Evolving Data Labo

【選手名鑑】アシュリー・ハーンズの現在地|8部からプレミアへ!バーンリーで10番を付けるストライカー

 イングランド1部で2度の優勝を誇る古豪バーンリー。近年はやや低迷していたが、2017-18シーズンはプレミアリーグで7位につけるなど再び力をつけている。また、GKトム・ヒートン(現アストン・ビラ)やGKニック・ポープ(バーンリー)DFマイケル・キーン(現エバートン)、DFジェームズ・ターコウスキ(バーンリー)といった選手をイングランド代表に輩出している。

 バーンリーの練習前には他のプレミアリーグのクラブではありえない”異例”とも言える光景が見られる。一般的には選手1人一人が個人で所有する高級車に乗って練習場に現れるが、バーンリーでは1つのワンボックスカーから7、8人の若手選手が降車する。さらにこの車を運転しているのはクラブのスタッフではない。チームの顔とも言える存在であるアシュリー・バーンズが、チェンシャーやマンチェスターを経由し練習場まで送迎しているのだ。

 2019年9月4日現在、2019年1月からプレミアリーグで最もゴールを記録しているイングランド人選手であるバーンズだが、代表経験はない。かつては母方のルーツであるオーストリア代表を目指していたが、代表資格を得ることが出来ず断念。ただ、ここ数シーズンの活躍により、イングランド代表を率いるギャレス・サウスゲイト監督もバーンズに注目。バーンズはインタビューで、「かつてはプレミアリーグ試合に出場することを目標としていたが、今ではプレミアリーグで100試合以上プレイした。そして次なる目標は国際舞台に立つことだ。もちろんバーンリーのために一生懸命働き続ける必要があることは知っているけど、それとは別の目標だね。」と代表に対する思いを語っている。それではイングランド代表デビューを夢見るバーンズの現在地を見ていこう。



アシュリー・バーンズのプレースタイルと選手紹介

 
 1チームに1人は欲しいチームプレイヤー。抜きん出た”個”の力があるわけではないが、闘争心の強さと献身性が魅力的な選手。ただ、その献身性が裏目に出ることも少なくなく、プレミアリーグではおよそ4.5試合に1枚イエローカードを貰っている。

 ビッグ6キラーとして知られる。2018-19シーズンは、リバプールとマンチェスター・シティを除く4クラブに対して計5ゴールを記録。

 プロクラブの下部組織で育成された訳ではなく、8部相当のリーグでキャリアをスタートさせた苦労人。当時の給与は週給£60だったそう。

 元々はコンパクトカーを運転していたが、若手選手を練習場に連れていくためにワンボックスカー購入。

 既婚。11年に息子のフリン君が誕生。フリン君は大のマンチェスター・シティファンだそう。リバプールとの熾烈な優勝争いを転じていた2018-19シーズン終盤の第36節にシティとバーンリーが対戦。試合前にリバプールを率いるユルゲン・クロップ監督がバーンズに対し冗談で「シティ相手にゴールを決めたら君を獲得するよ。」とSMSを送ったところ、このことを知ったフリン君は「パパ!真剣にならないで!」と助言。しかし、パパは「ごめんよ息子、これが僕の仕事なんだ。」と返事を返した。結果的にバーンズはシティ相手にゴールを奪えず、バーンズ家の平和は守られた。

これまで対戦したDFの中で最も手強かった選手にリバプールに所属するオランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイクを挙げている。

 14年4月に行われたカーディフ戦において、カーディフDFのジョー・ベネットがバーンズをファウルで倒し口論に発展。両者共に歩み寄り、最終的にバーンズがベネットの鼻先にキスをするという珍展開に。主審はファウルを犯したベネットにイエローカードを提示するのと同時にキスをしたバーンズに対してもイエローカードを提示。英メデイアは「プレミアリーグの歴史において型破りなイエローカード」と大々的に報じた。

アシュリー・バーンズのプロフィール

選手名 アシュリー・バーンズ(Ashley Barnes)
ポジション FW
出身 イングランド/バース
年齢/生年月日 30歳/1989年10月30日
身長・体重 186cm・77kg
現所属チーム/背番号/利き足 バーンリー(イングランド)/10/右足
代表/デビュー年
過去所属 ブライトン、プリマス(イングランド)など
クラブ・代表タイトル フットボールリーグ1(イングランド3部)
個人タイトル

幼少期からプロ選手になるまで

 アシュリー・バーンズは、1989年10月30日にイングランドのバースで生まれた。父方の祖母はオーストリア人であり、バーンズ自身は08年にオーストリアU-20代表に選出された経験がある。小学生の時に地元のバース・アーセナルに入団。ちなみにこの時のチームメイトには、元イングランドU-21代表FWスコット・シンクレア(セルティック)がいる。その後、17歳となったバーンズはイングランドの8部相当に所属するポールトン・ローヴァースに入団。この地でゴールを量産したバーンズに対しては多くのクラブが関心を寄せた。



2部クラブへステップアップも…

 2007年3月、当時フットボールリーグ・チャンピオンシップ(イングランド2部)に所属していたプリマスに入団。しかし、プリマスではレギュラー確保には至らず、下部リーグのクラブへのレンタル移籍が続いた。結果的にプリマスでは公式戦27試合の出場に留まった。

転機となったブライトン移籍

 2009年3月、当時フットボールリーグ1(イングランド3部)に所属していたブライトンにレンタル移籍。当時のブライトンには長くアストン・ビラで活躍した元イングランド代表MFリー・ヘンドリーや後にボーンマスをクラブ史上初のプレミアリーグ昇格に導くCBコンビとなるトミー・エルフィック(現ハダースフィールド)とスティーヴ・クック(現ボーンマス)、さらには現在もブライトンでプレーするグレン・マレーやルイス・ダンクといったメンバーが所属していた。バーンズは3月からの短期レンタルながらリーグ戦8試合で4ゴールを決めるなど結果を残し、7月に完全移籍でブライトンに加入することが決まった。

 心機一転、正式にブライトンの選手となったバーンズは、2トップを組んだグレン・マレーと共にゴールを量産。バーンズはリーグ戦42試合で18ゴール、マレーがリーグ戦42試合で22ゴールを記録しクラブの3部優勝&2部昇格に大きく貢献した。ちなみにこの2トップの控えFWには現在バーンリーで2トップを組んでいる当時18歳のニュージーランド代表FWクリス・ウッドとかつてFC東京でプレーしたスペイン人FWフランシスコ・サンダサ(アルコロン)がいた。

 2部昇格の立役者であったグレン・マレーがライバルクラブのクリスタル・パレスに移籍するという”事件”が起きた中で、2011-12シーズンは2部で初となる二桁ゴールを記録。だが、続く2012-13シーズンは計10試合を出場停止処分により欠場するなどプレーの粗さが目立った。中でも37節ボルトン戦では、後半ロスタイムに意図的に審判を転ばせたとしてレッドカードが提示。FAは7試合の出場停止処分を下した。

バーンリーへ!そしてプレミアリーグデビュー

 14年1月、同じくチャンピオンシップに所属していたバーンリーへの完全移籍が発表された。バーンリーはシーズン開幕前にチャーリー・オースティンをQPRに売却しており、新たなFWのオプションとしてバーンズの獲得に至った。加入直後こそ控えに甘んじたが、後半はスタメンの座を掴み1部昇格に貢献した。

 プレミアリーグデビューとなった2014-15シーズンは、リーグ戦35試合で5ゴールと大きな結果を残せずチームは1年で2部へ降格。さらには最終節で膝の前十字靭帯を断裂し翌シーズンの大半を棒に振った。また、ダニー・イングスの退団に伴い2015-16シーズンより背番号「10」を与えられた。シーズン後半にケガから復帰。バーンズ自身にゴールは生まれなかったが、FWアンドレ・グレイ(現ワトフォード)とFWサム・ヴォークス(現ストーク)の2人が合わせて38ゴールを挙げる大活躍。チームは再びプレミアリーグへの昇格を勝ち取った。

 2016-17シーズンは序盤にハムストリングの負傷で再び長期離脱を余儀なくされるが、復帰してからはスタメンに復帰。非常に苦しいシーズンとなったが、GKトム・ヒートン(現アストン・ビラ)を始めとするディフェンス陣の奮闘もあり残留を勝ち取った。

“相棒”との再会

 2017-18シーズンも引き続きプレミアリーグで戦うことになったバーンリーだったが、開幕直前にエースのアンドレ・グレイを1850万ポンドの移籍金でワトフォードに放出。開幕直前のエース放出に激震が走ったバーンリーだったが、8月21日に前シーズンに2部のリーズで得点王となる27ゴールを記録したとニュージーランド代表FWクリス・ウッドをクラブレコードの移籍金で獲得。バーンズとはブライトンで3部優勝を成し遂げた2010-11シーズン以来の再会となった。ウッドはデビュー戦となった第3節トッテナム戦で貴重な同点ゴールを挙げるなど早速結果を残したが、第15節トッテナム戦で膝を負傷。およそ3ヶ月間、負傷離脱を余儀なくされたが、復帰するとバーンズと共にゴールを量産する。復帰戦となった第29節エバートン戦と第30節にウッドは途中出場するのだが、バーンズと共演したわずか75分の間で2人は合わせて5ゴールを記録。相性の良さを発揮した2選手をバーンリーを率いるショーン・ダイチェ監督は第31節WBA戦に同シーズン初めて同時にスタメン起用。この試合で共にゴールを決めた両選手は2人揃ってスタメンに定着。シーズンを7位でフィニッシュし、結果的に同シーズンに2選手は合わせてチーム総得点の52%に当たる19ゴールを決めることになるのだが、そのうちの12ゴールを共存時間わずか718分の間に決めてしまったのだ。相性の良さは他のデータにも現れており、バーンズは同シーズンにウッド不在時は360分に1ゴールを記録していたのに対し、共存時は144分に1ゴールを記録。ウッドはバーンズ不在時に305分に1ゴールを記録していたのに対し、103分に1ゴールと大幅に得点率が向上した。

 そして連携がさらに成熟した2018-19シーズンはさらにゴールを量産。バーンズは3部でプレーしていた2010-11シーズンを除けばキャリアハイとなる12ゴールを記録。ウッドは前シーズンと同じ10ゴールを記録した。18年夏には2017-18シーズン2部得点王のチェコ代表FWマチェイ・ヴィドラ、19年冬には元イングランド代表FWピーター・クラウチ、そして19年夏にはバーンリーの下部組織出身である元イングランド代表FWジェイ・ロドリゲスといった実力者が続々とチームに加わる中でも結果を残してレギュラーポジションを守り続けているバーンズとウッド。2019-20シーズンも引き続きコンビでゴールを量産することが出来るだろうか?そしてバーンズは次なる目標であるイングランド代表でプレーすることが出来るのだろうか。

アシュリー・バーンズの動画



年度別出場成績

2019-20/バーンリー

プレミアリーグ 19試合6ゴール0アシスト

2018-19/バーンリー

プレミアリーグ 37試合12ゴール2アシスト
EFLカップ    1試合0ゴール0アシスト

2017-18/バーンリー

プレミアリーグ 36試合9ゴール0アシスト
FAカップ     1試合1ゴール0アシスト
EFLカップ   2試合0ゴール1アシスト

2016-17/バーンリー

プレミアリーグ 28試合6ゴール3アシスト
FAカップ     3試合0ゴール0アシスト

2015-16/バーンリー

FLC(英2部)  8試合0ゴール0アシスト

2014-15/バーンリー

プレミアリーグ 35試合5ゴール2アシスト
FAカップ     1試合0ゴール0アシスト
EFLカップ    1試合0ゴール0アシスト

2013-14/ブライトン/バーンリー

FLC(英2部)  22試合5ゴール2アシスト
FA杯       1試合0ゴール1アシスト
EFLカップ    1試合1ゴール0アシスト

FLC(英2部)  21試合3ゴール1アシスト

2012-13/ブライトン

FLC(英2部)  34試合8ゴール4アシスト
FLCプレーオフ  2試合0ゴール0アシスト
FA杯       2試合1ゴール1アシスト
EFLカップ    1試合0ゴール0アシスト

2011-12/ブライトン

FLC(英2部)  43試合11ゴール6アシスト
FA杯       4試合1ゴール0アシスト
EFLカップ    3試合2ゴール0アシスト

2010-11/ブライトン

FL1(英3部)  42試合18ゴール5アシスト
FA杯       6試合2ゴール2アシスト
EFLトロフィー  1試合0ゴール0アシスト

2009-10/プリマス/トーキー・ユナイテッド/ブライトン

FLC(英2部)  7試合1ゴール1アシスト
FA杯      1試合0ゴール0アシスト
EFLカップ    1試合0ゴール0アシスト

FL2(英4部)  6試合0ゴール0アシスト

FL1(英3部)  8試合4ゴール1アシスト

2008-09/プリマス

FLC(英2部)  15試合1ゴール1アシスト

2007-08/プリマス

EFLカップ    1試合0ゴール0アシスト




【PR】DAZNで戦術解析番組もスタート!徐々に進化し続けるコンテンツを是非!