【アストン・ビラ】遂に名門復活へ!様々な困難を乗り越えプレミアリーグへ復帰を決めた古豪

 2010年に名将マーティン・オニール元監督の退任以降、低調な戦いが続く古豪アストン・ビラ。UEFAチャンピオンズリーグ優勝1回、リーグ優勝7回、FAカップ優勝7回を誇るイングランド屈指の名門は2部を戦っていた。
 
 2018年5月26日、チャンピオンシップ・プレーオフ決勝、フラムvsアストン・ビラはフラムが1-0で勝利した。フラムの選手たちが歓喜に湧いてる一方、アストン・ビラのイレブンはウェンブリー・スタジアムのピッチに倒れ込んだ。悔しさのあまり大粒の涙を流す背番号”10″ジャック・グリーリッシュを抱きしめる主将のジョン・テリー。観ているこちらの目頭が熱くなるような光景が広がっていた。

 それから1年と1日が過ぎた2019年5月27日。アストン・ビラはプレーオフ決勝の舞台に帰ってきた。前半44分、元オランダ代表FWアンワル・エル・ガジの渾身のダイビングヘッドでビラが先制。後半59分にはスコットランド代表MFジョン・マッギンが相手GKの隙を突き追加点を記録。後半81分に1点を返されるも2-1で試合は終了。見事4シーズンぶりのプレミアリーグ復帰を決めたのだった。そして昨季限りで現役を退いたテリーに代わりキャプテンマークを務めるグリーリッシュとチェスターがウェンブリー・スタジアムで優勝トロフィーを掲げた。

目次

 

勝ち点「17」

 
 2014-15シーズン、アストン・ビラはFAカップで旋風を巻き起こしていた。準々決勝では同じバーミンガムに本拠地を置く”ライバル”WBAに勝利。準決勝では格上のリバプール相手に2-1で勝利し決勝へ進出。決勝ではアーセナルに0-4で大敗したが中堅クラブの躍進は全英に大きなインパクトを与えた。

 しかし、2015-16シーズンはアストン・ビラにとって厳しいシーズンとなった。デルフ、ベンテケ、ヴァイマン、フラール、クレバリー、ギブンら主力選手が揃って退団。一方、新たに獲得した選手はプレミアリーグでの経験がない選手や、既に全盛期を過ぎた選手ばかりだった。(移籍の詳細は下記にまとめてあります。)チームはボーンマスとの開幕戦こそ勝利したが、その後は大失速。年間勝点「17」という圧倒的な力不足で1992年のプレミアリーグ創設以降初めて2部への降格が決定した。

*()内は現所属
《IN》
GK マーク・バン(アストン・ビラ)
DF マイカー・リチャーズ(アストン・ビラ)*最後にプレーしたのは2016年10月
DF ジョレオン・レスコット(現役引退)
DF ジョルダン・アマビ(マルセイユ)*プレミア初挑戦
DF ホセ・クレスポ(PAOK)*プレミア初挑戦
MF ジョルダン・ヴェレトゥ(フィオレンティーナ)*プレミア初挑戦
MF イドリッサ・ゲイェ(エバートン)*プレミア初挑戦
FW アダマ・トラオレ(ウォルバーハンプトン)*プレミア初挑戦
FW ジョーダン・アユー(クリスタル・パレス)*プレミア初挑戦
FW ルディ・ジェストゥード(ミドルズブラ) など

《OUT》
GK シェイ・ギブン(現役引退)
DF マシュー・ロートン(バーンリー)
DF ロン・フラール(AZ)
MF トム・クレバリー(ワトフォード)*レンタル満了
MF ファビアン・デルフ(マンチェスター・シティ)
FW クリスティアン・ベンテケ(クリスタル・パレス)
FW アンドレアス・ヴァイマン(ブリストル・シティ)など

 

様々な困難に直面

 
 シーズン終了後、チームへの投資を拒むランディー・ラーナーから中国人資産家トニー・シャーへとオーナーが変更。さらには500人の従業員リストラやチェルシーをUEFAチャンピオンズリーグ優勝に導いたロベルト・ディマッティオ氏を招聘など大幅に改革を行った。新たなスタートをきったアストン・ビラだったが、開幕から11試合でわずか1勝と結果を残せずディマッティオは解任。後任にハル・シティを昇格させた経験のあるスティーブ・ブルース氏を招聘した。

 しかし、アストン・ビラの問題は成績不振だけで終わらなかった。9月にグリーリッシュがバーミンガムのホテルで騒ぎを起こしていたことが発覚。リザーブチームへの追放が発表され、3試合の欠場が決定した。さらには同年夏に加入したばかりのFWロス・マコーマックが度重なる遅刻などを理由に戦力外になるなど次々と問題が発覚した。結果、同シーズンは13位でフィニッシュ。1年での昇格を逃したのであった。

あと一歩

 
 続く2017-18シーズン開幕前、驚きのニュースが飛び込んできた。チェルシー一筋だった元イングランド代表キャプテンであるDFジョン・テリーがアストン・ビラに加入。さらにはスコットランド代表MFロバート・スノッドグラスといったプレミアリーグで実績豊富な選手が加入し戦力が大幅に向上した。さらにはクラブの生え抜きであるジャック・グリーリッシュを背番号”10″に任命。背番号”10″を与えたことによりグリーリッシュのメンタル面は大きく成長。かつてのようにピッチ外で問題を起こすことなく、ピッチ上ではチームになくてはならない存在へと成長したのであった。

 リーグ戦はプレーオフ圏内の4位でフィニッシュ。プレーオフ準決勝ではミドルズブラ相手に1-0で勝利。フラムが待つプレーオフ決勝へと駒を進めた。そして2018年5月26日にウェンブリー・スタジアムで決勝戦が行われた。前半23分、フラム主将のトム・ケアニーに先制点を許し1点ビハインドで前半を折り返す。後半は開始直後からビラの猛攻が始まる。この試合でグリーリッシュはデュエル勝利数が”21″回を記録するなどハイパフォーマンスを見せたがチームは0-1で敗戦。プレミアリーグ復帰を直前で逃したのであった。

 

クラブを襲った「資金不足」

 プレーオフ決勝での敗戦に伴い、ビラは財政難に陥る。グリーリッシュに対してはトッテナム、マンチェスター・ユナイテッド、リバプール、チェルシーといったビッククラブが興味を示し放出確実という報道が相次いだ。しかし、7月の中旬にエジプトの大富豪ナセフ・サウィリス氏らが投資したことによりクラブの財政は大きく回復。ナセフ・サウィリス氏ら(55%)、トニー・シャー(45%)という共同オーナーが誕生し、クラブはイングランド代表FWタミー・エイブラハムやスコットランド代表MFジョン・マッギンといった欧州でも評価の高い選手を相次いで補強した。

 
 

歓喜の瞬間、そして未来へ

 2018-19シーズンは開幕2連勝とロケットスタートをきったビラだったが第3節以降は大失速。第11節プレストン戦をもってスティーブ・ブルース監督は解任された。後任にはブレントフォードを率いていたディーン・スミス氏が就任。アシスタントコーチには前年限りで現役引退していたジョン・テリーが就任した。スミス新体制となってからビラはかつての調子を取り戻す。しかし、第21節でグリーリッシュが負傷してからは再び大失速。以降、13試合でわずか2勝と大きく低迷し、残り12試合の段階で13位と昇格は厳しいかと思われていた。この状況でケガから復帰したグリーリッシュがクラブに大きな変化をもたらす。自身が復帰した第35節ダービー戦からクラブ史上初の公式戦10連勝を記録。怒涛の追い上げに成功したビラは、リーグ戦を5位でフィニッシュ。2シーズン連続の昇格プレーオフに駒を進めた。

 プレーオフ準決勝の相手は同シーズンにプレミアリーグから降格してきたWBA。1st leg、2nd legともに苦しい展開となり勝敗はPK戦へともつれた。このPK戦でビラを救ったのが守護神ジェド・スティール。WBAの1番手のメイソン・ホルゲイト、2番手のアーメド・ヘガジのキックを続けてセーブ。結果、PKスコア4-3でビラが勝利し、2シーズン連続でプレーオフ決勝への進出を決めた。

 そして2019年5月27日、ウェンブリー・スタジアム。準決勝でリーズ相手に大逆転で決勝へと駒を進めたダービーとの決勝が行われた。結果は同記事ではじめに述べたようにビラが2-1で勝利。4シーズンぶりのプレミアリーグ復帰を決め、選手やウィリアム王子を初めとするビラのサポーター達は歓喜の瞬間を迎えたのであった。だが、プレミアリーグ復帰というのは名門復活に向けたスタートラインに立ったことに過ぎない。1部リーグ優勝7回を誇る名門の完全復活に向けた道のりは始まったばかりだ。



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