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【注目チーム】サッカー発展途上国、「ジョージア代表」の未来は明るい

上々のスタートをきったUEFAネーションズリーグ

 2018年9月より新たに開幕したUEFAネーションズリーグ。注目が集まるの開幕戦で記念すべき大会初ゴールと大会初勝利を飾ったのがリーグDに属するジョージア代表だ。69分にMFギオルギ・チャクヴェタゼのゴラッソが決まりジョージアが先制すると、74分にも同選手が起点とったカウンターからOGが決まり0-2と突き放し勝利を飾った。その後も勝利を重ね、全6試合で5勝1分という圧倒的な強さでリーグCへの昇格を決めた。

ジョージアの歴史とサッカー

 ジョージアは1991年にソビエト連邦から独立した。日本では長くロシア語読みの「グルジア」と呼ばれていたが、2014年の首脳会談の際にジョージア政府から名称変更の要請を受け現在の「ジョージア」へと変更したている。日本でジョージアのイメージを聞けば、真っ先に「相撲」という答えが返ってくるのではないだろうか。現在は大関『栃ノ心』が大活躍しており、数年前までは史上初の欧州出身力士である元小結『黒海』が活躍していた。実際、ジョージアではレスリングなど格闘技が非常に盛んであり、栃ノ心や黒海もレスリング出身者である。そのレスリングと並び人気があるスポーツがサッカーだ。A代表は1991年の独立以後、EUROやW杯などFIFAやUEFAの主催する国際大会の出場は叶っていないが、2016年6月にスペイン代表から金星をあげるなど着実に力をつけている。なお、FIFAランキングは2018年12月現在で89位。

「堅守」を支える欧州レベルのCBたち

 ジョージア代表最大のストロングポイントは欧州レベルの「CB」だろう。昨季までフィテッセで主将を務め、先日UEFAから#EqualGame Awardの表彰を受けたグラム・カシア(サンノゼ・アースクエイクス/MLS)とロシアの強豪ロコモティフ・モスクワで不動のレギュラーを務めるソロモン・クビルクベリアのコンビがコンビを組む。さらに控えにはウクライナの強豪シャフタール・ドネツクで不動のレギュラーを務めるダビド・クホチョラバと、ジョージア人選手を積極的に補強しているヘントにも在籍経験のある若手のジミー・タビーゼ(ウファ/ロシア)がいるなど選手層も厚い。ジョージアの守備がいかに堅いかは数字にも現れており、2018年は10試合を戦い失点はわずかに3のみ。8勝1分1敗19得点3失点とチームは明らかに上昇気流に乗っている。(2018年12月現在)


DFグラム・カシア(左)とDFダビド・クホチョラバ(右)



ビッククラブ注目の若手の逸材たち

 先程紹介した堅守を誇るCB陣に加え、ジョージア代表を支えているのが若手選手たちだ。その筆頭格がヘントに所属するMFギオルギ・チャクヴェタゼ(Giorgi Chakvetadze)である。カザフスタン戦でも2ゴールに絡む活躍を披露したチャクヴェタゼは、2018年に行われたUEFAネーションズリーグでは全6試合に出場し4ゴール3アシストを記録した。ジョージア史上最高の逸材とも称されるチャクヴェタゼは、今季ベルギー1部ジュピラー・プロ・リーグ9試合全てに先発出場している。(2018/10/5現在)ドリブル、パス、シュートのセンスやスキルはもちろん、視野の広さ、そして19歳とは思えない落ち着きが彼の魅力だろう。ヘント加入前は、リバプールやトッテナム、レバークーゼンなどの強豪が獲得に乗り出していた。
 ここで全員を紹介することは出来ないのだが、オーストリアの強豪シュトゥルム・グラーツでレギュラーとしてプレーする22歳MFオタル・キテイシュビリ(Otar Kiteishvili)や、シャフタール・ドネツクで育成され現在はポルトガルのナシオナルに所属する20歳FWギオルギ・アラビーゼ(Giorgi Arabidze)らも注目の逸材だ。他にもスペインやウクライナ、ベルギー、国内リーグで育成されている若手選手が多くいる。


UEFAネーションズリーグ史上初ゴールを決め、UEFAの歴史に名を刻んだ逸材MFギオルギ・チャクヴェタゼ

サッカー発展途上国ジョージアが見据える未来

 ジョージア代表が参考すべきチームは、ロシアW杯でベスト8へと躍進したスウェーデン代表だろう。体格やプレースタイルが非常に酷似している。まずは選手を比較していこう。
   スウェーデン                ジョージア
GKロビン・オルセン(198cm)         GKギオルギ・ロリア(197cm)     →大型GK。
DFアンドレアス・グランクヴィスト(192cm)  DFソロモン・クビルクベリア(196cm) →大型CB。
MFセバスティアン・ラーション(178cm)    MFオタル・キテイシュビリ(173cm)  →セットプレーの名手。
MFエミル・フォシュベリ(179cm)       MFギオルギ・チャクヴェタゼ(183cm)  →チームの司令塔。
FWオラ・トイボネン(192cm)         FWギオルギ・クビリタイア(193cm)  →ターゲットマン。

 このように体格や共通のプレースタイルを持ち合わせている選手が非常に多い。唯一の違いと言えば、ジョージアは招集されているCF全員が190cm超えだということぐらいだろう。両チーム共に基本としてまず「失点」しないことを第一に考えている。スウェーデンはロシアW杯5試合で3試合を無失点と守備の堅さがチームのストロングポイントだった。そこからのカウンターを徹底して狙うことで、対強豪相手でも互角に戦っていた。これはジョージアにも共通することだろう。より190cm超えの選手が多いジョージア代表は、セットプレーの精度を上げることができれば強豪チームからも得点を奪うことが出来る。そして、自分たちのやりたいサッカーを貫き通せば、EURO2020、カタールW杯やその先の国際大会への出場が叶うのではないだろうか。サッカー発展途上国ジョージアの未来は明るい。


勝利を喜び合うジョージア代表。これからの躍進に注目だ。