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【中村敬斗】「オールド・トラッフォードへ…」ガンバ大阪でスタートしたミレニアム世代の牽引者

「プロでやろうと思っています。12月ぐらいまでには決めたいです」
ガンバ大阪への練習参加を終えた後、記者陣の前で話す姿にもう幼さはなかった。
その目は一体何を見据えるのだろうか。

「まだ高校2年生」とも言ってられない。ミラン所属のGKドンナルンマを含め、海外トップリーグで活躍する若手選手が次々に現れている。プリンスリーグに所属する三菱養和ユースで出続けるのもまた歯がゆい。
「プロでやる」
いてもたってもいられなかったのか。U17W杯を秋に控え、自身の決意を再確認したーーー。

 

●00世代の牽引者


U17世代を引っ張ってきたのは、MF久保建英ではない。
正確に言えばMF久保建英は「ひとつ下」の世代にあたり、00世代の代表発足時にはいなかった。

オールド・トラッフォードでの原体験

この世代を牽引してきたのは紛れもなくFW中村敬斗。小学生時代には柏レイソルの下部組織に身を置き、FW森海渡(柏レイソルU18/U17日本代表候補)らと共に得点を量産していた。初期衝動は2012年の夏に遡る。マンチェスター・ユナイテッドが主催するサッカースクールのスキルズテストで優秀賞を受賞し、ホーム、オールド・トラッフォードで行われた【スキルズファイナル】へと駒を進めた。最優秀賞には輝けなかったが、世界中から集められたプレイヤーの中で切磋琢磨することができた。
「今の目標は、もう一度あのオールドトラッフォードに立つ日が来るために、頑張りつづけることです」
他の選手が流暢な英語を使う中でショックを受けながらも、自らの言葉でそうつぶやいた。



 

世界への扉

柏レイソルU12から高野山サッカースポーツ少年団へと移籍。実力は向上し続け、マンチェスター・ユナイテッドから戻るとすぐU12ナショナルトレセン候補(関東)へと名を連ねる。
現代表候補…
・前出のFW森海渡(柏レイソルU18)
・FW宮代大聖(川崎フロンターレU18)
・FW棚橋尭士(横浜FMユース)
・MF椿直起(横浜FMユース)
・MF平川怜(FC東京U18)
・SB菊地健太(JFAアカデミー福島)
らも既に才能を評価されていた。中学年代へ上がると、千葉から身を移し、街クラブ系の最高峰『三菱養和ジュニアユース』に所属。前年の全国覇者柏レイソルU12のメンバー含め、世代屈指の実力者がひしめく中、その中でもすぐに頭角を現す。基本、月曜・水曜・金曜の夜に戦術練習を行い、土曜・日曜は遠征か試合。個人の力量を上げる時間は、大人から付与されるスケジュール内でこなせるものでは無かった。それでも、U12から継続してU13、U14、U15と、宮代や平川、MF鈴木冬一(C大阪U18)、CB瀬古歩夢(C大阪U18)、GK谷晃生(G大阪U18)らと共に世代を牽引してきた。東京五輪世代にも該当することで、前例がないほどの大会経験・海外遠征経験を与えれてきた世代の中で、FW中村敬斗は常時招集され、国内、アメリカ、アジア、ヨーロッパ…と何試合にも出場し続けてきた。

プロで食っていくための武器


2015年になると、U17W杯に向けたチームが始動した。変わらず宮代や平川らと選出される一方で、この頃にはFW久保建英(FC東京U18)もメンバー入りしていた。招集されるメンバーに絶えず言われ続けたのは
「プロで食っていくための“武器”を持て」との言葉。
自分自身、「まだまだ」とは言っていたが、総合力を伸ばしていくこと以上に、、右足のパンチ力に磨きをかけていった。
右足の力を最大限に引き出せるようにと、周辺部位やテクニックも身につけていき、実践で…
https://twitter.com/t_m_0909/status/777681366108418048
のようなエラシコを披露するなど、中盤からガンガン前に攻めるスタイルをとるようになる。

開きつつある感情

同世代には負けたくない。中学を卒業し、高校に進学したが、ここではチームを変えず三菱養和ユースへと席をおいた。例年、チームを変えないことも多い街クラブにおいて中村の世代は、大変動があったのもポイントだったかもしれない。高校になると、1年単位のチームではなくなったがそれでも2学年上の先輩相手とも張り合い、チームのエースFW平山駿とともに得点を量産した。U17W杯予選への強化も含め、
16年
  3月:ウズベキスタン遠征
  5月:中国遠征
     ベトナム・インド遠征
  7月:オマーン遠征
  9月:AFC U16選手権
 12月:チリ遠征
17年
  2月:スペイン遠征
  3月:アメリカ遠征
  5月:ギニア・UAE遠征
もちろん、代表の海外遠征だけではないし、国内での代表の大会や、ミニ合宿、自チームの遠征や試合もある。傍らでは、リオ五輪や海外のリーグ戦で次々に若いライバルたちが出現。谷、平川やMF喜田陽(C大阪U18)は既にJ3に出場、久保と瀬古はJ1のルヴァン杯へも出場した。久保はさらに一つ上のU20W杯の予選・本戦に招集もされた。クラブも違うし、立場に甘んじたわけでもない。それでも忙しさにどこか『慣れていた』のではないだろうか。
そして、その殻を破りたかった。

プロとして

U17W杯を秋に控えたこの夏、中村は
・G大阪(G大阪U23)
・FC東京(FC東京U23)
・C大阪(C大阪U23)
・ジェフ千葉
などのチームに練習参加した。
ガンバと東京で悩んでいる話も聞いていたが、MF堂安律というお手本がいるガンバ大阪は一つの解に感じている。ミレニアム世代とも呼ばれる00世代はには大きな活躍を望む。プロとして、右足のパンチ力だけでは足りない。
原口元気(ヘルタ)+堂安律のようなプレイスタイルをもつ中村敬斗は、メンタルもスキルも代表の器がある。数年後、おそらく彼はまたあのピッチに立っているだろう。
すべての原点にもなったオールド・トラッフォードに。
U17W杯が始まる前だからこそ覚えていてもらいたい。中村敬斗のサクセスストーリーを。

 

 

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