5月25日から行われたF1第6戦モナコGPはフリー走行から予選、本戦と一貫してトップを守り続けたレッドブルのダニエル・リカルドがポール・トゥ・ウィンでレースを制した。2年前のこの地で動揺にポールを獲得したものの、メルセデス所属のルイス・ハミルトンに後塵を拝し、2位でフィニッシュした過去とついに決別することができた。
メルセデスやフェラーリの強豪を押さえつけるのは簡単なことではない。しかし、彼らを圧倒するまでにモナコにおけるレッドブルの戦略は完璧だった。リカルドもマックス・フェルスタッペンも強気な姿勢を見せ続けた。しかし、フェルスタッペンに悲劇が起こる。その姿勢こそが3回目のフリー走行のクラッシュにつながった。
予選に出場できなかったフェルスタッペンは最後尾からの出走が決定。好走を見せたリカルドがポールを獲得する。レッドブルとしては予選ワン・ツーフィニッシュさえも構想に入れていたようだが、ワン・ラストからのスタートとなった。
スタートからフェルスタッペンは車体を続々と抜かしていく。モナコにしては珍しくアクシデント量が少ないまま進行する。しかし問題はタイヤだった。ユーズドハイパーソフトからウルトラソフトへと変更した上位ドライバーが軒並み低調なパフォーマンスを見せたのである。それに対し、スーパーソフトに変更したボッタス、オコン、ガスリーさらにはウルトラソフトからハイパーソフトに変更したヒュルケンベルグ、フェルスタッペンのパフォーマンスが明らかに異なった。リカルドにとっては、2年前同様のタイヤ問題からインターメディエイトに変更したピット作業でハミルトンに抜かれているだけにサーキットには緊張が走った。
上位陣のタイヤパワーが低下していくと考えれば、5番手走行中のボッタスにとってはラッキーだ。リカルド、ベッテル、ハミルトン、ライコネンのトップ4とのタイム差、ピットイン時のロスを考慮するとトップに立てる、オコン・ガスリーもコンストラクターズ3強に食って掛かることができる位置に順位を上げることができそうだった。特にガスリーに関してはユーズドハイパーソフトを37周をもたせるなどタイムマネジメントの巧さを世界に見せつけるセンセーショナルな一面もあった。
しかし、上位4選手はさらなる脅威で返した。パワーダウンしたタイヤをもたせて「2ストップにしない」ために試合をコントロールしていたのだ。
オーバーテイクできないコースだからこそ、戦術や策略が垣間見られるモナコにおいて、スペクタクルなシーンこそなかったものの、玄人好みなレース展開は、見るものをワクワクさせる展開となった。