【伊藤洋輝】A代表苦戦の北朝鮮を封じ込めた攻守のカギ


 大きな弧を描いたボールがDF柳貴博(FC東京)の足元に落ちるのを見ると、誰よりも先に安堵の表情を浮かばせた。柳の足に当たったボールは何の気なしにゴールへ吸い込まれる。歓喜の輪の外側からMF伊藤洋輝(磐田)は喜んでいた。
 AFC U-23選手権、グループリーグ第3戦の北朝鮮戦は、ほとんどが控えメンバーが起用された。初戦を、前大会最終戦の退場を契機として出場停止を受けていた伊藤は寒いスタンドから見届けていた。
 3戦目は早速嬉しいアシストを記録。結果としてA代表が苦戦したメンバーと半数を同じくする北朝鮮に対して3-1での勝利に大きく貢献した。

 U-15時代からジュビロ磐田だけでなくアンダーカテゴリーの代表にも名を連ねたが、高1にして184cmの体躯に、キック力、コントロール、守備力もあることから、守備的なMFが主戦場となった。世代の上には、MF堂安律(現・フローニンヘン/オランダ)、下にはMF久保建英(FC東京)がおり、ポジションの都合上メディア向けの選手ではなかったが、飛び級して選ばれ続けるなど、実力は折り紙付きだ。

 188cmでレフティーの大型ボランチは国内史上例を見ない素材の一人。推進力やミドルシュートをセルフイントロデュースするがまさに体現した北朝鮮戦だった。
 1点目を冒頭の形でアシストするや、2点目はFW旗手怜央(順天堂大)のダイアゴナルランに対して左サイドからオーバーラップし、ペナルティエリアへ絶妙な配給をすると、MF三好康児(札幌)が決めた。
「あんな大柄な日本人がサッカーを…」
「あんな大柄な選手が足の速さを持ち合わせているなんて…」
「あんな大柄な選手が後方から飛び出してくるなんて…」
「あんな大柄な選手が飛び出して冷静に折り返せるなんて…」
世代や知識差で感想形態に差も生まれど、
例を見ない屈指の実力はひと目で分かる、まずはとくと味わってほしい。

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