【選手名鑑】U-21日本代表杉岡大暉の現在地|湘南初のルヴァン優勝を引き寄せた得点

 人が行き交う中盤でボールが溢れる瞬間を予見したMF杉岡大暉は、陣取る左サイドから中央へとスプリントしてフリーボールをピックアップ。次の瞬間、左足で放ったシュートは一直線にゴールの隅を射抜いていた。破顔一笑のゴールシーンは、湘南ベルマーレ初のルヴァンカップ制覇という形で歴史に名を残した。

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ユース昇格を逃した杉岡大暉のFC東京ジュニアユース時代

 都内の強豪レジスタFCで揉まれた杉岡は、2011年FC東京U-15深川に加入する。ボール奪取力に優れ相手を潰すことに長けたボランチだったが、攻撃への展開は苦手としていた。
 同年加入のジュニアユースメンバーは非常に豊富であり、現FC東京所属のGK廣末陸(深川/青森山田高校を経て)、GK波多野豪(むさし)、DF岡崎慎(深川)、MF内田宅哉(深川)、MF鈴木喜丈(むさし)さらには現筑波大所属MF生地慶充(深川)、現V・ファーレン長崎所属のFW名倉巧(深川/国学院久我山→専修大&FC琉球)、現・エストレマドゥーラ(スペイン)所属のGK山口瑠伊(深川)など、屈指のタレントを擁したが、全国の頂点に立つことはなかった。杉岡自身も主力の一人ではあったが、同学年で同様に左利きのボランチだったMF鈴木喜丈との比較により、ユースへの昇格は果たせなかった。



市船最強世代の主将

 FC東京U-18への昇格こそ逃したMF杉岡大暉だが、舞台を高体連に移して市立船橋高校へと進学した。一年目から頭角を現すと、スタメンに名を連ねるようになり、U-17日本代表として世代別代表から定期招集を受けるようになった。
 高校2年時は、台頭してきたMF原輝綺(現・アルビレックス新潟)の勢いに一時押されるも、高校3年時には杉岡・原が両センターバックとなって進撃し、夏の高校総体で優勝。杉岡自身も優秀選手に名を連ねた。レジスタFC時代の第24回全国少年少女草サッカー大会(SHIMIZU CUP)で優勝&MVPに輝いて以来6年ぶりの全国制覇となった。
 MF高宇洋(現・ガンバ大阪)、MF金子大毅(現・湘南ベルマーレ)、1学年下のSB杉山弾斗(現・ジェフユナイテッド千葉)らを揃えた陣容も冬の選手権では勝ち上がれず、それぞれがプロの舞台へと身を移した。

市立船橋高と類似した湘南ベルマーレ

 夏の総体を制した段階で杉岡や原、高の元には数々のオファーが届いていた。特に主将であり守備の要として名門市立船橋高校をまとめるだけでなく、年代別日本代表でもあった杉岡のもとにはとりわけ多くのオファーが届いていた。その中から『湘南ベルマーレ』を選択。理由は「市船にサッカーが似ていてやりやすいから」だった。
 2017年2月26日、J2開幕戦となった水戸ホーリーホック戦の開幕スタメンに名を連ねると、翌2節ザスパクサツ群馬戦ではプロ初ゴール。年代別代表活動もあったがリーグ戦34試合に出場し、10月29日にJ2優勝を決めたチームに欠かせない戦力として躍動した。同年に開催されたU-20W杯にも出場するなど、年間を通して公式戦40試合以上に出場。ルーキーイヤーから早くも大きく飛躍した。
 プロ入り後から認知した人にとって、杉岡大暉は左サイドの潰し屋のイメージが強い。しかし、小中時代はボランチ、高校時代にセンターバックを主戦場とし、個人ではビルドアップや後方からのフィードに磨きをかけた。湘南加入後、チョウ・キジェ、監督のもとでさらにスタミナと上下動できる能力を身に着けたことで、攻守のトランジションに優れた左ウイングバックとして名を上げた。
 一時は年代別代表からも外れたり、ベンチ入りの機会が増えていたが、中央以外にLWBやLCBのポジションを任されると、水を得た魚のように八面六臂の活躍を見せた。

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初のJ1、金子大毅との共闘再び

 2018年湘南ベルマーレがJ1の舞台へ昇格すると、引き続き左サイドのポジションは杉岡大暉に任された。さらにはチームのヤングキャプテンも務め、若くしてチームの中心になった。さらに、市立船橋高から神奈川大へ進学していたMF金子大毅が大学を中退して湘南ベルマーレへ加入することが発表され、杉岡と金子は1年ぶりに共闘することとなった。
 J2とは異なり、地上戦のトランジションの激しくなるリーグにも、杉岡は順応した。それでも圧倒的なポゼッションを誇るチームもあり、杉岡が相手ペナルティーエリアまで侵入するチャンスは減っていた。

ルヴァンカップのゴールと前週の伏線

 「最高です!!!!!」
 2018年10月27日、横浜F・マリノスとのルヴァンカップ決勝でゴールを決め、優勝とMVPを獲得した杉岡大暉は、インタビューで答えた。レジスタ、市立船橋高時代に続き、3度目となる全国制覇は、プロ初の戴冠だ。今季50周年を迎えたクラブにとっても歴史に残る勝利となった。
 遡ること一週間前のコンサドーレ札幌戦。湘南は惜しくも2-2のドローで試合を終えたが、チーム2点目は、杉岡のJ1初得点だった。中央で得たFKの場面、キッカーが横にボールをスライドさせると、ボールに飛び込んで左足を一閃しゴール左隅にグラウンダーのシュートを放っていた。距離も含めてほぼ同じポジション。ルヴァンのゴールは前週の伏線から続いていた。
 サイドバックやウイングバックの少なさを嘆く現在の日本代表においても貴重な人材である杉岡大暉。U-21日本代表や、東京世代という世代ごとの存在だけでなく、日本代表での初出場のタイミングも、そう遠くない。

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