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【ロシアW杯】Evolving Data厳選!W杯での活躍を期待する10名の選手

 遂に4年に1度のフットボールの祭典”W杯”が開幕する。W杯の影響力は計り知れなく、10年南アフリカ大会で、MF本田圭佑(当時CSKAモスクワ)が伝説のFKを含む4試合2ゴール1アシストを記録し、一躍世界のスター選手の仲間入りを果たしその後のACミラン入りを果たすきっかけともなった。14年ブラジル大会では、MFハメス・ロドリゲス(当時モナコ)が5試合6ゴール2アシストの活躍をみせ、大会終了後レアル・マドリードへと移籍。コスタリカ代表をベスト8に導いたGKケイラー・ナバス(当時レバンテ)もレアル・マドリードへと移籍を果たした。
 毎大会のように起こるサプライズだが、果たして今大会はどのようなサプライズが起きるのだろうか。今季のリーグ戦を踏まえ、W杯での活躍に期待する10名の選手を選出した。日本語名の隣には、英語名も書いておいたので気になる方は動画を調べて頂きたい。それでは、W杯での活躍を期待する10名の選手のご紹介していこう。
*6/4現在、ドゥバン・サパタ(コロンビア)が負傷で、ニルス・ペーターゼン(ドイツ)が惜しくもメンバー外となりました。

・ニック・ポープ(Nick Pope)
代表:イングランド代表
Pos :GK
年齢:26歳
所属:バーンリー(イングランド)
今季:35試合35失点

 今季開幕前、一体誰が彼のW杯イングランド代表メンバー入りを予想していただろうか。 最も驚いているのはポープ自身かもしれない。16歳の時にイプスウィッチ・タウンを解雇されたポープは、ベリー・タウンFC(当時8部)でキャリアをスタートさせた。11年夏チャールトン(当時3部)へ加入するも、出場機会を得られず下部リーグへレンタル移籍する生活の日々。15-16シーズンにチャールトンへ復帰するとハイパフォーマンスを披露。16年夏にプレミアリーグへ復帰を果たしたバーンリーへ加入した。加入初年度はチームの絶対的守護神、トム・ヒートンの壁を破ることが出来ずカップ戦のみの出場に終わった。そして大躍進を遂げた今シーズン、ポープは平凡な2番手GKでシーズンを過ごすと考えられていた。しかし、第4節クリスタル・パレス戦でヒートンが負傷し数ヶ月に及ぶ負傷離脱を余儀なくされる。いつもも通りベンチ入りをしていたポープは、36分から急遽ゴールマウスを守ることとなった。スタメンで勝ち取ったわけではなく、思いもよらない形でプレミアリーグデビューを果たしたポープだったが、この試合で攻守を連発。そして、この試合から、ヒートンが復帰したシーズン終盤までポープは1度もゴールマウスを譲らなかった。この理由はデータにも現れている。16-17シーズンのヒートンは、35試合48失点、141セーブ、クリーンシート10試合、セーブ率75%を記録。一方、ポープは35試合35失点、113セーブ、クリーンシート11試合、セーブ率76%を記録。昨季と今季はチーム状況が違うため完璧に比較することは出来ないが、ほとんどの部門でポープが上回った。ヒートンに守護神争いで制したポープは、3月に遂にイングランド代表に初招集され、ジョー・ハート(ウェストハム)、トム・ヒートンらを抑えてロシアW杯のメンバーにも選出された。ただ、これからW杯出場という夢を叶えるためには、ジョーダン・ピックフォード(エバートン)、ジャック・バトランド(ストーク)にポジション争いで勝たなければいけない。これまで、数々の逆境に打ち勝ってきたポープならきっと勝てるはずだ。夢を掴むまで、あと少し。




・サリフ・サネ(Salif Sané)
代表:セネガル代表
Pos : CB
年齢:27歳
所属: ハノーファー(ドイツ)
今季:32試合4ゴール1アシスト

 セネガル代表のディフェンス陣と言えば、ナポリに所属するカリドゥ・クリバリに注目が行くが、相方を務める”この男”を忘れてはならない。今季ブンデスリーガ屈指のCBに成長したサリフ・サネだ。196cmの身長を活かし競り勝った空中戦は181回(1位)。勝率も80%を数え、これもフィールドプレイヤーでNo.1の成績だ。この空中戦は守備時だけでなく、セットプレー時にはターゲットとして脅威となる。実際サネは今季セットプレーから4ゴールを記録した。さらに、26節アウクスブルク戦では、セットプレーのこぼれ球を長い脚をしならせ、ストライカーさながらのスーパーボレーを決めてみせた。サネの武器は空中戦だけじゃない。長い脚を活かしたリーチの長いタックル、さらには”読む力”にも優れており、リーグ2位の78回のインターセプトに成功した。この大活躍もあり、来季からはCLに出場するシャルケへの完全移籍が決定。”この男”、日本代表にとって脅威の存在となること間違いない。

・エリエス・スキリ(Ellyes Skhiri)
代表:チュニジア代表
Pos :DMF
年齢:23歳
所属:モンペリエ(フランス)
今季:35試合4ゴール1アシスト

 今季モンペリエをリーグで2番目に少ない33失点に抑えた原動力となった中盤のフィルター。やや細身だが”読む力”に長けており、リーグ4位のインターセプトを記録した。足元も柔軟で、相手選手からボールを奪えば華麗なテクニックで相手選手をドリブルで抜いたり、正確なパスを前線に届けたりと”運び屋”としても有能だ。さらには、今季エリア外から3つのミドルシュートを決めるなど、相手ゴールを脅かす存在ともなれる。
 チュニジア代表には。今年の3月の親善試合に初招集。招集されると早速2試合ともフル出場するなど、ロシアW杯でもスタメンとして活躍が期待される。チュニジア代表はグループステージで、ベルギー、イングランド、パナマと同組と苦戦が予想されるが、スキリが中盤でフィルターの役割を全うすれば突破の可能性も見えてくる。

・ルーカス・トレイラ(Lucas Torreira)
代表:ウルグアイ代表
Pos :DMF
年齢:22歳
所属:サンプドリア(イタリア)
今季:36試合4ゴール1アシスト

 今季セリエAで最もブレイクした選手の1人。168cmと非常に小柄ながら、ピッチを駆け回り相手選手からボールを奪い取る。今季タックル数はリーグ3位の101回を記録し、中盤で相手チームの攻撃の芽を摘み取った。パスやゲームメイクも非常に上手く、今季はリーグ9位の1910本のパスを通し成功率は88%にも及んだ。さらには、豪快なFKも大きな武器でキエーボ戦で決めたゴールは真骨頂とも言えるものだった。22歳にしてこれだけ完璧な中盤の選手は早々いないだろう、そんな彼を欲しがるクラブがないわけがなく、ユベントスやアーセナルなど欧州屈指のクラブが触手を伸ばしている。
 ウルグアイ代表としては、今年の3月に行われたチャイナカップで代表デビュー。いずれの2試合も途中出場となったが、レギュラーを務めるユベントスMFロドリゴ・ベンタンクール、インテルMFマティアス・ベシーノの2名の間に割って入る実力は十分持っている。”名将”オスカル・タバレス監督がどのような決断を下すか注目だ。




・セルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチ(Sergej Milinkovic-Savic)
代表:セルビア代表
Pos :CMF
年齢:23歳
所属:ラツィオ(イタリア)
今季:35試合12ゴール3アシスト

 ラツィオの中盤に君臨するハイタワー。身長191cmと空中戦が強いのはもちろん、この選手最大の武器はテクニカルな”足元”だ。ここまで大柄の選手で華麗な足技を使って相手を抜き去っていく選手はいない。さらに、今季は得点力が大幅に向上しセリエAで12ゴールを決めた。そのほとんどのゴールが”エリア外”からのミドルシュートと、非常に巧いシュートテクニックも持ち合わせている。この”怪物級”の選手に強豪チームが興味を示さないわけがなく、マンチェスター・ユナイテッドが16年夏に獲得したフランス代表MF、ポール・ポグバを獲得した際の金額を上回る144億円で獲得を目指していると報道されている。
 セルビア代表には昨年末の親善試合でデビュー。代表の中盤には、ネマニャ・マティッチ(マンチェスター・ユナイテッド)、ルカ・ミリボイェビッチ(クリスタル・パレス)ら実力者が揃うが、その中でもレギュラーとして活躍が期待されている。W杯でさらにそのスケールの大きさを証明すれば、ユナイテッドを始めとするビッククラブが獲得に本腰を入れるだろう。

・ハキム・ジイェフ(Hakim Ziyech)
代表:モロッコ代表
Pos :OMF
年齢:25歳
所属:アヤックス(オランダ)
今季:34試合9ゴール15アシスト

 名門アヤックスの背番号「10」を背負う”NEWレフティーモンスター”。華麗な足技、ドリブル、スピード、ピンポイントクロス、高確率で枠を捉えるシュート、どれをとっても一級品であり、攻撃的MFに必要な能力を全てハイレベルに備えている。今季のジイェフのパフォーマンスは”圧巻”の一言に尽きた。9ゴール15アシストを記録しアシスト王に輝いただけでなく、クロス、キーパスでもリーグNo.1の数字を記録。さらにはドリブル成功数はリーグ2位と、個の力で多くのチャンスクリエイトに貢献し、その能力の高さをデータで証明した。
 モロッコ代表には3年前にデビュー。ジイェフとMFアミーヌ・アリ(シャルケ)、MFユネス・ベルアンダ(ガラタサライ)の3人の天才が揃うモロッコ代表の攻撃陣は、今大会屈指の破壊力を持っていると言っても過言ではない。この3人が本領を発揮すれば、スペイン、ポルトガル、イランと同じグループBを突破し決勝トーナメント進出も十分に可能だろう。
 そして現在、「モロッコ代表」と言えば?と聞かれると多くの人が、ユベントスDF「メディ・ベナティア」の名前を挙げるが、ロシアW杯終了後には「ハキム・ジイェフ」に代わっているだろう。ジイェフらモロッコ代表が、ロシアの地で世界に衝撃を与えること、間違いない。




・ジェフェルソン・ファルファン(Jefferson Farfán)
代表:ペルー代表
Pos :RWG
年齢:33歳
所属:ロコモティフ・モスクワ(ロシア)
今季:22試合10ゴール4アシスト

 かつて元日本代表DF内田篤人(現鹿島アントラーズ)と共にシャルケの右サイドでコンビを組んだ”この男”をお忘れではないだろうか。ファルファンはシャルケを退団し、中東のアル・ジャジーラ(UAE)を経て17年1月にロコモティフ・モスクワ(ロシア)に加入。今季は22試合に出場し10ゴール4アシストと未だ健在だ。ペルー代表のエース、パオロ・ゲレーロがトーピング違反によってW杯に出場できなくなり、グループステージ突破の鍵は、現在ロシアの地で活躍する”この男”に託された。
*6/1にゲレーロは出場停止処分が解け、W杯に出場できることになりました。

・アリレザ・ジャハンバフシュ(Alireza Jahanbakhsh)
代表:イラン代表
Pos :RWG
年齢:24歳
所属:AZ(オランダ)
今季:33試合21ゴール12アシスト

 今季、アジア人が初の欧州主要リーグ得点王のタイトルを獲得という新たな歴史を作った。その選手がイラン代表FWアリレザ・ジャハンバフシュだ。左右両足から放たれるキャノン砲に加え、リーグ2位の成功数を記録したスピードのあるドリブル、ラストパス、クロスも非常に正確だ。そのプレー姿は、かつてインタビューで自身のアイドルと語っていた若き日のクリスティアーノ・ロナウドとも重なるように見えた。
 イラン代表は、ロシアW杯で同選手の憧れのクリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガル代表、”無敵艦隊”スペイン代表、”アトラスの獅子”モロッコ代表と同じグループBに入った。ジャハンバフシュは、格上のチーム相手にどれだけ実力を発揮できるだろうか。そして、このW杯でインパクトを残すことができれば、今後ジャハンバフシュはアジア人史上最高の選手となれるだろう。




・ドゥバン・サパタ(Duván Zapata)
代表:コロンビア代表
Pos :CF
年齢:27歳
所属:サンプドリア(イタリア)
今季:31試合11ゴール4アシスト

 日本代表がグループステージ初戦で対戦するコロンビア代表だが、FWファルカオ(モナコ)、MFハメス・ロドリゲス(バイエルン)ら意外にも多くの要注意プレイヤーがいる。しかしその中で弊社が注目株としてあげるのがFWドゥバン・サパタ(サンプドリア)だ。DFクリスティアン・サパタ(ACミラン)の従兄弟にあたるドゥバン・サパタは、今季サンプドリアで11ゴール4アシストを記録。186cm、80kgと圧倒的なフィジカルに加え、スピード、決定力を併せ持つFWで、ポストプレイも非常に得意としている。日本人にどのような選手かとわかりやすく説明すれば、サガン鳥栖に所属する元コロンビア代表FWビクトル・イバルボにさらに決定力を増した感じと言えば伝わるだろうか。要するに、”怪物FW”ということをお伝えしたい。
 コロンビア代表は4-2-3-1のフォーメーションを採用しており、基本的に1トップにはファルカオが入る。こういった経緯から怪物サパタは、代表ではジョーカーとしての役割を任されるだろう。選手が疲れてきた後半30分前後の登場が予想される。日本代表にとって要注意の選手になりそうだ。
*負傷のため惜しくも招集外となりました。

・ニルス・ペーターゼン(Nils Petersen)
代表:ドイツ代表
Pos :CF
年齢:28歳
所属:フライブルク(ドイツ)
今季:32試合15ゴール1アシスト

 ドイツ、いや世界中、いや何より本人が一番驚いただろうサプライズ選出だった。今まで一度もA代表に招集をされたことがないニルス・ペーターゼン(フライブルク)が、前回大会王者ドイツ代表のW杯メンバーに招集されたのだ。ペーターゼンは、今季得点ランキング2位の15ゴールを記録し、ドイツ人選手では最多ゴールを決めるなどの実力の持ち主だ。ただ、代表にはトーマス・ミュラー(バイエルン)、ティモ・ヴェルナー(ライプツィヒ)、マリオ・ゴメス(シュツットガルト)といった優れたFWが多くいる。その中で、なぜレーブ監督はペーターゼンに声をかけたのか。それは「ジョーカー」としての役割だ。昨季、ペーターゼンは途中出場から9ゴールを記録。これはブンデスリーガ歴代最多タイの記録であり、今季を含め途中出場から20ゴールを挙げている。これはブンデスリーガ歴代最多得点記録だ。
 前回のブラジル大会ではFWアンドレ・シュールレ(ドルトムント)がその役割を果たした。6試合に途中出場し3ゴール3アシストの活躍。決勝アルゼンチン戦では、同じく途中出場のゲッツェが決めた劇的ボレー弾をアシストした。非常に「ジョーカー」の存在を大事にするレーブ監督にとって、ペーターゼンは史上最強の「ジョーカー」だったのかもしれない。
*惜しくも最終メンバーから落選致しました。