横浜F・マリノスは7日、CB生駒仁がカターレ富山への育成型期限付き移籍を発表した。鹿児島城西高校から鳴り物入りで加入したばかりのルーキーだが、ポステコグルー体制で多くの戦術力を試される今季のマリノスにあって、身体能力に秀でた生駒が出場機会を得ることができなかった。トレーニングだけでは補えない部分を実践的に強化するためか、カターレ富山での修行に臨むこととなった。
鹿児島育英館中学で全国準優勝の経験を引っ提げて鹿児島城西高へ進学した生駒は、高校1年時からCBのスタメンを獲得した。チーム事情からサイドバックを経験した試合もあるがCBを中心としたDFのマルチロールとして重宝され、身長を活かしたテクニカルなヘディングやポジション取りのタイミングの良さを発揮してU-18日本代表にも名を連ねた。高校時代の目標は『プロ入り』。世代を代表するDFはプロを意識してトレーニングを重ねた。予選では敵無しも、全国の舞台で勝ち上がるとどうしてか消極的なシーンも散見された。連戦に伴う疲労の蓄積により、右足踏み込みの弱さや決して強気ではないメンタル面等の問題が見つかれば改善への努力を積み重ねて横浜F・マリノスの内定を勝ち取った。
今季のマリノスは序盤からハイラインを敷き、ディフェンスラインにとってハードな戦術となった。撃ち合いになるシーンが多く得点+失点の合計数はリーグトップの数値となっている。目標と据えていたCB中澤佑二がシーズン途中までフル出場し続けたが今夏その記録が途絶えた。CBドゥシャン、CB畠中槙之輔、CBチアゴ・マルティンスとDFを夏に大量に獲得し、ときにはMF扇原貴宏やルーキーMF山田康太が中盤から降りてきてディフェンスラインを形成する。
生駒はマリノスのディフェンスライン強化へ、戦力としてチームを支える力になるため、新たなJ3の舞台へ飛び込み、修行する。試合勘の確保と競り合いやバイタルエリアでの攻防を学ぶ実践的な機会をこれで得られる。来年のU-20W杯へと向けたチームも既に始動している。「プロになる」それは一つのスタート地点でしかない。その後どのようなキャリアを形成すべきか、目標設定と継続的な目的意識・問題意識の萌芽はユース年代や若手選手たちが持ち続けるべき観念になる。