Evolving Data Labo

【クラブ紹介】ベルギーの強豪「ゲンク」が輩出した10名の大物タレント

世界最高峰の「育成」×「スカウト」

 ▽元日本代表FW鈴木隆行氏も在籍したことで知られるベルギーの強豪ゲンク。創設からわずか30年余りの同チームだが、下部組織やスカウトで発掘した選手を踏まえると既にサッカー界に大きな影響を与えていると言えるだろう。ちなみに日本代表DF冨安健洋、日本代表MF遠藤航らが所属するシント=トロイデンとは同じリンブルグ州に本拠地を置いており「リンブルグ・ダービー」として盛り上がりを見せている。

 ▽今回、「Evolving Data」はゲンク出身の選手10名を独自に厳選。欧州の第一線で活躍する一流選手が目白押しだ。
*市場価値と移籍金はドイツ移籍メディア「Transfer Market」を参考(2019/1/11現在)
*1ユーロ=130円で計算

● ティボー・クルトワ(Thibaut Courtois)
代表:ベルギー代表
Pos :GK
生年月日:1992/5/11(26歳)
身長/体重:199cm/96kg
現所属:レアル・マドリード(スペイン)
市場価値:6500万ユーロ(約84億5000万円)
ゲンク在籍期間:1999年~11年夏
ゲンク通算:45試合49失点
加入時:下部組織
移籍時:895万ユーロ(約11億6350万円)

▽2018年FIFA最優秀GKに輝いた大型GKもゲンク出身だ。199cmという体格はバレーボール選手であった両親から譲り受けた賜物である。14歳の頃にGKに転身。2010-11シーズンに当時18歳ながらクラブをリーグ優勝に導く活躍を披露し、シーズン終了後にチェルシーへと引き抜かれた。2018年夏にレアル・マドリードへ完全移籍。

● クーン・カステールス(Koen Casteels)
代表:ベルギー代表
Pos :GK
生年月日:1992/6/25(26歳)
身長/体重:197cm/78kg
現所属:ヴォルフスブルク(ドイツ)
市場価値:1000万ユーロ(約13億円)
ゲンク在籍期間:2002年~11年夏
ゲンク通算:0試合
加入時:下部組織
移籍時:120万ユーロ(約1億5650万円)

▽クルトワと同い年かつ、同じゲンクの下部組織で育成された大型GK。ゲンク時代はクルトワの控えに甘んじていたが、ホッフェンハイムを経て15年冬にヴォルフスブルクへ加入後は長年に渡って正守護神を務めていた元スイス代表GKディエゴ・ベナーリオからポジションを奪い取るなどブンデスリーガ屈指のGKとして評価される。

● カリドゥ・クリバリ(Kalidou Koulibaly)
代表:セネガル代表
Pos :CB
生年月日:1991/6/20(27歳)
身長/体重:195cm/89kg
現所属:ナポリ(イタリア)
市場価値:7000万ユーロ(91億円)
ゲンク在籍期間:2012年夏~14年夏
ゲンク通算:92試合3ゴール
加入時:130万ユーロ(1億6900万円)
移籍時:775万ユーロ(約10億750万円)

▽ビッククラブが獲得を熱望する大型CBもゲンクから世界へ羽ばたいた選手の1人だ。生まれ故郷であるフランスの育成の名門メスの下部組織出身で、12年夏に加わったゲンクで大ブレイク。在籍した2シーズンで92試合に出場するなど中心選手として大活躍し、14年夏にイタリアの強豪ナポリへと引き抜かれた。イタリア移籍後はさらに成長を続け、今や殆ど穴のない世界最高峰のCBとして君臨している。


プレミアリーグとセリエAの第一線で活躍する中盤の選手たち

● ウィルフレッド・エンディディ(Wilfred Ndidi)
代表:ナイジェリア代表
Pos :DMF
生年月日:1996/12/16(22歳)
身長/体重:183cm/74kg
現所属:レスター(イングランド)
市場価値:3500万ユーロ(約45億5000万円)
ゲンク在籍期間:2015年冬~17年冬
ゲンク通算:83試合7ゴール
加入時:18万ユーロ(2340万円)
移籍時:1765万ユーロ(約22億9450万円)

▽レスターの中盤に君臨する守備的MF。15年冬に当時18歳で母国ナイジェリアのクラブからゲンクへと移籍し、2015-16シーズンに出場機会を掴み大ブレイク。17年冬にレスター加入以降は殆どの試合に出場しており、今やクラブの顔とも言える存在となっている。

● デニス・プラート(Dennis Praet)
代表:ベルギー代表
Pos :CMF
生年月日:1994/5/14(24歳)
身長/体重:181cm/78kg
現所属:サンプドリア(イタリア)
市場価値:2500万ユーロ(約32億5000万円)
ゲンク在籍期間:2003~10年夏
ゲンク通算:0試合
加入時:下部組織
移籍時:65万ユーロ(8450万円)

▽2018年10月におよそ4年ぶりにベルギー代表に復帰した元神童。下部組織に所属していた2010年夏にアンデルレヒトに引き抜かれたため、ゲンクのトップチームでの出場経験はない。16年夏のサンプドリア移籍後はアタッカーとして伸び悩んだかと思われたが、豊富な運動量とサッカーセンスを武器にインサイドハーフという新境地を見出し最注目を浴びている。

● セルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチ(Sergej Milinkovic-Savic)
代表:セルビア代表
Pos: CMF/OMF
生年月日:1995/2/27(23歳)
身長/体重:191cm/76kg
現所属:ラツィオ(イタリア)
市場価値:7500万ユーロ(約97億5000万円)
ゲンク在籍期間:2014年夏~15年夏
ゲンク通算:24試合5ゴール
加入時:100万ユーロ(1億3000万円)
移籍時:1800万ユーロ(23億4000万円)

▽全てが規格外の怪物もゲンクで大ブレイクしたタレントだ。14年夏に母国セルビアのボイボディナからゲンクに加入。シーズン後半戦にレギュラーの座を射止めると、すぐさま注目を浴びてシーズン終了後にラツィオへと引き抜かれた。加入直後から試合には出場していたが、2017-18シーズンに二桁ゴールを記録したことで一躍ビッククラブの注目の的に。しかし、会長が放出を断固拒否したためステップアップとはならなかった。ちなみに今季は昨季ほどのインパクトを残せておらず、第19節終了時点で3ゴールに留まっている。

● ケビン・デ・ブルイネ(Kevin De Bruyne)
代表:ベルギー代表
Pos :OMF/CMF
生年月日:1991/6/28(27歳)
身長/体重:181cm/68kg
現所属:マンチェスター・シティ(イングランド)
市場価値:1億5000万ユーロ(195億円)
ゲンク在籍期間:2005年~12年冬
ゲンク通算:113試合17ゴール
加入時:下部組織
移籍時:800万ユーロ(10億4000万円)

▽ゲンクが輩出した最高傑作。2005年、13歳の時にヘントの下部組織からゲンクの下部組織に移籍。17歳でトップチームデビューを果たし、2011-12シーズンはリーグ戦22試合で8ゴール11アシストという結果を残してチェルシーへと引き抜かれた。しかし、ジョゼ・モウリーニョ監督(当時)の冷遇されヴォルフスブルクへと活躍の場を移すとこの地で大ブレイク。1年半の在籍で公式戦73試合20ゴール37アシストという圧倒的な数字を残して、5500万ポンド(約102億4000万円)という破格の移籍金でマンチェスター・シティへと引き抜かれた。


今後ステップアップが期待されるWGと規格外の大型CF

● レアンドロ・トロサール(Leandro Trossard)
代表:ベルギー代表
Pos: LWG
生年月日:1994/12/4(24歳)
身長/体重:172cm/61kg
現所属:ゲンク(ベルギー)
市場価値:1400万ユーロ(約18億2000万円)
ゲンク在籍期間:2010年夏~
ゲンク通算:99試合33ゴール(2019/1/9現在)
加入時:下部組織

▽今季大きく躍進を遂げたNEXTスター候補。2010年にゲンクの下部組織に入団。以後はレンタル移籍を繰り返し、武者修行先で結果を残して16年夏に復帰。復帰後はケガに悩まされるも、完治した2017-18シーズンのプレーオフで10試合5ゴールと結果を残し注目を浴びた。2018-19シーズンもその勢いのまま好調をキープ。得点ランキングのトップを走るムブワナ・サマッタと共にチームの首位独走の原動力となっている。

● レオン・ベイリー(Leon Bailey)
国籍:ジャマイカ
Pos :LWG
生年月日:1997/8/9(21歳)
身長/体重:178cm/79kg
現所属:レバークーゼン(ドイツ)
市場価値:3500万ユーロ(約45億5000万円)
ゲンク在籍期間:2015年夏~17年冬
ゲンク通算:77試合15ゴール
加入時:140万ユーロ(1億8200万ユーロ)
移籍時:1350万ユーロ(約17億5500万円)

▽ビッククラブ注目のスピードスター。母国のクラブやスロバキアのトレンチーンの下部組織を経て15年夏にゲンクに入団。加入初年度から公式戦42試合7ゴール10アシストと結果を残し、リーグ年間最優秀若手選手賞に選出された。17年冬に1350万ユーロ(約17億5500万円)という移籍金でレバークーゼンに完全移籍。2017-18シーズンは、ブンデスリーガ30試合に出場し9ゴール6アシストと大きく結果を残した。しかし、今季はやや勢いを失い第17節終了時点で1ゴールに留まっている。ルーツのあるイングランド代表入りが噂されていたが、出生地がジャマイカのため現時点で選択できるのは”ジャマイカ代表”のみ。

● クリスティアン・ベンテケ(Christian Benteke)
代表:ベルギー代表
Pos :CF
生年月日:1988/12/3(28歳)
身長/体重:190cm/83kg
現所属:クリスタル・パレス(イングランド)
市場価値:2000万ユーロ(約26億円)
ゲンク在籍期間:2006年夏~09年冬,2011年夏~2012年夏
ゲンク通算:51試合20ゴール
加入時:100万ユーロ(1億3000万円)
移籍時:880万ユーロ(約11億4400万円)

▽空中戦に圧倒的な自信を持つ大型CF。スタンダールとゲンクを下部組織時代、プロデビュー後も行き来し12年夏にアストン・ビラへと加入。在籍した3シーズンで公式戦49ゴールを決めるなどクラブの絶対的なエースとして君臨した。この活躍が評価され3250万ポンド(約43億円)という高額な移籍金でリバプールへ加入するも戦術的な理由が影響し、わずか1年でクリスタル・パレスへと放出。今季はケガの影響もあり0ゴールに留まっている。

《その他ゲンク在籍経験のある選手たち》
▼GK
シナン・ボラト(ロイヤル・アントワープ/トルコ代表) *下部組織出身
マシュー・ライアン(ブライトン/オーストラリア代表)
マルコ・ビゾット(AZ/オランダ代表)

▼DF
ティモシー・カスターニュ(アタランタ/ベルギー代表)*下部組織出身
オマル・コリー(サンプドリア/ガンビア代表)
クリスティアン・カバセレ(ワトフォード/ベルギー代表)
カラ(ナント/セネガル代表)
クリントン・マタ(クラブ・ブルージュ/アンゴラ代表)
セバスティアン・ポコニョーリ(スタンダール/元ベルギー代表)
ダニエル・プディル(シェフィールド・ウェンズデイ/チェコ代表)

▼MF
スティーブン・デフール(バーンリー/ベルギー代表) *下部組織出身
アンソニー・リンボンベ(ナント/ベルギー代表) *下部組織出身
ピーター・ゲルケンス(アンデルレヒト/元ベルギーU-21代表) *下部組織出身
ネースケンス・ケバノ(フラム/DRコンゴ代表)
ジャン=パウル・ボエチウス(マインツ/元オランダ代表) *半年間レンタル移籍での在籍

▼FW
イェレ・ヴォッセン(クラブ・ブルージュ/元ベルギー代表) *下部組織出身
シーベ・スフライフェルス(クラブ・ブルージュ/ベルギーU-21代表) *下部組織出身

《まとめ》
 創設からわずか30年程でこれだけの選手を輩出していたとは驚きだろう。記事内で紹介したレアンドロ・トロサール以外にも20歳の注目株であるノルウェー代表MFサンデル・ベルゲや、得点ランキングのトップを走るタンザニア代表FWムブワナ・サマッタなど近い将来にビッククラブへとステップアップを遂げるであろう選手が多く在籍するゲンク。これからも多くのスター選手を輩出してくれることだろう。
 
 これを機にベルギーリーグに興味を持っていただけたら幸いです。今季注目の若手選手は下記リンクをどうぞ!

【ベルギーリーグ】若手逸材の宝庫!ベルギーリーグでプレーするNEXTブレイク候補11名