8-2、5-2と2試合連続で大味な試合となったのは、横浜F・マリノスの戦術とベガルタ仙台の戦術に相性だけでは言い切れない試合内での心理現象があったことによる。9/29に行われた一戦を紐解きつつ、謎の解明とマリノスのプラン、ベガルタの改善案について示していきたいと思うが、その全ては『山中亮輔』に起因する点は先んじて書き示したい。
先制点を奪った山中と奪われたシュミット
こぼれ球をMF天野純が保持すると、後方にいるはずのDF山中亮輔へとパスを回す。次の瞬間、インパクトされたボールはニアサイドからDFとGKシュミット・ダニエルの反応をぶち抜いた。
前回の借りがある仙台にとって、早々に奪われた先制点は勢いと高まっていた意識を削いだ。
マリノスの中盤に課されたタスク
ベガルタ仙台のポイントは、左ストッパーのDF板倉滉とMF奥埜博亮だ。攻め急いでくるだろう仙台を前線から抑える必要があった。そのため、板倉には仲川輝人、DF平岡康裕にはFW遠藤渓太を当ててプレッシング。MF天野純とMF大津祐樹はWB蜂須賀孝治とMF関口訓充をサイドラインに釘付け、MF奥埜、MF富田晋伍を後方に下げるプレッシングに従事。状況に応じてDF松原健と山中が中盤に顔を出して前線まで飛び出していく。特に山中は蜂須賀、天野の動きを見ながらアンダーラップを繰り返すことで驚異となった。
山中亮輔による”山中ゾーン”の恩恵を受けた選手とは?
山中亮輔がフリーになり前線へと侵入すると、ストッパーは平岡康裕だ。すなわち、3トップvs3バックの構図上どこかに1枚余る『アウトナンバー』の状態が生まれる。結果として山中のミドル以外は仲川輝人とウーゴ・ヴィエイラの2ゴールずつであり、遠藤渓太が中でさらなる動きを見せうことでどちらかをフリーにさせていた。
もちろん、マリノス2点目と4点目の仲川、ウーゴの個人打開は見事なものだ。
ベガルタ仙台がすべきだったこと
蜂須賀孝治のクロス、関口訓充の突破が封じられたため、奥埜博亮の中央突破と板倉滉の起点化が取れた行動だ。しかし、早期の失点に伴いラインを上げることに失敗。2失点に絡んだ大岩一貴とシュミットのトラップミスも重なってしまった。
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