▽今季より元日本代表MF本田圭佑が参戦することで日本でも注目されているオーストラリア『Aリーグ』。実はオーストラリア初のプロリーグである『Aリーグ』が発足されたのは2004年。『地域性』をコンセプトにしている点や、歴史の浅さなどJリーグとの共通点も多い。また近年、多くのAリーグ経験者がJリーグに参戦している。2018年は新たにDFヨルディ・バイス(V・ファーレン長崎)、FWアンドリュー・ナバウト(浦和レッズ)、FWベサルト・ベリーシャ(サンフレッチェ広島)らがJリーグに参戦。攻撃陣はまだ本領を発揮出来ていないが、加入間もなくでゲームキャプテンを務めたDFヨルディ・バイスの衝撃は凄まじかった。
▽まだまだ発展途上のリーグであるJリーグとAリーグ。18-19シーズン、Aリーグには本田圭佑以外にもJリーグ経験者が9名在籍している。それでは懐かしさ溢れる選手達を紹介していこう。
*J通算は公式戦全試合のこと
● タンドウ・ベラピ(Tando Velaphi)
Pos :GK
生年月日:1987/4/17(31歳)
身長/体重:186cm/75kg
所属:パース・グローリー
過去所属:湘南ベルマーレ(2016-2017)
J通算:9試合16失点
代表:元オーストラリア代表
▽ジンバブエ人の父と日本人の間に生まれたハーフだが生まれたオーストラリアの国籍を選択。パース・グローリーやメルボルン・シティでの活躍を経て、16年に湘南ベルマーレに加入。当初は正GKとして活躍が期待されたが、負傷の影響などでスタメン定着ならず。2年間の在籍で9試合の出場に留まり、18年冬にウェリントン・フェニックスへ完全移籍。半年後に古巣パース・グローリーに復帰した。18-19シーズンは控えGKが主戦場となりそう。
● マシュー・スピラノビッチ(Matthew Spiranovic)
Pos :CB/DMF
生年月日:1988/6/27(30歳)
身長/体重:188cm/87kg
所属:パース・グローリー
過去所属:浦和レッズ(2010-2012)
J通算:48試合1ゴール
代表:オーストラリア代表
*ウェスタン・シドニー在籍時
▽ドイツ・ブンデスリーガ出場経験もある大型CB。ニュルンベルクを経て10年冬に浦和レッズへと加入した。確かな実力の持ち主でスタメンに値する活躍を見せていたものの、ドイツ時代から負傷に悩まされており、シーズンフル稼働したのは2011年のみだった。2012年は出場機会を失い、シーズン途中にカタールのアル・アラビへ完全移籍。その後ウエスタン・シドニー、杭州緑城を経て18年夏にパース・グローリーへと加入した。
● アブラアム・パパドプーロス(Avraam Papadopoulos)
Pos :CB
生年月日:1984/12/3(29歳)
身長/体重:188cm/85kg
所属:ブリスベン・ロアー
過去所属:ジュビロ磐田(2016)
J通算:14試合1ゴール
代表:元ギリシャ代表
▽UEFAチャンピオンズリーグやW杯出場経験もある大物CB。2008年からギリシャの強豪オリンピアコスでプレーし、リーグ4連覇に大きく貢献。14-15シーズンはトラブゾンスポルでハリルホジッチ監督の下でプレー。その後中国の上海申花を経て、16年5月にジュビロ磐田へと加入した。加入してから3試合目でスタメン出場。その後もコンスタントに出場機会を経て公式戦14試合に出場した。シーズン終了後、出身地であるオーストラリアのブリスベン・ロアーへ移籍。こちらでもスタメンとして定位置を掴んだ。
● マイケル・マグリンチィ(Michael McGlinchey)
Pos :OMF
生年月日:1987/1/7(31歳)
身長/体重:175cm/68kg
所属:セントラル・コースト
過去所属:ベガルタ仙台(2014)
J通算:9試合0ゴール
代表:ニュージーランド代表
*ウェリントン・フェニックス時代
▽名門セルティックの下部組織出身のニュージーランド代表MF。セルティックでは出場機会を掴むことが出来ず、09年夏にオーストラリアのセントラル・コーストへと移籍。セントラル・コーストでコンスタントに出場機会を掴み、半年後にマザーウェルへレンタル移籍しスコットランド復帰を果たす。しかし、期待されていたほどの活躍ができず、半年でオーストラリア復帰。14年にセントラル・コースト時代の恩師グラハム・アーノルド監督が就任したベガルタ仙台へレンタル移籍を果たす。しかし、早々にアーノルド監督が退任し、マグリンチィ自身も6月で退団した。同年9月にウェリントン・フェニックスへ完全移籍。4年間に渡って主力としてプレーし、18年夏にセントラル・コーストへと4年ぶりの復帰を果たした。
● ミッチ・ニコルズ(Mitch Nichols)
Pos :OMF
生年月日:1989/5/1(29歳)
身長/体重:181cm/75kg
所属:ウェリントン・フェニックス
過去所属:セレッソ大阪(2014)
J通算:11試合0ゴール
代表:元オーストラリア代表
*パース・グローリー在籍時
▽昨年、コカイン所持の疑いで逮捕された問題児。07年にブリスベン・ロアーに入団。10-11シーズンは29試合6ゴール、11-12シーズンは31試合10ゴールと大きく結果を残した。13年夏にブリスベン・ロアー時代の恩師アンジェ・ポステコグルー監督(現横浜F・マリノス監督)の誘いを受けメルボルン・ビクトリーへ移籍。半年間で3ゴール5アシストの活躍を披露し、14年にセレッソ大阪へと完全移籍。しかし、セレッソ大阪では1ゴールも決めることが出来ず、1年後にパース・グローリーへとレンタル移籍。15年夏にはウェスタン・シドニーへと完全移籍し、日本での挑戦は終わりを告げた。15-16シーズンは溜まっていたものが大爆発。27試合で9ゴールを記録し、完全復活を遂げたのであった。16-17シーズン限りでウェスタン・シドニーを契約満了で退団。本人は欧州挑戦を公言していたが、5月にコカイン所持で逮捕されたことで挑戦を断念。結果、パース・グローリーへと復帰を果たし、1年後の18年夏にウェリントン・フェニックスと契約を結んだ。
● アレックス・ブロスケ(Alex Brosque)
Pos :OMF
生年月日:1983/10/12(35歳)
身長/体重:182cm/72kg
所属:シドニーFC
過去所属:清水エスパルス(2011-2012)
J通算:64試合17ゴール
代表:元オーストラリア代表
▽オランダの強豪フェイエノールト在籍経験もある元オーストラリア代表。04年夏にオーストラリアのマルコーニ・スタリオンズからフェイエノールトへと完全移籍し、すぐにベルギーのウェステルローへとレンタル移籍。05年夏にAリーグが設立されたことを受けて、クイーンズランド・ロアー(現ブリスベン・ロアー)へと完全移籍しオーストラリア復帰。その後、シドニーFCを経て11年に清水エスパルスへの完全移籍。日本での登録名は『アレックス』。移籍直後からスタメンの座を確保し、在籍した1年半で公式戦64試合17ゴールを記録した。12年9月にUAEのアル・アインへと完全移籍。14年夏にシドニーFCと復帰し、現在は主将を務めている。今季もカップ戦で2ゴールと健在!
● ベン・ハロラン(Ben Halloran)
Pos :LWG
生年月日:1992/6/14(24歳)
身長/体重:184cm/77kg
所属:アデレード
過去所属:V・ファーレン長崎(2018)
J通算:10試合0ゴール
代表:元オーストラリア代表
▽ブラジルW杯でオーストラリア代表の背番号「10」を背負った元逸材。オーストラリアのゴールド・コースト・ユナイテッド、ブリスベン・ロアーで活躍した後、13年夏にドイツ2部のデュッセルドルフへと完全移籍。2シーズンで8ゴールを決める活躍をみせ、15年夏に同じく2部ハイデンハイムへと完全移籍。ハイデンハイムでは、シーズンが経つに連れて出場機会が大幅に減少。18年にJ1へと昇格したV・ファーレン長崎へと完全移籍した。開幕スタメンを掴むなど主力として活躍が期待されていたが、徐々に出場機会が減少。7月に双方合意の下、契約を解除し母国のアデレードへと移籍した。アデレードでは、リーグ戦開幕前のカップ戦でゴールを決めるなど主力選手として活躍が期待される。
● ネイサン・バーンズ(Nathan Burns)
Pos :CF/RWG
生年月日:1988/5/7(30歳)
身長/体重:173cm/70kg
所属:ウェリントン・フェニックス
過去所属:FC東京、サンフレッチェ広島(2015-2017)
J通算:38試合4ゴール
代表:元オーストラリア代表
▽14-15シーズンのAリーグMVP。06年にアデレードでプロデビュー。07年にA代表デビューし、08年夏にギリシャの強豪AEKアテネへと完全移籍。しかし、2シーズン半でわずか2ゴールに終わり、12年冬に韓国の仁川ユナイテッドへとフリー移籍。その後ニューカッスル・ジェッツを経て、14年夏にウェリントン・フェニックスへと完全移籍した。この地でバーンズは秘めた才能を大きく開花。リーグ戦23試合13試合6ゴールを記録しリーグMVPを獲得した。そして15年夏にFC東京へと完全移籍。活躍が期待されたが、2シーズンでわずか4ゴールと結果を残すことが出来ず。サンフレッチェ広島を経て18年冬に古巣ウェリントン・フェニックスへと復帰した。満を持してかつて大活躍したチームへと復帰したが、ゴールはFC東京に在籍していた16年10月1日以降遠ざかったいるままだ。
● ジャイール(Jair)
Pos :CF/LWG
生年月日:1988/6/10(30歳)
身長/体重:179cm/76kg
所属:ニューカッスル・ジェッツ
過去所属:ジェフ千葉、鹿島アントラーズ(2013-2014)
J通算:26試合4ゴール
国籍:ブラジル
*全南ドラゴンズ時代
▽名門インテルナシオナルの下部組織出身のストライカー。11年に加入した韓国の済州ユナイテッドではエースとして活躍。特に2012年はリーグ戦30試合で14ゴールと決定力の高さを見せつけた。13年にJ2のジェフ千葉へと加入。リーグ戦16試合で4ゴールと結果を残していたが、7月にUAEのエミレーツ・クラブへとレンタル移籍。半年後に鹿島アントラーズへとレンタル移籍し、日本へと復帰した。しかし、鹿島では0ゴールに終わり7月にジェフ千葉へと復帰。その後、ブラジルやUAEのクラブを経て韓国の全南ドラゴンズへと移籍した。かつて活躍した韓国の地でジャイールは完全復活。在籍した2シーズンで47試合22ゴールを記録し、中国の延辺富徳へと完全移籍。18年9月にオーストラリアのニューカッスル・ジェッツへと加入。浦和レッズへと移籍したオーストラリア代表FWアンドリュー・ナバウトの後釜として活躍が期待される。
《番外編》
● ジェイソン・デイビッドソン(Jason Davidson)
Pos :LSB
生年月日:1991/6/29(27歳)
身長/体重:180cm/72kg
所属:パース・グローリー
代表:元オーストラリア代表(23試合1ゴール)
▽祖母が日本人の日系人。オーストラリア生まれ、オーストラリア育ちだが05年から日本の成立学園へ留学。08年までサッカー部に所属し、09年からはポルトガルのパソス・デ・フェレイラの下部組織に入団した。12年冬からはオランダのヘラクレスでプレーし、14年のブラジルW杯にメンバー入り。その活躍が認められ、当時プレミアリーグに所属していたWBAと完全移籍を果たした。しかし、出場機会確保には至らず、1年で2部のハダースフィールドへとフリー移籍。その後はフローニンヘン(オランダ)、リエカ(クロアチア)、オリンピア(スロベニア)でプレーして18年夏に母国オーストラリアのパース・グローリーへと移籍した。キャリアのほとんどを国外で過ごしているため、今季がAリーグ初参戦。今後Jリーグ入りの可能性もあるだろう。
▽実は日本とも馴染み深いオーストラリア『Aリーグ』。オーストラリアへ旅行に行った折には、ぜひスタジアムに足を運んで頂きたい。