【ハーフスペースプレイヤー中島翔哉の存在】
終盤からの投入にもかかわらず、LSB長友佑都、MFマリノフスキー(ヘンク/ベルギー)と共にペナルティーエリアへ通したボールが「2」を記録。出場時間を比較すれば単独で異次元のチャンスメイク力を誇っていた。動きで規定する他無いが、小林悠と中島翔哉だけが、ウクライナのハーフスペースを上手く突いていこうとアタッキングを試みていた。
平均ポジションでもそれは見て取れる。上記画像の通り後半から出場した小林、中島、久保の3名だけがウクライナディフェンス裏に平均値が算出されており、彼らが前線から押し込んだこと、また前半ウクライナがいかに日本陣内にポゼッションしていたかがわかる結果となっている。
【選択肢を狭める単一縦戦略】
しかし、それは諸刃でもあった。怪我のため出場を回避したCF大迫勇也が試合後「監督に言われたことしかやっていないメンバーがいた」と語った通り、「勝利」「W杯での結果」の前に「ハリルホジッチに気に入られるためというような顔色伺いのサッカー」に終始した選手は一人二人ではなかったように思う。
「縦に速く」といえば聞こえはいいが、早めのプレッシングや高いポジショニング含めて必ずしも正しいアクションはサッカーにおいて存在しない。マリ戦では大迫の釣り出す動きに宇佐美や久保が斜めに入り込んでこなかったという意思疎通に難があったものの、この試合では杉本が大迫の役回りをそのままの代役にはなれず、所在の曖昧さが目立ってしまった。にもかかわらず、志向するサッカーがマリ戦と同様であれば、機能しないのも当然だ。