今冬、元イングランド代表MFのデイビッド・ベッカム氏がマイアミにチームを設立し、2020年の参入を目指すことで話題となったメジャーリーグサッカー(以下、MLS)が今週末に開幕を迎える。昨季のアトランタ・ユナイテッドに続き、メキシコ代表FWのカルロス・ベラを補強したロサンゼルスFCが新規参入する。MLSはあまり馴染みのないリーグだが、素晴らしいスタジアムや熱狂的なサポーターなど、実は欧州サッカーに引けを取らないほどのサッカーコンテンツとなっているのだ。
昨季までは元イタリア代表MFのアンドレア・ピルロ、元ブラジル代表のカカなどがプレーし、以前にはベッカムや元フランス代表FWのティエリ・アンリがプレーしたことでも知られる。
今季、注目される10人の選手についてご紹介したい。
▽バスティアン・シュバインシュタイガー
代表歴:元ドイツ代表
Pos :MF
年齢:33歳
所属:シカゴ・ファイアー
強靭なフィジカルと豊富なスタミナでピッチを駆け回る中盤のダイナモ。カカやピルロといったスター選手が引退したMLSでは、今季トップクラスのスーパースターと言えるだろう。
マンチェスター・ユナイテッドへの移籍が大失敗に終わり、キャリアが終わりかと思われたシュバインシュタイガーだが、昨季アメリカに上陸し、復活を遂げたようにみえた。特に加入直後は全盛期を彷彿させるプレーを連発し、シカゴ・ファイアーを昨季得点王のネマニャ・ニコリッチと共にチームを引っ張った。しかし、年齢の影響もあり徐々にパフォーマンス力が低下し、チームの成績も下降傾向になってしまった。今シーズンこそはフル稼働し、シアゴの地を盛り上げてほしい。
▽ミゲル・アルミロン
代表歴:パラグアイ代表
Pos :MF
年齢:23歳
所属:アトランタ・ユナイテッド
アーセナルやトッテナム、インテル、ACミランなど欧州のビッククラブが獲得を模索する「パラグアイのディ・マリア」。やや細身だが、正確なラストパスと抜群のシュートセンスで決定機を量産する。
昨季は30試合9ゴール8アシストと大活躍し、チームのレギュラーシーズン3位フィニッシュに大きく貢献した。今季の活躍にも大きく期待がかかっている。既にパラグアイ代表ではレギュラーとしてプレーし、ロシアW杯予選でも8試合に出場。日本代表からすると、ロシアW杯前最後テストマッチで当たるチームだけに、要注意しておきたいプレイヤーだ。
▽エセキエル・バルコ
代表歴:アルゼンチンU-20代表
Pos :MF
年齢:18歳
所属:アトランタ・ユナイテッド
インデペンディエンテユース出身ということもあり、「アグエロの後継者」とも称されるアルゼンチンの期待の新星。今季インデペンディエンテ(アルゼンチン)から約17億円で加入した。プレースタイルはアグエロよりメッシに近く、身長も167cmと小柄な点も似ている。細かいタッチのドリブルから、正確なラストパスを繰り出し、チャンスを創出する。まだ18歳と将来性も抜群であり、本格的な大ブレイク候補としてお見知りおきいただきたい!!
▽ディエゴ・ヴァレリ
代表歴:元アルゼンチン代表
Pos :MF
年齢:31歳
所属:ポートランド・ティンバース
トップ下の選手で、アルゼンチン時代はゴールを決めるタイプではなかったものの、2013年からプレーするMLSでは毎シーズン2ケタ得点を達成。昨季は得点ランキング2位となる21ゴールをマークしている。
左右両足で高精度なシュートを放つことができ、中距離・長距離砲も兼ね備えている。年齢を重ねる度にキャリアハイの成績を残しているベテランMFは、今季も活躍できるのだろうか?
▽カルロス・ベラ
代表歴:メキシコ代表
Pos :FW
年齢:28歳
所属:ロサンゼルスFC
リーガで通算69ゴール47アシストを記録している実績十分のウインガーだが、今シーズンのプレシーズンマッチを観る限りでは、トップ下を任されそうだ。
2005年に開催されたU-17W杯では得点王に輝き直後にアーセナルに引き抜かれるなど、若くからその才能には注目されていた。卓越したドリブルテクニック、精度の高いラストパス、コントロールシュートを大きな武器としている一方で、長年メンタル面が問題視されており、ここ最近のシーズンは良い成績を残せていない。新天地で気持ちを改め良い成績が残せるか注目だ。
▽ジオバニ・ドス・サントス
代表歴:メキシコ代表
Pos :FW
年齢:28歳
所属:ロサンゼルス・ギャラクシー
バルセロナユース出身で、次代を担うと目された天才ドリブラー。「ロナウジーニョ2世」とも称されたほどの高いテクニックをもち、スピード、パス、シュートの技術は天才の名を恣にしてきたプレイヤーたちに引けを取らない。
しかし、バルサのトップチーム昇格時には前線にアンリ、エトー、メッシ、ボージャンなど多くのスーパースターに阻まれて、出場機会を得ることが出来ずトッテナムへ移籍する。その後はマジョルカやビジャレアルでプレーし、現在はLAギャラクシーでプレーしている。
昨季はリーグ戦25試合6ゴール3アシストと今一つの成績だった。今季こそ弟のジョバンニ・ドス・サントスと共にLAギャラクシーを上位に導いて欲しい。
▽ネマニャ・リコリッチ
代表歴:ハンガリー代表
Pos :FW
年齢:30歳
所属:シカゴ・ファイアー
昨季のMLS得点王を注目しないわけにはいかない。昨季は加入初年度ながら的確なポジショニングと鋭い嗅覚を武器に、34試合24ゴールと大きく結果を残した。欧州ビックリーグでのプレーはなく、あまり知名度も高い選手ではないが、ハンガリー1部リーグでは通算197試合117ゴール、ポーランド1部リーグでは56試合40ゴールと在籍したクラブで必ず結果を出している。
シカゴの”仕事人”は今季もMLSで2年連続得点王となれるのか?
▽ホセフ・マルティネス
代表歴:ベネズエラ代表
Pos :FW
年齢:24歳
所属:アトランタ・ユナイテッド
18歳でA代表デビューし、アンダーカテゴリーから期待されていたストライカーだ。21歳でイタリア・セリエAのトリノに加入したが、76試合に出場13ゴール6アシストと、「ストライカー」としての殻を破りきることはできなかった。
しかし昨季加入したアトランタ・ユナイテッドでは、リーグ戦20試合19ゴールと大活躍。得点王まであと一歩だった。今年こそ得点王を目指し、「ストライカー」としての覚醒が期待される。
▽セバスティアン・ジョヴィンコ
代表歴:イタリア代表
Pos :FW
年齢:31歳
所属:トロントFC
ここ数年でMLSに移籍した選手の中で最も成功した選手の一人と言って過言ではないだろう。加入初年度の2015シーズンに22ゴール13アシストを記録し、得点王とMVPを獲得。昨季も16ゴール6アシストを記録し健在をアピールした。
164cmと小柄ながら、卓越したシュート技術で得点を量産しており、確度の高い直接FKも大きな武器となっている。今季は3季ぶりの得点王を目指しており、激しい競争に名乗り上げている。
▽ダビド・ビジャ
代表歴:スペイン代表
Pos :FW
年齢:36歳
所属:ニューヨーク・シティ
スペイン代表の最多得点記録を保持する”ラ・ロハ”伝説のストライカー。36歳になってもその天性のシュートセンスが衰えることはなく、昨季は得点ランキング2位の22ゴールを記録。
その活躍もあり、昨年9月にブラジルW杯以来のスペイン代表に招集もされた。今季も得点王争いを繰り広げればロシアW杯の出場も夢ではない。
ここまでで取り上げなかった選手の中にも、かつてビッグクラブや応酬トップリーグで名を馳せた選手たちがしのぎを削るMLS。その他の注目選手もご紹介したい。
GK
ブラッド・グザン(アトランタ・ユナイテッド/33歳/アメリカ代表)
ティム・ハワード(コロラド・ラピッズ/38歳/アメリカ代表)
DF
ミカエル・シアニ(ロサンゼルス・ギャラクシー/33歳/元フランス代表)
ローラン・シマン(ロサンゼルスFC/32歳/ベルギー代表)
フィリップ・センデロス(ヒューストン・ダイナモ/33歳/元スイス代表)
アシュリー・コール(ロサンゼルス・ギャラクシー/37歳/元イングランド代表)
グレゴリー・ファン・デル・ウィール(トロントFC/30歳/元オランダ代表)
オマル・ガーベル(ロサンゼルスFC/26歳/エジプト代表)
MF
マイケル・ブラッドリー(トロントFC/30歳/アメリカ代表)
ジョナタン・ドス・サントス(ロサンゼルス・ギャラクシー/27歳/メキシコ代表)
サフィル・タイデル(モントリオール・インパクト/25歳/アルジェリア代表)
ニコラス・ロデイロ(シアトル・サウンダーズ/28歳/ウルグアイ代表)
FW
エクトル・ビジャルバ(アトランタ・ユナイテッド/23歳/アルゼンチン)
ジョージ・アルティドール(トロントFC/28歳/アメリカ代表)
ロマン・アレッサンドリーニ(ロサンゼルス・ギャラクシー/28歳/元フランス代表)
クリント・デンプシー(シアトル・サウンダーズ/34歳/アメリカ代表)
マルコ・ウレーニャ(ロサンゼルスFC/27歳/コスタリカ代表)
元イングランド代表DFのアシュリー・コールや、ハワード、ブラッドリー、デンプシーといったアメリカ代表のレジェンド達もプレーしているMLS。
アメリカへ行く機会があったら、ぜひ一度スタジアムまで足を運んで頂きたい。