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▼いよいよ2021年6月11日に開幕するEURO 2020。本来は2020年に開催予定だったEUROだが、新型コロナウイルスの世界的な大流行に伴い1年延期。22年にカタールW杯が控えている中、その1年前に開催されることとなった。
▼EUROに限らず国際大会というのは新たなスターが誕生する大会である。2016年に行われた前回大会でポルトガル代表の優勝に大きく貢献したレナト・サンチェスやラファエル・ゲレイロはそれぞれバイエルン、ドルトムントへと引き抜かれている。
▼そこで「Evolving Data」ではEURO開幕直前に今大会のブレイク候補を独自に厳選!こちらは後半です!グループD~グループFに登場するチームの中で注目する8選手を紹介したいと思います。
《EURO 2020の大会概要とグループステージ順位表》
《EURO 2020の試合日程と試合結果・ハイライト》
《【選手紹介】EURO 2020で大ブレイクする可能性がある選手(グループA~グループC)》
● ドミニク・リバコビッチ(Dominik Livakovic)
代表:クロアチア代表
Pos:GK
生年月日:1995/1/9(26歳)
身長/体重:186cm/79kg
所属:ディナモ・ザグレブ(クロアチア)
2020-21シーズン:33試合25失点(1.HNL)
▼2018年夏に行われたロシアW杯で準優勝と大躍進を遂げたクロアチア代表。同大会はそれまで長年に渡ってクロアチア代表を支えてきた選手たちの集大成的な大会であり、終了後にはダニエル・スバシッチやヴェドラン・チョルルカ、マリオ・マンジュキッチらが代表引退を表明。20年9月にはイバン・ラキティッチも代表から離れた。
▼着実に世代交代が進みつつある新生クロアチア代表の守護神を任されているのがドミニク・リバコビッチ(ディナモ・ザグレブ)だ。ロシアW杯が終わった当初は同大会で代表引退したスバシッチに代わりロヴレ・カリニッチ(ハイドゥク・スプリト)が正GKを任されていたが、同選手のケガや不調もあり19年に行われたEURO予選の途中からリバコビッチが継続的に起用されている。所属するディナモ・ザグレブでは出場した試合のおよそ半分でクリーンシートを達成しているリバコビッチは、代表でも継続して高いパフォーマンスを披露している。クロアチア代表は20年夏から行われたUEFAネーションズリーグでフランスやポルトガル、スウェーデンに6試合で5敗を喫しており、数年前と比較するとその勢いは落ちてきている。チェコ、イングランド、スコットランドと難敵がひしめくグループDを突破するにはリバコビッチら新たにレギュラーに定着した選手の活躍が不可欠となってくるだろう。
● トーマシュ・ソーチェク(Tomas Soucek)
代表:チェコ代表
Pos:DMF
生年月日:1995/2/27(26歳)
身長/体重:192cm/86kg
所属:ウェストハム(イングランド)
2020-21シーズン:38試合10ゴール1アシスト(プレミアリーグ)
● アレックス・クラール(Alex Kral)
代表:チェコ代表
Pos:DMF
生年月日:1998/5/19(23歳)
身長/体重:186cm/72kg
所属:スパルタク・モスクワ(ロシア)
2020-21シーズン:29試合5アシスト(ロシア・プレミアリーグ)
▼チェコ代表として初出場した1996年大会に準優勝と大躍進を遂げたチェコ代表。以降、2004年大会はベスト4、2012年大会はベスト8と2大会に1回のペースでグループステージを突破しており、今大会も大きな注目を集めている。
▼これまでのチェコ代表の躍進にはペトル・チェフやトマーシュ・ロシツキー、カレル・ポボルスキー、パベル・ネドベドらスター選手の活躍がセットであった。そこで今大会注目したいのがトーマシュ・ソーチェク(ウェストハム)とアレックス・クラール(スパルタク・モスクワ)の大型ボランチ2人だ。この2選手を今大会の注目選手に推すには理由がある。それは19年10月に行われたEURO予選イングランド戦でのプレーだ。アウェイでのイングランド戦に0-5と大敗していたチェコ代表が、イングランドをホームに迎えて戦ったこの試合、ソーチェクはハリー・マグワイアとマイケル・キーンらに空中戦で勝利し続け勝利に貢献した(13回中11回勝利)。この試合を観て衝撃を覚え、間違いなくステップアップする選手だと確信した記憶がある。そして20年冬に恐らくこの試合を観ていたであろうデイビッド・モイーズがソーチェクの獲得をクラブに要請し、ウェストハムが獲得に成功した。圧倒的な空中戦の強さに加え、得点力も兼ね備えているソーチェクは2020-21シーズンにプレミアリーグで10ゴールを記録した。
▼そしてもう1人のチェコ代表のボランチ、クラールに対しても21年夏にウェストハムは興味を示している。クラールはソーチェクほどではないが、こちらもフィジカルバトルに強い。ソーチェクと比較するとよりこちらの方がテクニカルで、短いパスでゲームメイクしていくタイプの選手だ。代表でのソーチェクとクラールのコンビは補完性が高く、モイーズ監督はプレミアリーグの舞台にそのまま持ち込みたいと考えているのだろう。しかし、ウェストハムは他のポジションの補強が急務なためクラールの移籍はデクラン・ライスが移籍しない限り21年夏に実現することはないだろう。だが、いずれにせよモイーズ好みの選手であるのは間違いない。死闘を繰り広げたチェコとイングランドの再戦にも注目だ。
● ジャック・グリーリッシュ(Jack Grealish)
代表:イングランド代表
Pos:OMF/LWG
生年月日:1995/9/10(25歳)
身長/体重:178cm/66kg
所属:アストン・ビラ(イングランド)
2020-21シーズン:26試合6ゴール10アシスト(プレミアリーグ)
▼フィル・フォーデンやブカヨ・サカ、メイソン・マウントら若手選手の成長が著しいイングランド。直近10年では間違いなく今が旬であり、『Transfer Markt』の市場価値は今大会に出場する全24チームで最高額である。選手のクオリティには疑いの余地がないイングランド代表だが、経験の少ない代表監督と主力のケガに心配が集まっている。特に守備の要であるハリー・マグワイア(マンチェスター・ユナイテッド)と中盤の要であるジョーダン・ヘンダーソン(リバプール)は26名のメンバーに招集されているとはいえ、彼らがトップコンディションでプレー出来るがどうかは開幕前の時点ではわからない。また、当初26名のメンバーに選出されていたトレント・アレクサンダー=アーノルドは負傷のため代表を離脱した。
▼スカッドに若干の不安が残るイングランド代表でサウスゲイト監督を始め、イングランド国民が期待を寄せているのがプレミアリーグで得点王とアシスト王を同時受賞したハリー・ケイン(トッテナム)と今大会背番号「7」を着用するジャック・グリーリッシュ(アストン・ビラ)だ。前者は代表でキャプテンを務めており、誰もが認めるイングランドの大エースだ。一方、今大会に招集されているメンバーでは比較的遅い20年9月にA代表デビューを飾っているグリーリッシュは、それまでサウスゲイトの考える代表候補に入っていなかったわけではない。そもそもU21代表の時に彼をアイルランドからイングランドへと代表を変えることを説得したのが当時U21代表監督だったサウスゲイトである。本人も「A代表に呼ばれるのに思っていたより時間がかかった」と語るようにA代表デビューには長い月日を擁したが、デビューしてからサウスゲイトの信頼を掴むのはあっという間であった。親善試合を除き、公式戦初先発となった20年11月のUEFAネーションズリーグベルギー戦。結果的に試合には敗れたものの、この試合で圧倒的なパフォーマンスを披露したグリーリッシュの評価は大きく上がった。実際、背番号が序列を表しているというイングランド代表で今大会グリーリッシュは背番号「7」を着用する。
▼オープンプレーのチャンスクリエイト能力は世界トップレベルであり、得意のドリブルはファウルなしで止めることは困難だ。また、イングランド代表はセットプレーを得意としており、今季チェルシーでセットプレーから多くのゴールをお膳立てしたメイソン・マウントと同時に起用すればグリーリッシュとの相乗効果で多くのチャンスが演出されるだろう。イングランドのレジェンドであるポール・ガスコインやジョゼ・モウリーニョ、セスク・ファブレガスも今大会のイングランド代表のキーマンにグリーリッシュを挙げており、その注目度は日に日にに高まっている。
● チェ・アダムス(Che Adams)
代表:スコットランド代表
Pos:CF
生年月日:1996/7/13(24歳)
身長/体重:175cm/70kg
所属:サウサンプトン(イングランド)
2020-21シーズン:36試合9ゴール5アシスト(プレミアリーグ)
● ジョン・マッギン(John McGinn)
代表:スコットランド代表
Pos:CMF/OMF
生年月日:1994/10/18(26歳)
身長/体重:178cm/68kg
所属:アストン・ビラ(イングランド)
2020-21シーズン:37試合3ゴール5アシスト(プレミアリーグ)
▼長らく国際大会から遠ざかっていたスコットランド代表が25年ぶりにEUROに帰ってくる。アンドリュー・ロバートソン(リバプール)とキーラン・ティアニー(アーセナル)という2人のトップレベルの左サイドバックがいるため3バックで戦うことが予想される。直近数年のスコットランド代表は得点力不足が懸念されており、絶対的な得点源であるエースが不在であった。そのことを考えるとチェ・アダムス(サウサンプトン)がイングランドからスコットランドへと国籍を変更したことは非常にポジティブである。21年3月の代表デビュー以降、EURO開幕前の時点で4試合2ゴール1アシストと結果を残しており、本大会での活躍も期待される。
▼そして現在のスコットランド代表の最大の得点源となっているのがジョン・マッギン(アストン・ビラ)だ。所属クラブでは2ボランチの1角で出場することも多いためゴールを量産している姿は想像しにくいだろうが、代表ではシャドーの位置で起用されるが多い。19年9月のEURO予選ロシア戦で代表初ゴールを記録して以降、予選ではサンマリノ戦のハットトリックを含む7ゴール2アシストを記録。予選でチームが記録したおよそ6割のゴールに直接絡む大活躍でプレーオフ決勝進出、そして本大会出場に大きく貢献した。21年3月に開幕したカタールW杯予選でも3試合で3ゴールを記録しており、代表でのゴール数を2桁10ゴールに乗せた。この10ゴールというのは直近10年のスコットランド代表での最多スコアラーであり、今大会の活躍にも注目が集まる。