【選手名鑑】ニール・エザリッジの現在地|24歳で「無所属」を経験したカーディフGKの苦難の道程

 5シーズンぶりにカーディフがプレミアリーグの舞台へ戻ってきた。2018年8月11に行われたボーンマスとの開幕戦、2-0で敗れるも持ち味である「堅い守備」はプレミアレベルでも十分に通用していた。堅守を誇ったカーディフ守備陣の中で、一際目立つ活躍を披露したのがフィリピン代表GKニール・エザリッジだった。この試合に出場したことでプレミアリーグでプレーした初めてのフィリピン人選手となったエザリッジだったが、この舞台へ辿り着くまで想像を絶する茨の道を歩んでいたのであった。

目次



ニール・エザリッジのプレースタイルと選手紹介

 GKに必要な能力をハイレベルに兼ね備えている。特にシュートストップとPKセーブを得意としており、18-19シーズンは開幕戦から2試合連続でPKセーブを記録。「プレミアリーグデビューから2試合連続でPKセーブ」は、プレミアリーグ史上初の出来事であった。17-18シーズンは、チャンピオンシップ(イングランド2部)で最小失点を記録。

ニール・エザリッジのプロフィール

選手名 ニール・エザリッジ
ポジション GK
出身 イングランド/ロンドン
年齢/生年月日 28歳/1990年2月7日
身長・体重 188cm・90kg
現所属チーム/背番号/利き足 カーディフム(イングランド)/1/右足
代表/デビュー年 フィリピン代表/2008年10月19日
過去所属 ウォルソール、チャールトン、フラムなど
クラブ・代表タイトル なし
個人タイトル なし

幼少期からプロ選手になるまで

 ニール・エザリッジは、1990年2月7日ロンドンでイングランド人の父とフィリピン人の母の間に生まれた。9歳の頃にサッカーを始め、03年13歳でチェルシーの下部組織出身に入団。入団当初はFWとしてプレーしていたが、その後コーチの提案でGKにポジションを変更。06年、同じくロンドンのクラブであるフラムの下部組織出身に移籍。07年にはフィリピンサッカー協会から代表入りのオファーを受け、翌年にフィリピン代表デビュー(当時18歳)。そして、フラムU-23でプレーしていた10年夏、トップチームのGKが負傷したため急遽プレミアリーグの試合でベンチ入りをすることとなった。しかし、負傷していたGKがケガから復帰するとベンチ外となり、プレミアリーグのピッチに立つことなくユースチームへ戻ることとなった。ここからエザリッジのサッカーキャリアは狂い始める。



24歳で「無所属」に

 翌シーズンから出場機会を求めてチャールトン、ブリストル・ローヴァース、クルー・アレクサンドラなど下部リーグのクラブへレンタル移籍を繰り返す。しかし、全くと言っていいほど結果を残すことが出来なかった。4度レンタル移籍をするも全て2ヶ月以内に打ち切られた。そして14年夏、フラムとの契約が満了を迎え「無所属」となる。無所属となったエザリッジは、現役を続けるために以前レンタル移籍でプレーしていたチャールトン(当時2部)のトレーニングに参加する。しかし、契約しているわけではないので全て自費で賄った。生活費に困ったエザリッジは、自分の家や車を売りなんとか生計を成り立たせた。無所属となってから約4ヶ月後、当時3部のオールダム・アスレティックと2ヶ月の短期契約を結んだ。ようやく所属チームを見つけたのだが、お金も家もないため友人の家で寝泊まりし、ソファーで寝ていたという。

あの時の「チャールトン」

 2ヶ月後の11月末、無所属時代にトレーニングしていたチャールトンへ復帰を果たす。しかし、14-15シーズンのチャールトンの正GK争いは非常にハイレベルであった。この時に在籍していたメンバーを見れば納得するだろう。当時、主に正GKを務めていたのがスティーブン・ヘンダーソン(現ノッティンガム・フォレスト/元アイルランド代表)。エザリッジが入団した当時、2番手GKを務めていたのがニック・ポープ(現バーンリー/イングランド代表)であった。ポープが出場機会を求めて1月にベリーFC(当時4部)へレンタル移籍した後に、後釜として加入したのがマルコ・ドミトロビッチ(現エイバル/セルビア代表)であった。当事者を含め、世界中の誰もがチャールトンのGKから2人もロシアW杯メンバーが輩出されるなど夢にも思わなかっただろう。さらに当時のフィールドプレイヤーも確認していただきたい。リバプールからレンタル移籍で加入していたDFジョー・ゴメス(現リバプール/イングランド代表)、トッテナムからレンタル移籍で加入していたDFミロス・ベリコビッチ(現ブレーメン/セルビア代表)、アーセナルからレンタル移籍で加入していたMFフランシス・コクラン(現バレンシア/フランス)、MFヨハン・ベルク・グズムンドソン(現バーンリー/アイスランド代表)といった2部とは思えない非常に豪華なメンバーが在籍していた。このハイレベルな争いにエザリッジは勝つことが出来ず、2015年夏にウォルソール(当時3部)へと活躍の場を移した。

ようやく掴んだ出場機会

 ウォルソール(当時3部)では開幕直後からスタメンの座を確保。プロ選手となってから初めて「出場機会」を手にしたのであった。2シーズンに渡ってウォルソールの正GKを務め、大きな自信を手にしたエザリッジは、17年夏にカーディフ(当時2部)へと移籍する。自信にみなぎるエザリッジは以前のエザリッジと違った。リーグ戦45試合に出場し、リーグ最少失点の37失点に抑えた。チームはリーグ戦を2位でフィニッシュし、5シーズンぶりの1部復帰に大きく貢献した。

8年越しのプレミアリーグデビュー

 そして18-19シーズンのプレミアリーグ開幕戦、ボーンマス戦の先発メンバーに名を連ねた。初めてプレミアリーグの試合でベンチ入りしてからおよそ「8年」が経とうとしていた。1度は無所属となり、家や車など何もかもを失った男が世界最高峰の舞台へ返り咲いた瞬間だった。そしてキックオフ。24分に先制点を許し、35分にDFが相手FWを倒してしまいカーディフがPKを献上。ここで追加点を決められてしまったら勝利がさらに遠のく場面で自信にみなぎる男が立ち塞がる。ボーンマスFWカラム・ウィルソンのキックを完璧に読みPKをストップ。追加点を許さず流れを渡さなかった。プレミアデビューでPKストップをしたのは、13-14シーズン開幕戦チェルシーvsハル・シティでPKを止めたハルGKアラン・マクレガー以来2人目の快挙であった。その後、試合終了間際に追加点を奪われ2-0で敗れるも、エザリッジの鮮烈デビューは非常に印象に残るものだった。続く第2節ニューカッスル戦でも試合終了間際にPKストップ。史上初のデビューから2戦連続PKセーブに加え、チームにプレミアリーグ復帰後初の勝ち点「1」をもたらしたのであった。そして、何よりも楽しみなのがバーンリーGKニック・ポープとの直接対決だ。かつてチャールトンでポジションを巡ってしのぎを削りあった戦友と、1部の舞台で相まみえるのだ。残念ながら現在、ニック・ポープが負傷しているため10月のカードでの直接対決は厳しそうだが、順調に回復すれば4月のカードでの直接対決が濃厚だ。共に「想像を絶する苦労を重ねて今がある」選手同士の対決に注目だ。

ニール・エザリッジの動画



年度別出場成績

18-19/カーディフ(第7節終了時)

プレミアリーグ 7試合16失点

17-18/カーディフ

FLC(英2部)  45試合37失点
FAカップ    2試合3失点
EFLカップ    0試合0失点

16-17/ウォルソール

FL1(英3部)  41試合51失点
FAカップ    1試合1失点
EFLカップ    1試合2失点
RFLトロフィー  0試合0ゴール

15-16/ウォルソール

FL1(英3部)  40試合40失点
FAカップ    5試合4失点
EFLカップ    3試合8失点

14-15/オールダム/チャールトン

FL1(英3部)  0試合0失点
FAカップ    1試合2失点
EFLトロフィー  1試合2失点

FLC(英2部)  4試合10失点
FAカップ    1試合2失点

13-14/フラム/クルー・アレクサンドラ

プレミアリーグ 0試合0失点
EFLカップ    0試合0失点

FL1(英3部)  4試合5失点

12-13/フラム/ブリストル・ローヴァース

プレミアリーグ 0試合0失点
FAカップ    0試合0失点

FL2(英4部)  12試合21失点

11-12/フラム

プレミアリーグ 0試合0失点
EL       1試合2失点
FAカップ    0試合0失点
EFLカップ    0試合0失点

10-11/フラム/チャールトン

プレミアリーグ 0試合0失点
FAカップ    0試合0失点
EFLカップ    0試合0失点

FL1(英3部)  0試合0失点



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