2018年2月25日は、J2全試合の開幕試合として割り当てられた。フライデーナイトを実施するなど、DAZNの影響もあってドイツやスペインのような分散型スタイルへとシフトできたのは大きい。J1の時間かぶりゲームが減り、J.ZONEも伴ったことで、J2の露出が相対的に増えたことも、視聴の拡大化に向けて一歩前進したと言えよう。
まずピックアップしたいゲームは「レノファ山口」vs「ロアッソ熊本」の一戦。立ち上がり2分、自陣で得たFKからLWB瀬川和樹が前線へ猛烈に奪取し、左足でクロスを放つ。超速で起こったアクションにたじろいだか、デビュー戦となったCB米原秀亮が焦って蹴ろうとしたボールは目の前のMF上村周平に当たりこぼれてしまう。これを見逃さなかった新加入FWオナイウ阿道が、左足を振り抜いて先制点を獲得する。
時間の関係上、13時キックオフの福岡-岐阜戦前半5分に決まった福岡FW石津大介のオーバーヘッドが今季のJ2開幕を告げる号砲となったものの、スピード感としてはオナイウに軍配が上がった。
山口の攻撃は止まらない。前半9分、数分前の残像が残っていたのだろうか、安牌に進めようとする熊本CB鈴木翔登に対してFW高木大輔がプレスをかけて奪うと、そのまま左足一閃。2点目が突き刺さった。このシーン、FWオナイウも鈴木・CB青木剛の間でポジショニングしていたため、すでに詰んでしまっていた。高木がシュートを打つ際も目線を合わせており、今冬加入の二人が早速持ち味を見せつけてくれた格好だ。
確かに若い二人だが、世界大会の経験は試合内でもトップレベルに豊富。一瞬の間の詰め合いはJ2とは思えない高さだった。
MF大崎淳矢がボールを奪取すると、受けたFWオナイウは右へと展開。RWB小野瀬康介はPAへペネトレイトするとCB米原の存在を構わず右足を振り切って3点目を得た。
これでも終わらない山口。今度はオナイウが起点となってセンターサークルから右サイドへ展開。数分前に似た形だが、RWB小野瀬は真横へドリブルしパスすると、受けたMF三幸秀稔がダイレクトでミドルシュート!攻撃アクションが実った山口は開幕戦から4点を奪う充実ぶりを見せた。
一方で黙ってないのは、こちらも今季加入したばかりの元日本代表FW皆川佑介だ。後方CB鈴木からのロングフィードに反応したMF田中達也が右サイドを駆け上がって放ったクロスに反応して1点を返すことに成功。維持でもぎ取った一点は、次節へ繋げる大きな得点となった。
レノファは3-5-2と3-3-4をうまく使い分けてくる印象が強かった。4トップと聞くと、異常性を感知するところだが、数年前のJFL・J3を席巻した
【FW岸田和人・MF鳥養祐矢・MF島屋八徳・MF福満隆貴】の4人で形成しきった爆発的4トップの芳香が新たな形となって現れたかのように感じられた。SBからときにWGまでこなす瀬川・小野瀬に、高木・オナイウ。彼らを混濁とする三幸と大崎。彼らを後ろで支えるDFと主将MF佐藤健太郎。まず開幕説で首位に立ったレノファの躍進は今季のJ2におけるサプライズを起こしてくれるかもしれない。
また、4失点こそくらったロアッソだが、悪いわけではなかった。高卒ルーキーのCB米原秀亮にとってはいい勉強になったはず。名古屋グランパスのCB菅原由勢が話題となったが、岡山のCB阿部海大と米原の高卒ルーキーCBを今後追いかけてみるのも興味深い。