ディフェンダーの背後に回り込んで視界から消え去る。左サイドから放たれるクロスのスピードに合わせて体勢を変え、ワンタッチで決めた。10/6のギラヴァンツ北九州戦で決めたこのゴールにより2018年全カテゴリーで初の「ダブル10」達成者となった。スペインを経由しているが大卒ルーキーと同年齢。偉業と捉えて間違いない。国内リーグで初めてのフルシーズンを送る若武者の奇想天外な旅路を共に振り返りたい。
中川風希のプレースタイルと選手紹介
175cmの数字ほど大きさを感じない細身の体躯だが、『トリッキー』なムービングの多いシャドーストライカーだ。『視界ジャック』に長けており、守備陣の背後や一歩届かないスペースへの侵入など、オーソドックスとは異なるスタイルを持ち合わせている。
高校・大学・東京U-23
武南ジュニアユース、武南高校を経て2014年関東学院大学に入学。しかし、大学だけではなく、関東1部リーグの東京U-23のプレーも選択した。東京U-23はJリーグ入りも狙うクラブチームであり、現在はエージェントチームと組み、海外チームへも積極的に選手を派遣させるなどの「チャレンジング」なプロジェクトを実行している。海外を考えて属すと、2015年に転機が訪れる。
高校卒業して1年半と経たない2015年夏にスペイン5部リーグのバジェカスFCのオファーを受けて一路スペインへ向かうこととなった。
スペイン国内でのステップアップ
5部のバジェカスに入団し、23試合14ゴールと得点を量産した中川は、翌2016年に4部リーグのベティス・サン・イシドロへとステップアップ。同世代が大学3年生から4年生へと進級する頃、新たなオファーが舞い込んだ。
2017年夏、日本へ帰国した中川が向かった先は沖縄。オファー元は現在所属するFC琉球からのものだった。「FC琉球のJ2昇格目標達成の為に少しでもチームに貢献できるよう頑張りますので応援よろしくお願いします」とコメントともに入団。しかし、途中加入の流れも響いたか10試合493分に出場し、1ゴール1アシストと、カテゴリーも国も違えど、2015-2016シーズンで見せた活躍とは異なるものだった。
琉球への逆輸入と飛躍の2018年
それでも片鱗は見せた。周囲からの期待と不安や背負う若武者は不退転の覚悟で2018年シーズンに臨む。高卒なら5年目だが大卒ならルーキーイヤー。プロのステージを感じるシーズンだ。その2018年、中川は開幕から飛ばしていた。最前線で起用された開幕節カターレ富山戦での1ゴール1アシストを皮切りに2節はアシスト、3節はゴールと流れを掴む。しかし、徐々に対策を立てられると得点力は低下。出場機会こそ続くも、結果の残せない日々が続いた。
きっかけは6/2の長野パルセイロ戦。中盤で起用されて1アシストすると、後方からの飛び出しと、ディフェンスラインまでスペースが多いことを利用したトリッキーな動きが功を奏して再覚醒。グルージャ盛岡戦では自身初のハットトリックを決めるなど流れを掴む。中川の流れが変わるのと同様、チームも好調を維持。5月以降は、たった1敗と不敗ロードを維持している。
そして迎えたギラヴァンツ北九州戦でゴールを奪うと、これが決勝点となって見事勝利を掴む。また中川自身の「ダブル10」達成の瞬間でもあった。今季のJリーグでは、J1鹿島アントラーズのFW鈴木優磨が11ゴール9アシスト、J2町田ゼルビアMF平戸太貴が8ゴール12アシスト、J2大宮アルディージャMFマテウスが10ゴール9アシスト、J2横浜FCMFレアンドロ・ドミンゲスが9ゴール10アシスト(10/6時点)と惜しい状態までたどり着きながら未達成状態だった。
vs相模原戦へ
次節SC相模原戦では、大学時代の同期であるCB森本大貴と対峙することとなる。それぞれ、辿り着く経緯は異なるが、中川は東京U-23やスペインを経由して。森本は加入した松本からのレンタルにより。トリッキーなムービングでディフェンスラインを翻弄する中川風希と、圧倒的な制空権と守備力で片翼を奪う森本大貴の対戦にぜひとも注目してほしい。
中川風希の動画
プロフィール
選手名 | 中川風希|Kazaki Nakagawa |
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出身地 | 埼玉県 |
生年月日 | 1995年7月3日 |
身長・体重 | 175cm・68kg |
現所属チーム/背番号/利き足 | FC琉球(J3)/#13/右足 |
年度別来歴
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