3月15日15時、日本サッカー協会は3月23日、27日にベルギーで行われるvsマリ、vsウクライナに挑む26人の選手を発表した。
CB吉田麻也やMF香川真司など、これまで代表の主力を担ってきた層が負傷離脱中であり、昨年8月にW杯出場を決めた試合においてヒーローとなったFW浅野拓磨とMF井手口陽介など、出場機会に恵まれていない選手たちも少なくない。また、デュエルを重んじるハリルホジッチにあっては、チームの状況におけるパフォーマンスも考える。ドイツで降格圏に苦しむハンブルガーSVや、Jリーグのガンバ大阪に所属する選手たちへの評価は一様に落ちているようだ。
今回は、何故この26人が選ばれたのかを軸とし、
・26名のリストを再確認
・現大枠リストと負傷離脱・出場機会を必要とする選手たちに対するハリルの心情
・海外遠征における日本代表のキーマン
・今後取るべき戦術
・35名のラージグループ予想
・若手の大抜擢はあるか
について、ハリルの視点から考察する。
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日本代表ベルギー遠征代表メンバー
GK
#川島永嗣(#メス/フランス)
#中村航輔(#柏レイソル)
#東口順昭(#ガンバ大阪)
CB
#昌子源(#鹿島アントラーズ)
#植田直通(#鹿島アントラーズ)
#槙野智章(#浦和レッズ)
#森重真人(#FC東京)
SB
#酒井宏樹(#マルセイユ/フランス)
#遠藤航(#浦和レッズ)
#長友佑都(#ガラタサライ/トルコ)
#車屋紳太郎(#川崎フロンターレ)
#宇賀神友弥(浦和レッズ)
MF
#長谷部誠(#フランクフルト)
#三竿健斗(#鹿島アントラーズ)
#山口蛍(#セレッソ大阪)
#大島僚太(#川崎フロンターレ)
#柴崎岳(#ヘタフェ)
#森岡亮太(#アンデルレヒト)
WG
#久保裕也(#ヘント)
#本田圭佑(#パチューカ)
#原口元気(#デュッセルドルフ)
#宇佐美貴史(#デュッセルドルフ)
#中島翔哉(#ポルティモネンセ)
CF
#小林悠(#川崎フロンターレ)
#杉本健勇(#セレッソ大阪)
#大迫勇也(#ケルン)
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ハリルホジッチのコメントも踏まえた大枠のリストは、負傷離脱中・出場機会を必要とする選手たちで決まっているだろうことがうかがえる。
・吉田麻也不在による森重真人の選出
・出場機会に悩む井手口陽介・浅野拓磨への言及
・負傷離脱中の香川真司・清武弘嗣・今野泰幸への言及
・結果・数値コミットを必要とする岡崎慎司・乾貴士への言及
常連の西川周作・酒井高徳・三浦弦太・倉田秋もチームとしての結果を残せば閉ざされているわけではない。
もし全員の出場が叶うならば、下からの突き上げがなかった場合、今回選出されていないメンバーが残ることになる。『潜在能力』を踏まえた上での代役探しが今回のポイントとなる。
本田や香川の名で表現されるハリルジャパンだが、それは違う。キーマンは【酒井宏樹】だ。
ザックジャパンの「左で作って右で仕留める」スタイルに対し、ハリルジャパンは「右を中心とした対角サイド」を基本としている。右サイドバックがアクションすれば、左サイドバックは守備に回り、左ウイングがフィニッシャーになる。左サイドバックが起点となれば、その逆だ。サイドバックには攻守両面でベストな資質を持った選手でなければこの戦術は機能しない。
世界でも希少な「ネイマールレベル」でも封じ込められるサイドバックの酒井宏樹をハリルホジッチは相当にかっている。もし酒井宏と長友が共に選出不可であればガラリと変えるだろう。一方を途中交代させる場合、同レベルの控え選手か、センターバックもこなすことのできるサイドバックを投入することで、チーム戦術を全うさせる。
ディフェンダーのラインナップを確認してもらいたい。かなり細かくポジションを規定してみよう。
森重 真人(フィード型CB)
昌子 源 (オールラウンド型CB)
槙野 智章(ビルドアップ型CB・守備型LSB)
植田 直通(オールラウンド型CB・守備型RSB)
酒井 宏樹(オールラウンド型RSB)
遠藤 航 (守備型RSB・バランス型DMF・ビルドアップ型CB)
車屋紳太郎(攻撃型LSB・フィード型CB)
宇賀神友弥(守備型LSB・ビルドアップ型CB)
吉田 麻也(オールラウンド型CB)
三浦 弦太(フィード型CB)
酒井 高徳(守備型RSB・攻撃型LSB・バランス型DMF)
サイドバックの控えとして呼ばれた3選手の共通点は「センターバックも務めるサイドバック」だ。さらにこれは植田・槙野にも共通する。
カウンター戦術が基本となる本大会は、CBは中央に位置して侵入を防ぐ。控えの4枚はサイドのできるセンターと、センターのできるサイドの4枚だ。キーマンである以上に替えもきかない酒井宏樹にはいなくなられては困る存在だ。
GKは既に最終局面だ。川島永嗣・中村航輔の2枠が決定し、最後の一枠を東口順昭と西川周作で争う。楢崎正剛や川口能活、曽ヶ端準らW杯経験組を第3GKに据える考え方も少なからず残されているが、彼らの状況を考えれば東西対決で決まるだろう。
前ページの通り、キャラクターが決まっていることから、酒井宏、遠藤航、吉田、昌子、槙野、植田、長友、車屋の8名が最もな候補だろう。酒井高、森重、三浦、宇賀神の4名がラージグループ入りか。明確にレギュラー、サブ、ラージと層が分かれているからこそ、勝ち切るために何が必要かはそれぞれにかかっている。CB谷口彰悟は実力的に申し分ないものの、役回りとして不足な部分が見えてしまう。
中盤6枠も明確だ。長谷部に加え、バランサー・ハンター・ファイター・コンダクター・パサーの5名が必要とされる。
バランサーは2ボランチでもアンカーでも対応可能な選手が必要となるため、三竿健斗でほぼ決まりだろう。ハンターとファイターには相手方から奪う能力や前線へ運ぶ能力が必要とされ、井手口陽介、山口蛍が有力候補だが、井手口に問題がある場合は今野泰幸となるだろう。
トップ下やインサイドハーフとなるコンダクターとパサーには香川真司と清武弘嗣になる。今回招集された柴崎岳、森岡亮太、大島僚太が彼らの代役筆頭候補だ。
ポストプレイに秀でる大迫勇也がいなければ成り立たないが、残る5人はチャンスメイク能力とフィニッシュ能力で雌雄が決される。
右は本田圭佑と宇佐美貴史、左は乾貴士と原口元気、中央に杉本健勇の5人が最有力候補だ。ウイングの4名はそれぞれチャンスメイカーとフィニッシャーで分け、中央はポストプレイヤーとフィニッシャーを据えた。バックアップには、浅野拓磨、久保裕也、中島翔哉、小林悠が入る。
最後に、リオ世代以降の大逆転候補入りが起こりうるかどうかだ。
GKは筆頭格が大迫敬介(サンフレッチェ広島)となるため、ここは厳しい。
DFはRSB小池龍太(柏レイソル)、CB菅原由勢(名古屋グランパス)の2名が候補となる。小池は現状のサイドバック候補者全てにスクランブルが発生した場合にほかならないが、前出のバックアップ要素を兼ね備える貴重な存在だ。その点で言えば、全てのバックアップを兼ね備える菅原は17歳といえど侮れない存在だ。U-12世代からユーティリティー性と高いスキルで重宝されてきたがフル代表でも活かされそうだ。
MFでは久保建英(FC東京)…と言いたいところだが、守備力を必要とする現体制下ではさすがに厳しい。ラージグループ入りが目される大島僚太が唯一にして最大のチャンスを有している。
最後のFW枠には、堂安律(フローニンヘン/オランダ)に若干の可能性は残るか。ただそれ以上に、このような大会だからこそ「ラッキーボーイ」的存在も、勝ち上がるためには必要不可欠だ。過去には大黒将志(現・栃木SC)、巻誠一郎(現・ロアッソ熊本)らが担ったこの役目を豊川雄太(オイペン/ベルギー)に託したい。先日の『伝説のハットトリック』はもちろん、U-23時代にも起こしている奇跡を、彼ならば起こしてくれるのではないかと期待してしまう。
南アフリカがアテネ世代の集大成ならば、ロシアはロンドン世代の集大成となる大会だ。過去大会では30%程度が切符を掴み続けていたが、OAの吉田に加え、酒井宏、山口に確定ランプが灯っているだけで、酒井高、宇佐美、清武がどこまで食い込めるかに注目が集まる。
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