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【イングランド代表】代表で存在感が増している “ジャマイカ系” イングランド人選手

 

かつてはイギリスの植民地だったカリブ海に浮かぶ島国「ジャマイカ」

 

▽カリブ海に浮かぶ島国ジャマイカ。独立する1962年まで約300年間イギリス王国の植民地だったこともあり、現在もイギリス本土にもジャマイカにも多くの「ジャマイカの血」を引いた人たちが生活している。もちろんサッカー界にも多大な影響を与えている。

▽まず「ジャマイカ」と聞いて1番始めに頭に浮かぶのは100m、200m走の世界記録保持者である”人類最速の男”ウサイン・ボルトだろう。イングランドもFWラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)、FWセオ・ウォルコット(エバートン)、FWアーロン・レノン(バーンリー)といった世界屈指の「スプリンター」がいるが、彼らは”ジャマイカ系”イングランド人の選手だ。また、レバークーゼンに所属する快速FWレオン・ベイリーはジャマイカ生まれだが、イングランド人の血を引いているためイングランド代表に選出される資格を持っている。1966年に行われ自国開催のW杯以降、国際タイトルから遠ざかっているイングランド代表は本気で説得にかかるだろう。

▽そして今回、近年代表で存在感が増している”ジャマイカ系”イングランド人でイレブンを作成。いかに「ジャマイカの血」がイングランド代表に大きい影響を与えているかを確認しよう。

● ジャマル・ブラックマン(Jamal Blackman)
Pos :GK
生年月日:1993/10/27(24歳)
身長/体重:199cm/92kg
現所属:リーズ(イングランド2部)*チェルシーからのレンタル移籍


*チェルシー在籍時

▽身長199cmの大型GK。チェルシーの下部組織出身で、今季は2部のリーズで2番手GKを務めている。現在、イングランドはGKの選手層が非常に厚く、そのためイングランド代表に招集される可能性は極めて低いだろう。数年以内にに国籍をジャマイカへ変更する可能性もあるだろう。イングランドU-21代表経験あり。
 なお”ジャマイカ系”イングランド人のGKは非常に少なく、過去最も有名なのはEURO2004と南アフリカW杯で代表の正GKを務めていたデイビッド・ジェームズだろう。既に2014年に現役を引退しているため今回は選外となっている。

● カイル・ウォーカー(Kyle Walker)
Pos :RSB/CB
生年月日:1990/5/28(28歳)
身長/体重:178cm/70kg
現所属:マンチェスター・シティ

▽ジャマイカ人の父親を持つ快速SB。地元の古豪シェフィールド・ユナイテッドの下部組織出身で、09年夏にトッテナムへと引き抜かれた。17年にマンチェスター・シティへと完全移籍。イングランド代表では3バックの右のストッパーとして新境地を開拓。ロシアW杯ではベスト4進出に大きく貢献した。

● クリス・スモーリング(Chris Smalling)
Pos :CB
生年月日:1989/11/22(28歳)
身長/体重:194cm/81kg
現所属:マンチェスター・ユナイテッド

▽ジャマイカの血を引く大型CB。ミルウォールとメイドストーンの下部組織出身で、08年冬にフラムへと引き抜かれた。10年夏には名門マンチェスター・ユナイテッドへ完全移籍。時折見せる「集中力の欠如」からのラフな失点などで批判を食らうが、モウリーニョ政権ではレギュラーポジションを守り続けている。イングランド代表。


>まだまいるよ!ロシアW杯に出場した選手

● リアム・ムーア(Liam Moore)
Pos :CB
生年月日:1993/1/31(25歳)
身長/体重:185cm/86kg
現所属:レディング(イングランド2部)

▽2部No.1クラスのCB。レスターの下部組織出身で、ユース時代はキャプテンを務めていた。しかし、トップチームでポジションを掴むことが出来ず、16年夏にレディングへ完全移籍。17-18シーズンはフルタイム出場を果たし、オフシーズンにはプレミアリーグの中堅クラブが獲得に乗り出していた。しかし、8月末に2023年夏まで契約を延長して残留。イングランドU-21代表経験あり。

● ダニー・ローズ(Danny Rose)
Pos :LSB
生年月日:1990/7/2(28歳)
身長/体重:173cm/72kg
現所属:トッテナム

▽ジャマイカ人の祖父をもつ快速SB。リーズの下部組織出身で07年夏にトッテナムへと引き抜かれた。トッテナムでポジションを掴み始めた13-14シーズン以降も中々イングランド代表に呼ばれず。2015年にはジャマイカサッカー協会がジャマイカ代表への鞍替えを打診するもこれを拒否。2016年にイングランド代表へ初選出された。

● アレックス・オックスレイド=チェンバレン(Alex Oxlade-Chamberlain)
Pos :CMF/RMF/LMF
生年月日:1993/8/15(25歳)
身長/体重:180cm/70kg
現所属:リバプール

▽父親は元イングランド代表MFマーク・チェンバレン。マーク・チェンバレンの生まれはイングランドだが、両親は共にジャマイカ人だ。息子のアレックス・オックスレイド=チェンバレンもその「ジャマイカの血」を受け継いでおり、スプリントが魅力の選手だ。サウサンプトンの下部組織出身で11年夏にアーセナルへ完全移籍。17年夏にリバプールへ完全移籍するも、UEFAチャンピオンズリーグ準決勝1st legローマ戦で靭帯を負傷。ロシアW杯の出場権も逃した。イングランド代表。

● ルベン・ロフタス=チーク(Ruben Loftus-Cheek)
Pos :CMF
生年月日:1996/11/22(22歳)
身長/体重:191cm/88kg
現所属:チェルシー

▽イングランド期待の大型MF。父親はガイアナ人だが、同じくイギリスの植民地であったジャマイカの血も流れている。チェルシーの下部組織出身で15年にトップチーム昇格。17-18シーズンはクリスタル・パレスへレンタル移籍して活躍。ロシアW杯にも出場した。18-19シーズンからチェルシーに復帰。イングランド代表。


>イングランドを代表する「スピードスター」

● ラヒーム・スターリング(Raheem Sterling)
Pos :RMF/CF/LMF
生年月日:1994/12/8(23歳)
身長/体重:170cm/69kg
現所属:マンチェスター・シティ

▽ジャマイカ生まれの快速WG。2歳の時に父親が殺害され、5歳の時に母親と共にロンドンへ移住。03年8歳の時にロンドンのQPRの下部組織に入団。10年にリバプールの下部組織へ移籍し、12-13シーズンに大ブレイク。15年にマンチェスター・シティへと完全移籍。イングランド代表。

● アシュリー・ヤング(Ashley Young)
Pos :LMF/LSB
生年月日:1985/7/9(33歳)
身長/体重:175cm/65kg
現所属:マンチェスター・ユナイテッド

▽両親は共にジャマイカ人。スティブネイジ出身でジョン・ヘンリー・ニューマン・スクール(11歳~18歳)に通っていた。同級生には世界最高のF1ドライバーであるルイス・ハミルトンがいる。学校で一緒にサッカーをやっていたそう。ヤングは10歳でワトフォードの下部組織に入団。07年に完全移籍したアストン・ビラで大ブレイクし、11年夏にマンチェスター・ユナイテッドへ完全移籍。近年は出場機会を失っていたが、LSBへコンバートしたことで新たな才能が開花。ロシアW杯出場を果たした。

● カラム・ウィルソン(Callum Wilson)
Pos :CF
生年月日:1992/2/27(29歳)
身長/体重:180cm/66kg
現所属:ボーンマス

▽2018年11月にイングランド代表に初招集&初ゴールを記録した点取り屋。父親がジャマイカ人。コベントリーの下部組織出身で、13-14シーズンに3部で21ゴールを決めブレイク。14年夏に当時2部だったボーンマスへ引き抜かれ、同シーズンに45試合で20ゴール13アシストを記録しクラブ史上初のプレミアリーグ昇格の原動力となった。しかし、プレミアリーグ昇格後はニ度の前十字靭帯断裂に見舞われるなど長く怪我に苦しめられてきた。そんな悪夢から解放され、17-18シーズン途中に復帰すると好調をキープ。強豪チェルシーからの関心も伝えられる。

● ダニエル・スターリッジ(Daniel Sturridge)
Pos :CF
生年月日:1989/9/1(29歳)
身長/体重:188cm/76kg
現所属:リバプール

▽祖父母が共にジャマイカ人。地元バーミンガムのキャドバリーやアストン・ビラ、コベントリーの下部組織を経て03年にマンチェスター・シティの下部組織に入団。チェルシーへの移籍を経て13年冬にリバプールに入団。リバプールへ加入してからは約半分の月日を負傷離脱で過ごしていることもあり「ガラスの天才」と呼ばれる。イングランド代表。


イレブンの顔ぶれこちら!


▼GK
ジャマル・ブラックマン(リーズ/元イングランドU-21代表)

▼DF
カイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ/イングランド代表)
クリス・スモーリング(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド代表)
リアム・ムーア(レディング/元イングランドU-21代表)
ダニー・ローズ(トッテナム/イングランド)

▼MF
アレックス・オックスレイド=チェンバレン(リバプール/イングランド代表)
ルベン・ロフタス=チーク(チェルシー/イングランド代表)
ラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ/イングランド代表)
アシュリー・ヤング(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド代表)

▼FW
カラム・ウィルソン(ボーンマス/イングランド代表)
ダニエル・スターリッジ(リバプール/イングランド代表)

▽DFカイル・ウォーカー、DFダニー・ローズ、MFルベン・ロフタス=チーク、MFラヒーム・スターリング、MFアシュリー・ヤングはロシアW杯にも出場しており、いずれも代表の主力選手として活躍している。

▽以上の11名以外にも多くの”ジャマイカ系”イングランド人選手がプレーしている。これから惜しくもイレブンに入りそこねた選手を紹介する。

▼DF
ウェス・モーガン(レスター/ジャマイカ代表)*イングランド生まれだがジャマイカ代表を選択
エイドリアン・マリアッパ(ワトフォード/ジャマイカ代表)*イングランド生まれだがジャマイカ代表を選択
マイケル・ヘクター(シェフィールド・W/ジャマイカ代表)*イングランド生まれだがジャマイカ代表を選択
メイソン・ホルゲート(エバートン/イングランドU-21代表)
リース・オックスフォード(ウェストハム/イングランドU-20代表)
カイル・バートリー(WBA/イングランド)
ダニー・シンプソン(レスター/イングランド)
アンドレ・ウィズダム(ダービー/元イングランドU-21代表)
テイラー・ブラケット(レディング/元イングランドU-21代表)

▼MF
ラベル・モリソン(ラツィオ/元イングランドU-21代表)
アイザック・ヘイデン(ニューカッスル/元イングランド代表)
ジェイソン・パンチョン(クリスタル・パレス/イングランド)
ケビン・スチュワート(ハル・シティ/イングランド)
ルイス・ベイカー(リーズ/元イングランドU-21代表)
ジョーダン・カズンズ(QPR/元イングランドU-21代表)
アンドロス・タウンゼント(クリスタル・パレス/イングランド代表)
マイケル・アントニオ(ウェストハム/イングランド代表)
ネイサン・レドモンド(サウサンプトン/イングランド代表)
スコット・シンクレア(セルティック/元イングランドU-21代表)
アーロン・レノン(バーンリー/元イングランド代表)
ウェイン・ラウトリッジ(スウォンジー/元イングランドU-21代表)
ネイサン・ダイアー(スウォンジー/イングランド)
ロランド・アーロンズ(スロバン/元イングランドU-21代表)

▼FW
ルイス・グラバン(ノッティンガム・フォレスト/ジャマイカ代表)*イングランド生まれだがジャマイカ代表を選択
クレイトン・ドナルドソン(ボルトン/ジャマイカ代表)*イングランド生まれだがジャマイカ代表を選択
セオ・ウォルコット(エバートン/イングランド代表)
デマライ・グレイ(レスター/イングランド代表)
トロイ・ディーニー(ワトフォード/イングランド)
アンドレ・グレイ(ワトフォード/イングランド)
ドワイト・ゲイル(WBA/イングランド)
ボビー・リード(カーディフ/イングランド)
ジェームズ・ヴォーン(ウィガン/元イングランドU-21代表)
フレイザー・キャンベル(ハル・シティ/元イングランド代表)
アイザイア・ブラウン(リーズ/イングランドU-21代表)
ケマル・ルーフェ(リーズ/イングランド)

▽イレブンに選出した選手以外でこれだけ”ジャマイカ”系イングランド人の選手がいるとは驚きだ。これを機に”ジャマイカ系”イングランド人選手に興味を持っていただけたら幸いです。