キルギス戦を終えて、怒涛と形容すべき日本代表の2018年の全活動が終了した。欧州遠征マリ戦・ウクライナ戦後のヴァイッド・ハリルホジッチ監督の解任と西野朗監督の誕生。ロシア・ワールドカップ前の苦戦と本大会での善戦。森保一新監督就任直後には、北海道で震災を受け、初戦予定だったチリ戦が中止に。紆余曲折あるも森保ジャパンは5戦4勝1分と上々の出だしでアジアカップを戦うこととなった。
2018年の日本代表総括型記事は12月目処で掲載予定だが、その前に2019年1月に開催されるアジアカップのメンバー選考について考えを巡らせておきたい。
波風の少ないゴールキーパー選考
B 権田修一/サガン鳥栖
B 東口順昭/ガンバ大阪
C シュミット・ダニエル/ベガルタ仙台
C 中村航輔/柏レイソル
D 川島永嗣/ストラスブール
可能性はほぼ5名に絞られ、発表段階における状況次第で招集対象が異なることとなる。実は、最も状況を楽観視できるのはシュミットだ。初招集段階では「アジアカップ」まで考えが及んでいなかったようだが、東口は負傷が癒えず、権田は降格の可能性、川島は所属チームでの試合勘、中村航は脳震盪明けかつ降格の可能性。ゴールキーパーはシュミットで1枠を担保しつつ、残り2枠は状況次第になるだろうか。
不動のセンターバック選考
S 吉田麻也/サウサンプトン
A 冨安健洋/シント=トロイデン
B 槙野智章/浦和レッズ
B 三浦弦太/ガンバ大阪
C 昌子源/鹿島アントラーズ
新たに冨安を補強した代表ディフェンダー陣は、大きな変更の必要性を要しない。GK中村航輔同様、キルギス戦で脳震盪の診断を受けた槙野を安静させる必要や有無がポイントに上がる程度か。また、昌子源の代表復帰タイミングが懸案事項だが、槙野を休ませた上での昌子であれば問題は回避できる。槙野が休み、昌子が海外移籍に伴う招集回避となった場合のみ問題は生じる。
序列大変更となったサイドバック
S 酒井宏樹/マルセイユ
A 室屋成/FC東京
B 佐々木翔/サンフレッチェ広島
B 山中亮輔/横浜F・マリノス
C 車屋紳太郎/川崎フロンターレ
D 杉岡大暉/湘南ベルマーレ
F 長友佑都/ガラタサライ
ロシアW杯前後で最もな変化はサイドバックに現れる。酒井宏が序列を保っているものの、酒井高徳の代表引退と長友佑都の離脱(肺気胸)により、メンバーは大きく入れ替わった。しかし、5試合の中で代表の空気感を掴んだ室屋や佐々木はメンバー入りが濃厚。負傷で11月を欠場中の車屋の動向こそ気がかりだが、キルギス戦で代表指標最速ゴールを決めた山中への期待度は大きい。若手からの選考があるとすれば、新興著しい湘南ベルマーレの杉岡大暉か。
充実の陣容となるボランチ選考
S 遠藤航/シント=トロイデン
A 三竿健斗/鹿島アントラーズ
A 守田英正/川崎フロンターレ
B 青山敏弘/サンフレッチェ広島
C 柴崎岳/ヘタフェ
D 大島僚太/川崎フロンターレ
2014年のブラジルW杯時に囁かれた「遠藤・長谷部」体制の後継者は誰か、との問いを解決させたのが、青山を除く上記5選手だ。山口蛍が代表を外れており、井手口陽介が負傷離脱。ゲームメーカータイプの青山・柴崎・大島から2名、バランス・ブロッカータイプの遠藤・三竿健・守田から2名の選出がこれまでの選考を考えれば理想的な形。
柴崎岳の試合勘とディフェンス陣の離脱程度によってはアンバランスな選考もありうる。
一強化しつつあるトップ下/シャドー選考
S 南野拓実/ザルツブルク
B 北川航也/清水エスパルス
C 香川真司/ドルトムント
追加招集からポジションを得た北川だが、トップ脇のポジションを掴みつつある。ワントップをこなすことは難しいが清水でも高パフォーマンスを見せるワントップの脇で前線を活性化させられれば、森保ジャパンをワンランク上に押し上げることも可能だ。
所属チームでポジションを掴みきれていない香川真司の招集は簡単ではなく、あえて招集するよりは活躍を間近で確認している北川を選択する可能性は高い。
両ウイング選考
S 中島翔哉/ポルティモネンセ
S 堂安律/フローニンゲン
A 伊東純也/柏レイソル
A 原口元気/ハノーファー
C 伊藤達哉/ハンブルガー
C 乾貴士/レアル・ベティス
D 宇佐美貴史/デュッセルドルフ
ベースで呼ばれる中島、堂安、伊東、原口のセットで問題はない。負傷や招集回避が起こった場合のみの変動があるか。特に、柏レイソルが残留をキープできなかった場合、「伊東純也海外移籍」が報じられており、CB昌子源とともに、少なからぬ影響はありそうだ。
大迫の控えは誰になるか。ワントップ選考
S 大迫勇也/ブレーメン
A 小林悠/川崎フロンターレ
B 鈴木優磨/鹿島アントラーズ
C 武藤嘉紀/ニューカッスル
C 久保裕也/ニュルンブルク
D 浅野拓磨/ハノーファー
D 川又堅碁/ジュビロ磐田
D 杉本健勇/セレッソ大阪
大迫は確定。ポイントは先行されるもう1名が誰になるか。日本代表での動きを見る限りでは、小林悠のパフォーマンスが最も秀でていた。2列目の良さを引き出すことを重視すれば、久保裕也という選択肢もできるだろう。真逆の選択で浅野拓磨というチョイスもあるが、皆一様に不調や負傷を抱えており、状況によった選考にならざるを得ないのが現状の課題。
一人、希望の光としては鈴木優磨にスポットが当たる。今回はACL決勝で負傷した箇所の治療に伴って招集を辞退した。アジアカップは日本代表デビューとなる公算は高いものの、鹿島において多くの場数を踏んでおり、リスクは少ないと見える。
一部では「若手が少ない!」との声もあるが、大卒ルーキーである守田英正、大学4年世代の三竿健斗、鈴木優磨、北川航也、東京世代の杉岡大暉、冨安健洋、伊藤達哉、堂安律をノミネートしており、単にリオ世代を中心とした「旧来から招集経験のあった選手」が多い点によるところが大きい。
J1リーグ戦も佳境。天皇杯やCWCなど、残す日程次第でアジアカップの最終的なメンバー選考の詰めがなされていくだろうが、果たして。