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【クラブ紹介】Jリーグにも大きな影響を与えるデリバティブ型クラブ「トンベンセ」

*2019/2/3に更新

 27年目の開幕を迎えるJリーグ。10クラブで始まり、今では54クラブまで増加。JFL、地域リーグと裾野を広げ、国内ですら著名なクラブが100を超えるようになった。もちろん、世界レベルででは、サッカー発祥の地イングランドや王国ブラジルのように、アマチュアレベルまでリーグ戦が整備された国もあるため、ローカルレベルからワールドワイドなメガクラブまで、世界には様々な形のクラブが存在する。今回は、衝撃的なビジネスでプロクラブを運営するブラジルの「トンベンセ」を紹介したい。国内外多くののクラブは勝利やタイトルを目指して戦っているが、彼らは違う。初めから投資目的で選手を獲得しているのである。



 彼らの仕組みは至ってシンプルだ。契約満了となったフリーの選手や素材は良いものの、アマチュアクラブやアンダーカテゴリーに所属する選手を安い金額で獲得し、移籍金で収益を得ている。トンベンセの運営チームは、類まれなマーケティング知識や、世界中に張り巡らしているネットワーク網にアプローチし、選手にオファーがあれば即応じるスタンスを構える。毎年1~5月に行われるブラジル州選手権の期間では、まだオファーのない残留した選手を集めてチームを作りアピールチャンスも設けている。
 トンベンセの凄さは、コミットメントの高さだ。事前にオファーがある選手は別としても、選手権参加者も全員がレンタル移籍または完全移籍で放出できているのだ。レンタル移籍の選手たちは、そこでアピールする機会を得ることで、完全移籍になるケースも少なくない。

 トンベンセに所属する選手を獲得するのは、同じ南米のクラブだけではなく、欧州にもアジアにも獲得市場がある。では、Jリーグにはどのような「トンベンセ」出身の選手がいるのだろうか。

《2019年シーズンにJリーグでプレーする選手》
▼DF
エウシーニョ(清水エスパルス)

▼MF
エドゥアルド・ネット(名古屋グランパス)
カイオ・セザール(川崎フロンターレ)

▼FW
ドウグラス(清水エスパルス)
アンデルソン・ロペス(コンサドーレ札幌)*新加入
ハイネル(サンフレッチェ広島)*新加入

 DFエウシーニョやMFエドゥアルド・ネットといった川崎フロンターレの優勝に貢献した選手が多い印象を受けるだろう。事実、悲願のJリーグ初優勝を成し遂げた2017年の川崎フロンターレには、上記の2選手に加えて今季は広島でプレーするFWハイネルが所属していた。トンベンセというクラブが存在していなければ川崎の奇跡の逆転優勝は起こらなかったかもしれない。

 また、2015年にサンフレッチェ広島の優勝に貢献したFWドウグラスもトンベンセ出身の選手だ。現在、清水エスパルスに所属している同選手は2019シーズン開幕前に不整脈の疑いで母国ブラジルへと一時帰国し治療に専念している。*2/15に再来日

《以前Jリーグで活躍したトンベンセ出身の選手》
▼DF
ウィリアン・ホーシャ(元名古屋グランパス)
ギリェルメ(元ジュビロ磐田)

▼MF
アンドレイ・ジロット(元京都サンガ)
ドリバ(元松本山雅)

▼FW
フェリペ・アウベス(元モンテディオ山形) など

 2016年に京都サンガでプレーしたMFアンドレイ・ジロットは、シャペコエンセを経て17年夏にフランスの古豪ナントへと完全移籍。2017-18シーズンはクラウディオ・ラニエリ監督の下でリーグ・アン25試合に出場した。2018-19シーズン開幕から率いていたミゲル・カルドーゾ体制では構想外となっていたが、18年10月に元日本監督であるバヒド・ハリルホジッチ氏が就任してからは再び出場機会を増やしている。




《トンベンセから世界へ羽ばたいた選手》
▼DF
ヴィトール・ウーゴ(フィオレンティーナ)
マリアーノ(ガラタサライ)
レオ・マトス(PAOK)
アントニオ・カルロス(パルメイラス)

▼MF
シセロ(ボタフォゴ)

▼FW
ウィリアン(パルメイラス)
フェルナンドン(バイーア) など

 フィオレンティーナで不動のCBとしてプレーしているDFヴィトール・ウーゴ、ガラタサライの不動のRSBであるDFマリアーノもトンベンセ出身の選手である。また、スュペル・リグ(トルコ)で得点王に輝いた経歴を持つFWフェルナンドンやヘルタ・ベルリンやグレミオなどで活躍した元ブラジル代表MFシセロも同クラブ出身だ。

《まとめ》
 「トンベンセ」というクラブがが存在していなければ、2017年の川崎フロンターレの優勝も、2015年のサンフレッチェ広島の優勝は無かったと言っても過言ではない。世界各国へ素晴らしい人材供給を続けるデリバティブ型クラブ「トンベンセ」とJリーグのチーム、そして世界のチームとの付き合い方から目が離せない。