフィカの下部組織で仕事をしたことがあり、トップチームで出場機会に恵まれていなかったヨビッチをスカウトしたのであった。第4節アウクスブルク戦で途中出場からデビューを飾ると後半80分に挨拶代わりのゴールを記録。その後はしばらくサブでの起用が続いたが、後半戦になるに連れ出場機会が増加。第26節からは4試合連続ゴールを記録した。またDFBポカール準決勝ではチームを勝利に導く決勝点を記録。チームはバイエルンとの決勝戦でも勝利し30年ぶりのタイトルを獲得した。シーズン終了後、ロシアW杯の直前でセルビア代表へ初選出。W杯メンバーにも名を連ね、グループステージ第3戦ブラジル戦にも出場した。
覚醒
ニコ・コバチ監督が退任し2018-19シーズンからはアディ・ヒュッター新監督が就任。開幕当初は控えに回っていたが、第6節ハノーファー戦で途中出場から1ゴールを決めると、ここからヨビッチの覚醒が始まる。続くホッフェンハイム戦では1ゴール1アシストを記録。そして第8節デュッセルドルフ戦では驚異の1試合5ゴールを記録した。この試合で樹立した記録は以下の通り。
・セルビア人史上初めてブンデスリーガでハットトリックを達成
・フランクフルトの選手史上初の1試合5得点
・ブンデスリーガ史上最年少で1試合5得点を達成
この活躍で得点ランキングトップに立つと、その後もゴールやアシストを量産。ブンデスリーガ32試合で得点ランキング3位の17ゴールを記録。さらにはUEFAヨーロッパリーグでも得点ランキング2位の10ゴールを記録し、ベスト4進出に大きく貢献した。
《ヨビッチがこれまで達成した主な記録》
ヨビッチの動画
《ルカ・ヨビッチのプレー集》
《デュッセルドルフ戦での5ゴール》
年度別出場成績
ラ・リーガ 15試合2ゴール1アシスト
UCL 4試合0ゴール0アシスト
コパ・デル・レイ 3試合0ゴール0アシスト
スーペルコパ 2試合0ゴール1アシスト
ブンデスリーガ 32試合17ゴール5アシスト
UEL 14試合10ゴール1アシスト
DFBポカール 1試合0ゴール0アシスト
スーパーカップ 1試合0ゴールアシスト
ブンデスリーガ 22試合8ゴール1アシスト
DFBポカール 5試合1ゴール1アシスト
リーガNOS 1試合0ゴール0アシスト
スーペルリーガ 19試合5ゴール2アシスト
セルビア・カップ 2試合1ゴール0アシスト
UCL 1試合0ゴール0アシスト
スーペルリーガ 22試合6ゴール2アシスト
セルビア・カップ 2試合0ゴール0アシスト
スーペルリーガ 1試合1ゴール0アシスト
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