サッカー日本代表6月シリーズ代表選考考察

【大きな不思議はない代表選考】

今回の代表選考では、
GK西川周作(浦和)
CB森重真人(F東京)
MF清武弘嗣(C大阪)
ST宇佐美貴史(アウグスブルク/ドイツ)
ST武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)
らが招集見送りとなり、
新たに
GK中村航輔(柏)
CB三浦弦太(G大阪)
SB宇賀神友弥(浦和)
MF加藤恒平(ベロエ/ブルガリア)
が代表招集を受けた。
怪我明けのMF今野泰幸(G大阪)の代表招集、
普段はボランチのMF井手口陽介(G大阪)がトップ下で招集されるなど、
普段とはまた異なった招集を行ったハリルホジッチ監督。

特に
・レギュラーCB森重真人のランクダウン
・代表直近におけるアシスト王MF清武弘嗣の非招集
・「…MF加藤恒平って誰?!」
というのは、メディアを騒がせる程度には物議を醸している。

ただ、僕は「妥当だな」という点と、
アルジェリア代表時代に結果を残したハリルホジッチが、
日本的なスタイルでの結果にコミットし始めたのではないかと考えた。
そう思えば、今回の招集は大きな不思議ではない。
それらを一つずつ解明していく。

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① GK中村航輔出場の可能性とGK選手の順位付け
② CB森重真人のランクダウンに見るCBへの注文
③ LSB宇賀神友弥の招集とRSB酒井宏樹べた褒めの理由
④ MF加藤恒平のセールスポイント
⑤ 中盤のオーガナイズ方法
⑥ フィールドプレイヤーの順位付け
⑦ 【総括】日本版ハリルホジッチの真髄
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①GK中村航輔出場の可能性とGK選手の順位付け
ハリル発言におけるポイントは「チームを勝たせるゴールキーパー」との点にある。
GK西川周作のポイントは『正確な左足』であり、ゴールキーピングやセーブ、予測等含め総合力こそ高いが守備面がフィーチャーされる選手ではない。
現に最近のリーグ戦やACLでは失点や大量失点も目立ち、明らかに完封率も減っている。
もちろん失点はGKの責任だけではないが、ディフェンスラインが抜かれた後のセーブで士気を高め、攻撃陣の奮起を促すことができる。

GK中村航輔は183cmと大きくもなく、『正確なフィード』もないものの、ストロングポイントは予測力とポジショニング。
ファインセーブはあくまで結果論であり、反射神経や予測、ポジショニングの正確さがあって成立する。

GK川島永嗣(メス/フランス)も、GK東口順昭(G大阪)も、守備的なアクションに優れた選手たち。
ハリルホジッチはGKに守備力とゴールキーピングを求めて、CBにはフィード力と起点力を求めているようだ。

コメントも総合すれば、
1,川島永嗣
2,東口順昭
3,中村航輔
4,西川周作
5,林彰洋(FC東京)
となるが、現に招集されなかった2人は攻撃性は高く、ポジショニング等に難もある選手たちである。
②CB森重真人のランクダウンに見るCBへの注文
代表におけるCB森重真人の役割は正確につけるフィードにあった。現にアジア予選段階ではCB吉田麻也含め後方からのフィードを実行するタスクが過去の代表と比べて圧倒的に増加した。
我々日本人は、MF中田英寿・MF遠藤保仁(G大阪)・MF青山敏弘(広島)・中村憲剛(川崎)など、ボランチラインに起点となれるパサー・散らし屋を据えて戦ってきた。
しかし海外の最先端は一列後方のディフェンスラインで組み立てを行っている。
渋滞化した中盤をオーガナイズするのではなく、混雑を逆手に取る手段である。

ザッケローニ体制後期に重宝されたCB森重真人のスタイルは、【モリゲターン】と呼ばれたサイドからのクロス、CBとは思えない攻撃時のセンスもあるが、
『左から崩して右で仕留めるサッカー』においてLSB長友佑都(インテル/イタリア)の裏をケアでき、RMF岡崎慎司(レスター/イングランド)の上がりを推進させる存在として、だった。
アギーレ期にはキャプテンマークも巻いたが、アギーレもハリルホジッチも目指したのは、【欧州最先端のコンダクター型CB】の存在によるもの。
しかし、今季のFC東京では一列前にMF高萩洋次郎が加入したこともあり、代表で見せてきた起点役になることはなく、前時代的なリアクション型のCBと化してしまった。
特に、SB太田宏介とのセットプレイ時には最前線にも上がってしまうため、リトリート時の守備にも手を焼いているように思う。
守備の失点責任にも入らないデータ外の話だが、失点責任に値しないのは、「そのポジショニングを取る状態にすらいないから」となっている。

今季の国内リーグでフィード役(以下、フィーダー)かつ成功率の高い選手は、
1,福森晃斗(札幌)
2,三浦弦太
3,中谷進之介(柏)
4,森脇良太(浦和)
5,中山雄太(柏)
となる。
ただし、CB槙野智章(浦和)や福森、森脇は3バックの右と左でもあり、4バック型とは異なる。
残す3名の内最も高かったCB三浦がCB森重枠にそのまま抜擢されたのは、フィード力を見られている点だとわかる。
③LSB宇賀神友弥の招集とRSB酒井宏樹べた褒めの理由
ではサイドバックはどうか。
SB酒井宏樹(マルセイユ/フランス)は所属チームのフィールドプレイヤーでシーズン最多出場を見せるほど重宝された。
先のU20W杯、日本の失点シーンがキーとなる。
南アフリカ戦の1失点目、イタリア戦の1失点目はオフサイドラインを保っていたCB中山雄太(柏)・CB冨安健洋(福岡)…
から逸脱して保てなかったSB初瀬亮(G大阪)の裏を平面ではなく空間的に支配され、喫してしまった。
・旧来通りのサイドバック能力を有する点
・追い越す動き、前線の推進力を上げる動きを可能とする点
に加え、
・ラインコントロールができる点
が現時代型サイドバックの素養として必須となる。
2010年代のバルセロナが風靡した中盤をオーガナイズしたパスサッカーを打ち砕くためには、
・中盤含めた組織力を超えるか
・中盤自体の戦力を削ぐアクションを見せるか
ザッケローニ時代は各ポジションを縦に伸ばし、後者に備えた進化の途上にあったが、
ハリルホジッチ体制は進化し、現時代型の攻撃に対応できるディフェンダーを必要としている点が見受けられる。
その意味では、常にラインを見る『体勢』を取り続けている、
長友佑都、酒井宏樹、酒井高徳(+内田篤人についてもハリルは素晴らしいプレイヤーと評価する)は、
よほどのことがない限り落選するケースはありえないだろう。
逆に言えば、今季ハリルホジッチが要求する守備をこなせているSBは、
・宇賀神友弥
・吉田豊(鳥栖)
・車屋紳太郎(川崎)
・小池龍太(柏)
実はそれほど多くもない。
招集経験のあるSB太田宏介(F東京)やSB藤春廣輝(G大阪)、または各メディアで推されていたSB松原后(清水)などは縦突破等攻撃に活路を見出した、
アップデートの完了していないサイドバックであり、守備面の比重の変化が見られない限りは招集の可能性は高くないのかもしれない。
④MF加藤恒平のセールスポイント
今回の招集に関する大きなポイントがMF加藤恒平の存在感となる。
ボランチ型の招集メンバーから考えても、
山口蛍(C大阪)
遠藤航(浦和)
今野泰幸
井手口陽介
(+長谷部誠は怪我のため)
ボール奪取型の選考を実施していることが伺える。
これは上記②で述べた『フィーダー』としての役回りは中盤ではなく守備ライン組に求めていることも影響している。
これだけでも加藤の特徴は守備型にあると推察もできる。
(※山口とプレースタイルが似ているとも話していたし)

これは少し前の映像でもあるが、
連動して挟み込むのでなく、相手から刈り取って次のアクションにうつるための行動の速さと得点シーンへと直結するプレーを見せているのが大きなポイントとなる。
日韓W杯前後の明神智和(長野)
アテネ時代の今野泰幸
ロンドン時代の山口蛍
2017U17W杯の三竿健斗(鹿島)
リオ時代の井手口陽介
らがハントして次のアクションに移すことを代表の場で実践してきた選手たち。

代表外では、
・富田晋伍(仙台)
・三竿健斗
・橋本拳人(F東京)
・喜田拓也(横浜FM)
・原輝綺(新潟)
・小泉慶(新潟)
あたりが候補だが、各種状況から考えても厳しく、追っていた加藤に白羽の矢が立ったのだろう。

海外ででもこのタイプの中盤の選手は、強いて言ってもMF金城ジャスティン俊樹(フォルトゥナデュッセルドルフ/ドイツ)が今後の可能性を残すほどで、
それほどまでに現日本人内では貴重な選手でもある。
⑤中盤のオーガナイズ方法
ハリルホジッチはどうやら日本型のパターンを見つけたのではないか。
前回の選考時にそのヒントが撒かれ、今回の選考で明らかとなった。
ポイントは、
http://u0u0.net/DL3E
こちらも弊社が上げたものだが、今季のガンバ大阪が実践する、
・サイドハーフ=運動量のあるボランチが担当
・トップ下=運動量と決定力のある選手が担当
起点役がボランチライン・サイドラインから始まると仮定し、左・中前・右それぞれにプレスのできる選手を配置。
ガンバの場合、起点役を三浦弦太とボランチラインのMF遠藤保仁(こちらは開幕当初のみ)を据えた。

ハリルホジッチは、運動量を基軸に
長谷部誠・遠藤航には+キャプテンシーを
今野泰幸・山口蛍・井手口陽介には+強固な刈り取る機能を
香川真司・倉田秋には+決定力と前線での判断役を
求めているのだと思う。
だから、MF清武弘嗣落選は、もちろん90分間代表の試合で出場することに疑念があるからこそ、と考えていい。

GKは自分のゴールマウスを、
CBは守備にフィード力を、
SBは前線に推進を促し、ラインコントロールできる力を、
MFはプレッシングに運動量を必要としている。
FWはもちろん得点がベストだが、得点に結びつくための動きをし続けられることが必須のようだ。

⑥フィールドプレイヤーの順位付け
【CB】※Nはネクスト、候補的選手
1,吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)
2,昌子源(鹿島)
3,槙野智章
4,三浦弦太
5,森重真人
6,植田直通(鹿島)
7,丸山祐市(東京)
N, 中谷進之介
N, 中山雄太
N, 冨安健洋

【SB】
1,酒井宏樹
2,長友佑都
3,酒井高徳(ハンブルガー/ドイツ)
4,宇賀神友弥
5,内田篤人(シャルケ/ドイツ)
6,太田宏介
7,車屋紳太郎
N, 室屋成
N, 小池龍太
N, 吉田豊

【MF】(ボランチ)
1,長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)
2,今野泰幸
3,山口蛍
4,遠藤航
5,井手口陽介
6,加藤恒平
7,永木亮太(鹿島)
8,高萩洋次郎(F東京)
N, 小泉慶
N, 三竿健斗

【MF】(攻撃的)
1,香川真司(ドルトムント/ドイツ)
2,倉田秋(G大阪)
3,清武弘嗣(C大阪)
4,大島僚太(川崎)
5,柏木陽介(浦和)
6,柴崎岳(テネリフェ/スペイン)
7,小林祐希(へーレンフェーン/オランダ)
N, 江坂任(大宮)
N, 鎌田大地(鳥栖)
N, 堂安律(G大阪)

【FW】(左サイド)
1,原口元気(ヘルタ/ドイツ)→移籍?ブライトン?
2,乾貴士(エイバル/スペイン)
3,宇佐美貴史
4,武藤嘉紀(マインツ/ドイツ)
5,齋藤学(横浜FM)

【FW】(右サイド)
1,久保裕也(ヘント/ベルギー)
2,本田圭佑(ミラン/イタリア)→移籍?
3,浅野拓磨(シュトゥットガルト/ドイツ)
4,鈴木優磨(鹿島)
5,南野拓実(ザルツブルグ/オーストリア)

【FW】(中央)
1,大迫勇也(ケルン/ドイツ)
2,岡崎慎司
3,興梠慎三(浦和)
4,金崎夢生(鹿島)
5,杉本健勇(C大阪)
⑦【総括】日本版ハリルホジッチの真髄
<選出理由>
現ハリルホジッチ体制では、
GK:ゴールキーピング力・セーブでチームに活力を与えられる能力
CB:デュエルで負けないことは当然、予測力・正確なフィードを武器にできること
SB:ラインコントロール・推進力を基軸とし、それ以外の武器を兼ね備えていること
DMF:パス技術を基本とし、運動量・地上戦デュエル・プレス・プレスバックを遂行できること
OMF:パス技術・視野の広さは当然であり、運動量・くさびの技術とボールを収められること
WG:上下動の献身的スプリントとサイドからゴールに直結する動きの引き出し
CF:ボールを収めることができ、自身の決定力または前線を活性化させる動きができること

逆に言えば、

GK:セービング・ポジショニングがよくなければ選出はない
CB:フィード力、デュエル、守備時90分間の集中力等に欠如が見られる場合の選出はない
SB:守備を重視できない場合、デュエルに難がある場合
DMF:運動量に問題があること、ロングパス・ミドルパス精度が高くても大きな加点ではない。
OMF:運動量・技術に問題があること、明確な違いを作り出せないこと
WG:スプリント・サイドからの得点パターンが見受けられないこと
CF:決定力・プレス・ボールを収められない場合

以上のケースが該当される場合は呼ばれることもない。

<攻撃戦術>
プレスをしながらダメージを与え、ボールを刈り取る。
・中盤からのパス回し
・CBからのフィード
を起点として、
・トップ下
・ウイング
を経由
・CF
・サイド選手がそのままフィニッシュ
相手の攻撃を無効化してダメージを与え、一気呵成にカウンターで仕留める。

<守備戦術>
全年代苦手とする中央からサイドバックの裏をつくフライスルーパスへの対応を実行。
CF・トップ下選手で中央を締め、ウイングとサイドバックがそれぞれ連動して鍵をかける。
それでも漏れる部分はボランチ2人が動き回ることで中盤エリアを制圧。
プレス自体も、
・サイド
・無理やりフィード
をうたせることでディフェンスチームは余裕を持って対応可能となる。

試合込みの解説を今後実行することで、

招集の結果論をデータとともに振り返ることができるだろう。

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