クルトゥラル・レオネッサの降格と井手口陽介の居場所

井手口陽介がこの場で輝ける余地はあったのか

 動画でも前線と最終ラインの意思疎通の欠如は見て取れる。ハーフスペースやエリアの話が高度に感じられるほど、4バックのラインや間延びした状態が見えるのがレオネッサだ。
 DF長谷部誠(フランクフルト)やDF遠藤航(浦和レッズ)のような戦術眼を持ち合わせているわけでない井手口にとって、「猟犬と良い飼い主」の関係を保てるチームが理想的だ。もちろん、前所属のガンバ大阪ならば、MF遠藤保仁やMF今野泰幸がおり、長谷川健太監督の指示も井手口を動かすには十分だった。
 日本代表でもそれは同様だった。ボランチであれ、インサイドハーフであれ、長谷部や山口蛍(セレッソ大阪)、ハリルホジッチ前日本代表の存在も大きかった。オーストラリア戦の出来は戦術や資質を踏まえれば「当然」な結果だった。
 しかし、レオネッサは中盤を飛ばされた。スペイン2部リーグにおいて井手口流のオフザボールの動きは尊ばれず、ゴールに直結する動きが望まれた。オフェンスでもディフェンスでも、ポゼッション重視やスペースを生み出した上で複数人で攻め入っていくような悠然とした『間』は尊ばれなかった。
 柿谷曜一朗(現セレッソ大阪)や永井謙佑(現FC東京)、宇佐美貴史(現デュッセルドルフ※一度目の海外挑戦時)ら成功と言いにくい海外移籍になった選手に共通した悩みだ。練習時から積極的にシュート・ゴールに結びつけるような動きができないと、チームメイトからの信頼は得られない。同様の悩みを抱えてしまった。中島翔哉(ポルティモネンセ)、堂安律(フローニンヘン)、豊川雄太(オイペン)ら2018年の半年間で5得点以上を決めることのできた選手たちは皆、自らのポジションはさておき、練習中で目立つことに重きをおいた。その結果である。




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