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【柏レイソル】ハーフスペースとハーフスポットの有効戦術を示す布陣

 『柏から世界へ』
 2018年早々の1月末、各チームまだキャンプを張っている最中に行われた、ACLプレーオフ「柏レイソルvsムアントン・ユナイテッド」は3-0で終わった結果以上に、全体のオーガナイズに目を奪われた。
 今季の柏を語る上で必須となるのは、新エースMF江坂任だろう。まさにJリーグドリームを掴むかのように、ザスパクサツ群馬から大宮アルディージャを経て今季から柏の「10番」を背負う眉目秀麗な逸材は、この初戦からポジションを掴んだ。

 【いつもどおりのクリスティアーノ】
 右サイドでボールを持ったRSB小池龍太は、ビルドアップするやいなやムアントン5バックの左ストッパー・左サイドバックの間のスペースへボールを送る。RWG伊東純也が絶妙な飛び出しからボールを受けると、中央にいたCFクリスティアーノは位置取りを変える。PAエリア内に侵入した伊東は、しっかりと見ることもなくグラウンダーの折り返しを送ると、クリスティアーノが決めた。逆サイドにはLWGハモン・ロペスが走り込み、江坂カバーに回るなど、互いの位置関係をわかりきった上でのゴールシーンとなった。

【ハーフスペースの共通意識】
 CB中谷進之介はボールをDMF大谷秀和へと送る。大谷はワンタッチでセンターラインの伊東へ、その伊東もまたディフェンス二人の背後を狙った縦パスを送ると、絶妙な飛び出しから穿ったクリスティアーノがまたも右足で決めた。中谷がパスを意識して約10秒での出来事だ。
 1点目と後述する3点目は両サイドを活用したものだったが、DFラインをブレイクした瞬間にはこの「ハーフスペース」がポイントとなる。
 センターバックとサイドバックの間に生まれるこのスペースは、現代サッカー戦術のホットワードの一つ。サイドバック、センターバック、ボランチ、「誰が担当するのか」と考えをエアポケットにいざなってしまうこのライン上のバトルを勝利できれば、よりゴールに近づき、シュートチャンスを得られるようになる。
 クリスティアーノのゴールや、伊東純也の企図したアシスティングは、練習から意識された柏の体現したい戦術なのだとわかる。

【DF陣に徹底されたハーフスポット戦略】
 今度はCB中山雄太がロングフィードを前方へと送る。ハーフスポットでクリスティアーノが空中戦で競り勝つ。こぼれたボールをLSBユン・ソギョンが拾い、クロスを送る。伊東純也が決め、3-0の勝利となった。
 江坂任、ハモン・ロペス、CMFキム・ボギョン、途中出場の新加入組FW瀬川祐輔、DMF小泉慶、SB亀川諒史は得点に絡むことができなかった。とはいえ、新加入組は戦術の醸成、柏レイソルの歴史をともに歩みだしたばかりで、ハモン・ロペスとキム・ボギョンに関しては、結果として得点に絡まなかっただけのこと。そもそも、スタートやアシストなど、4バック全員が得点に絡んだことを褒めるべきである。