【ロシアW杯データレポート】圧勝劇を生んだロシアが見せた「強み」の活かし方

合計4得点に絡んだゴロヴィン

 ロシア・ワールドカップ(W杯)が現地時間14日に開幕し、開催国ロシアがサウジアラビアを5-0で下す快勝劇で開幕戦に華を添えた。前半23分に司令塔MFアラン・ジャゴエフが左太もも裏を押さえて負傷交代するアクシデントに見舞われたが、交代出場したMFデニス・チェリシェフが2得点するなど5-0と圧勝し、1986年メキシコ大会以来のグループリーグ突破を目指すロシアにとって最高の開幕戦となった。この試合をデータで紐解くと一人の選手を起点にしたロシアの戦術の核が浮かび上がってきた。


 鍵を握るのはMFアレクサンダー・ゴロヴィンだ。後半アディショナルタイムにチーム5点目となる直接FKを右足で決めただけでなく、MFユーリ・ガジンスキーが決めた1点目とFWアテム・ジェバが決めた3点目それぞれにクロスを供給し、2アシストも記録。チーム合計15本のクロスの内成功は3本だが、そのいずれもを通したのもまたゴロヴィンの右足だった。

 パス数は35本、成功率も71.4%と決して高くはないものの、クロス本数5本で成功率60.0%、チャンス創出回数5回と攻撃の牽引者として傑出したデータを見せている。

制空権を握ることで見出した勝機

 ポゼッションは61.3%とサウジアラビアに分があった。試合内で558本のパスを行い、パスから試合を作ろうとしていたことが分かる。対するロシアはポゼッションやパス数で劣るものの、デュエル成功率は54.8%、空中戦に至っては74.0%と制空権を握っていたことが分かる。

 ロシアは後方からのロングボールやクロスで空中戦を制すことで、味方選手をペナルティーエリア内へと押し上げ、シュートに結びつけることに成功した。結果として14本のシュートを打ったが、その内11本がペナルティエリア内からのシュートだ。枠内シュートには7本がつながっており、正確性もさることながら選手やチームの「強み」を活かしたサッカーをできた点が勝利につながったのではないだろうか。



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