ここまでくると、我々が「ハリルジャパン」を熟慮する上でいくつかの仮説を定義しなければならない。
1)ハリルホジッチが本遠征までを完全にテストと割り切って考えていた場合
2)テストのはずではなかったが、怪我人の多さからセカンドプランの考慮に務めた場合
3)選択肢を多くもたず、規定のオーガナイズ以外、選手の自主性に任せる場合
いずれの可能性さえあると見立てられるが、どうにも「3」の様相が色濃い。仮に1・2のケースであったならば、それがスタッフや選手にすら届いていないため、結果的に「3」となってもしまう。
ハリルホジッチは縦に速いサッカーを展開しようとしており、サイドからのクロスやロングボールに有効性を見出している。しかし、大迫も絶対ではなく、フィードや相手守備陣を踏まえても緩急をつけるべきと主張する選手側はやや対立の構図が見える。ただし、ハリルはこれを「悪し」とは見ておらず、「縦」の解決策を提供しているのだから、フェイクや緩急は自ら突ける必要を暗に示唆している。試合で、対人でプレッシャーがかかる際の選択肢として「試合の勝利」と「代表メンバー獲得」のニ軸を迫られた際で各々の考え方は悟られてしまうが、それだけにわかりやすくもある。
セレクショニスタとして、縦突破型選手構造のスタイルは提示しているため、この部分において役目は果たし、相手とのギャップを突く上でのメソッド提示までは行えているから、代表監督としての役回りはこれまでのところ問題なく遂行できているが、明確な結果がなく、選手たちの状況を汲み取れていない点はリーダー的ポジションとしての及第点には至らない。
3月の選手選考としては、現状このようなクラス分けになるのだろう。
ラージグループはレッドライン上部までのメンバーまででちょうど35名。各々何に勝ちたいのか、最後の最後は人生観でも左右されるのかもしれない。