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【クラブ紹介】マンUに加入した2人も!ウディネーゼからステップアップを遂げた選手たち

世界中にスカウト網を張り巡らせているウディネーゼ

▽これまで元イタリア代表GKディノ・ゾフや元イタリア代表FWアントニオ・ディ・ナターレなど数多くの名選手を輩出しているウディネーゼ。なぜウディネーゼは名選手をコンスタントに輩出し続けられるのだろうか?

▽その理由は世界中に散らばっているスカウトにあった。実にスカウトにかける予算はイタリア王者ユベントスの5倍以上にあたるという。

▽今回、かつてウディネーゼに在籍していた選手、どれだけウディネーゼがイタリアサッカー界に大きな影響を与えているかを検証してみた。
*現役選手のみです。
*1ユーロ=120円で計算
*移籍金は「Transfer Market」を参考にしています。

● サミル・ハンダノビッチ(Samir Handanovič)
代表:元スロベニア代表
Pos :GK
生年月日:1984/7/14(35歳)
身長/体重:193cm/92kg
現所属:インテル
ウディネーゼ在籍期間:04年夏~12年夏
ウディネーゼ通算:212試合260失点
加入時:フリー
移籍時:1500万ユーロ(約18億円)

▽35歳にして第一線で活躍する世界屈指のPKストッパー。母国の古豪ドムジャレの下部組織出身で、04年夏トップチームに昇格してから1年足らずでウディネーゼに引き抜かれた。レンタル移籍から復帰した2007-08シーズンから5シーズンに渡ってウディネーゼで正GKを務めた。特にウディネーゼ在籍最終年であった2011-12シーズンのパフォーマンスは圧巻であった。38試合でわずか35失点、さらにクリーンシートはおよそ半分の試合数にあたる17試合で記録。チームをセリエA3位に導く原動力となり、シーズン終了後にジュリオ・セーザルの後釜としてインテルに引き抜かれた。インテルへ移籍後もその勢いは留まることを知らず、13年から15年にかけてはセリエA記録である6本連続PKセーブを記録。現在セリエA通算で24本のPKを止めており、レジェンドGKジャンルカ・パリュウカの保持するPKストップ記録に並んだ。
▽元インテルの長友佑都とは非常に仲がよく、長友がガラタサライ移籍後も会うなど今でも交流を続けている。

● アレックス・メレト(Alex Meret)
代表:イタリア代表
Pos :GK
生年月日:1997/3/22(22歳)
身長/体重:190cm/82kg
現所属:ナポリ
ウディネーゼ在籍期間:2012年~2018年夏(2016年夏~2018年夏はレンタル移籍でSPALでプレー)
ウディネーゼ通算:2試合3失点
加入時:下部組織
移籍時:2200万ユーロ(約26億4000万円)

▽19年11月にイタリア代表デビューを飾ったナポリの正守護神。2012年にウディネーゼの下部組織に入団し、Bチームで主力選手としてプレーした。2014-15シーズンよりトップチームに定着し、2015-16シーズンのコッパ・イタリアでトップチームデビューを果たした。また、同シーズン終了後に行われたU-19欧州選手権ではイタリア代表の準優勝に大きく貢献。大会ベスト11にも選出された。翌2016-17シーズンはセリエBのSPALへレンタル移籍し、正GKとしてチームの49年ぶりのセリエA昇格と優勝に大きく貢献。翌2017-18シーズンもSPALでプレーし。ケガの影響で13試合の出場に留まったが印象的な活躍を披露。シーズン終了後にナポリに2200万ユーロの移籍金で引き抜かれた。ナポリ加入後も負傷に泣かされるが、コンディションさえ整えば正守護神としてプレーしている。

● マウリシオ・イスラ(Mauricio Isla)
代表:チリ代表
Pos :RSB
生年月日:1988/6/12(31歳)
身長/体重:176cm/75kg
現所属:フェネルバフチェ(トルコ)
ウディネーゼ在籍期間:07年夏~12年夏
ウディネーゼ通算:152試合7ゴール21アシスト
加入時:52万5000ユーロ(約6300万円)
移籍時:1390万ユーロ(約16億6800万円)

▽チリ代表を長く支えた守備のユーティリティプレイヤー。07年に行われたU-20W杯にチリ代表の主将として出場。この大会での活躍が認められ、同年夏にウディネーゼに引き抜かれた。入団当初はDMFやRSBなど様々なポジションで起用され、2009-10シーズン以降は不動のRWBとして活躍。3シーズンで6ゴール18アシストを記録するなどウディネーゼの快進撃を支えた。この活躍が認められ、12年夏にアサモアと共にユベントスに移籍。しかし、膝のケガなどの影響で期待通りの活躍が出来ず、2014-15シーズンからはQPRやマルセイユにレンタル移籍。16年夏にカリアリへ完全移籍し、翌年には現在も所属するフェネルバフチェへ活躍の場を移した。
▽非常に謙虚な性格で知られており、マルセイユへレンタル移籍した際には「自分はユベントスでプレーできるようなクオリティを持っていなかった」と語った。


イタリア名門クラブで最終ラインを支えた選手たち

● メディ・ベナティア(Medhi Benatia)
代表:元モロッコ代表
Pos :CB
生年月日:1987/4/17(31歳)
身長/体重:189cm/94kg
現所属:アル・ドゥハイル(カタール)
ウディネーゼ在籍期間:10年夏~13年夏
ウディネーゼ通算:97試合7ゴール
加入時:フリー
移籍時:1350万ユーロ(約16億2000万円)

▽ロシアW杯にも出場したモロッコ代表の元主将。マルセイユの下部組織出身で、05年にトップチーム昇格するも出場機会を得ることが出来ず。フランス2部のチームで数年間プレーした後に10年夏にウディネーゼに加入。ウディネーゼでは入団1年目から出場機会を掴み、3シーズンで97試合に出場。13年夏にローマへと引き抜かれた。新天地でも不動のレギュラーを務め、シーズン終了後にドイツ王者バイエルンへとステップアップ。しかし、度重なる負傷の影響で出場機会を得ることが出来ず、16年夏にユベントスへ移籍。2シーズンぶりにイタリア復帰を果たした。19年1月にカタールの強豪アル・ドゥハイルへ完全移籍。

● クリスティアン・サパタ(Cristián Zapata)
代表:元コロンビア代表
Pos :CB
生年月日:1986/9/30(33歳)
身長/体重:187cm/82kg
現所属:ジェノア
ウディネーゼ在籍期間:05年夏~11年夏
ウディネーゼ通算:194試合5ゴール7アシスト
加入時:50万ユーロ(6000万円)
移籍時:900万ユーロ(約10億8000万円)

▽2大会連続でW杯出場を果たしたコロンビア代表DF。コロンビアの名門、デポルティーボ・カリの下部組織出身でトップチームへ昇格した1年後の05年夏にウディネーゼへ引き抜かれた。当時、無名選手でありながら加入1年目から出場機会を掴み、ビジャレアルへ移籍する11年夏までウディネーゼの守備の柱として君臨した。ビジャレアルへ移籍した1年後、ACミランへ電撃加入。ACミランでは長く控えDFとしてチームを支えている。19年夏に契約満了に伴いジェノアへ移籍。
▽元ACミランの本田圭佑とは移動の飛行機で隣に座るなど非常に仲が良いことで知られる。2016-17シーズンのミラノダービーでサパタが試合終了間際に起死回生の同点ゴールを決めた際には、ベンチにいた本田圭佑と真っ先に抱き合った。アタランタに所属するコロンビア代表FWドゥバン・サパタとは従兄弟。彼も元ウディネーゼ。

● クワドォー・アサモア(Kwadwo Asamoah)
代表:ガーナ代表
Pos :LSB/CMF
生年月日:1988/12/9(31歳)
身長/体重:173cm/75kg
現所属:インテル
ウディネーゼ在籍期間:08年夏~12年夏
ウディネーゼ通算:134試合8ゴール9アシスト
加入時:100万ユーロ(1億2000万円)
移籍時:1800万ユーロ(約21億6000万円)

▽サイドと中盤のポジションをハイレベルにこなすアフリカ屈指のユーティリティプレイヤー。ガーナ生まれのアサモアは、07年にスイスのベリンツォーナに加入。しかし、労働ビザの関係で試合に出場することが出来ず、08年冬にトリノへレンタル移籍。半年後の08年夏にウディネーゼへと加入した。後半戦から出場機会を掴み、サイドや中盤など様々なポジションで出場。ユベントスへ移籍する12年夏までウディネーゼの中盤を支えた。ユベントス移籍後はLSBでの出場が増え、近年はほとんど中盤で出場することがなくなった。18年夏にインテルへフリートランスファーで移籍。


ナポリの中盤を支える選手たち

● ギョクハン・インレル(Gökhan Inler)
代表:元スイス代表
Pos :DMF
生年月日:1984/6/27(35歳)
身長/体重:183cm/79kg
現所属:イスタンブール・バシャクシェヒル(トルコ)
ウディネーゼ在籍期間:07年夏~11年夏
ウディネーゼ通算:162試合9ゴール
加入時:100万ユーロ(1億2000万円)
移籍時:1800万ユーロ(21億6000万円)

▽かつてスイス代表で主将を務めたボランチ。母国のバーゼルの下部組織からアーラウ、チューリッヒを経て07年夏にウディネーゼに加入。ウディネーゼでは加入初年度からレギュラーとしてプレーし、公式戦162試合に出場。在籍最終年となった2010-11シーズンはチームをリーグ4位に導く大活躍をみせた。11年夏に争奪戦の末、ナポリへと完全移籍。ナポリでも長くレギュラーとしてプレーした。2015-16シーズンはレスターでプレー。元日本代表FW岡崎慎司とは仲が良く、バスや飛行機での移動の際は隣の席に座ることが多かった。岡崎も「レスターでのベストフレンドは誰?」という質問を受け「インレル」と答えていた。2016-17シーズンより両親の母国であるトルコでプレー。現在はイスタンブール・バシャクシェヒルでプレーしている。

● ピオトル・ジエリンスキ(Piotr Zielinski)
代表:ポーランド代表
Pos :CMF
生年月日:1994/5/20(25歳)
身長/体重:180cm/75kg
現所属:ナポリ
ウディネーゼ在籍期間:11年夏~16年夏(14年夏から16年夏にかけてはエンポリへレンタル移籍)
ウディネーゼ通算:20試合2アシスト
加入時:10万ユーロ(1200万円)
移籍時:1400万ユーロ(約16億8000万円)

▽母国のルビンの下部組織出身で、セカンドチームに在籍していた11年夏にウディネーゼへと引き抜かれた。加入1年目はセカンドチームでプレーし、翌年にトップチームへ昇格。しかし、定位置を確保できず、14年夏に出場機会を求めて同じくセリエAに所属していたエンポリへ2年間のレンタル移籍。エンポリ移籍後2シーズン目となる2014-15シーズンにセリエAで35試合5ゴール6アシストを記録し大ブレイク。16年夏にナポリへと完全移籍を果たした。

● アラン(Allan)
代表:ブラジル代表
Pos :CMF
生年月日:1991/1/8(29歳)
身長/体重:180cm/73kg
現所属:ナポリ
ウディネーゼ在籍期間:12年夏~15年夏
ウディネーゼ通算:116試合2ゴール16アシスト
加入時:300万ユーロ(3億6000万円)
移籍時:1150万ユーロ(約13億8000万円)

▽ナポリの中盤に欠かせないダイナモ。2011年にフェリペ・コウチーニョ(バルセロナ)やカゼミーロ(レアル・マドリード)らと共に2011年U-20W杯の優勝に大きく貢献。翌年の12年夏にグラナダに引き抜かれ、提携クラブであるウディネーゼに即レンタルされた。加入1年目から36試合に出場するなど主力として活躍。2年後の14年夏に完全移籍で正式にウディネーゼの選手となった。在籍した3シーズンで116試合に出場し、15年夏にナポリへと完全移籍。ナポリでも主力選手としてプレーしており、公式戦200試合近く出場している。


ウディネーゼが輩出した「逸材」たち

● ブルーノ・フェルナンデス(Bruno Fernandes)
代表:ポルトガル代表
Pos :OMF
生年月日:1994/9/8(25歳)
身長/体重:179cm/69kg
現所属:マンチェスター・ユナイテッド(イングランド)
ウディネーゼ在籍期間:13年夏~17年夏(16年夏から17年夏にかけてはサンプドリアへレンタル移籍)
ウディネーゼ通算:95試合11ゴール13アシスト
加入時:250万ユーロ(3億0000万円)
移籍時:600万ユーロ(約7億2000万円)

▽ポルトガルのレジェンド、マヌエル・ルイ・コスタの後継者と期待されるポルトガル代表MF。ボアビスタの下部組織出身で、12年夏にセリエBのノバーラへ移籍しブレイク。翌年13年夏にウディネーゼへ引き抜かれた。同年の11月頃からスタメンの座を確保。攻撃的な選手であるが、守備時の貢献度も高いためボランチの位置で起用されることもあった。サンプドリアへ移籍する16年夏まで3シーズンに渡って活躍。17年夏にポルトガルの強豪スポルティングへ完全移籍し、5年ぶりに母国へ復帰を果たした。2018-19シーズンからは主将を務め、同シーズンはリーグ戦33試合で20ゴール13アシストの大車輪の活躍。2020年1月30日にマンチェスター・ユナイテッドへの完全移籍が発表。移籍金は最大8000万ユーロに及ぶ大型移籍となった。

● ファン・クアドラード(Juan Cuadrado)
代表:コロンビア代表
Pos: RMF
生年月日:1988/5/26(31歳)
身長/体重:179cm/72kg
現所属:ユベントス
ウディネーゼ在籍期間:09年夏~12年夏
ウディネーゼ通算:24試合0ゴール
加入時:非公開
移籍時:2000万ユーロ(約24億0000万円)

▽コロンビアのスピードスター。コロンビアのインデペンディエンテ・メデジンの下部組織出身で、トップチームへ昇格した1年後の09年夏にウディネーゼへ引き抜かれた。コロンビア時代はサイドバックを務めていたが、イタリアへ移籍してからはスピードと攻撃性を買われ1列前で起用されるようになった。しかし、ウディネーゼでは出場機会に恵まれず、11年夏に同じくセリエAのレッチェへレンタル移籍。セリエA33試合に出場するなど印象的な活躍を見せた。翌シーズンからはフィオレンティーナへ移籍し、2シーズン半に渡り大活躍。セリエA屈指のスピードスターとして名を馳せるようになった。15年冬にチェルシーへステップアップを果たすも、わずか半年後の15年夏にユベントスへと活躍の場を移した。

● アレクシス・サンチェス(Alexis Sánchez)
代表:チリ代表
Pos :LWG/CF
生年月日:1988/12/19(31歳)
身長/体重:169cm/62kg
現所属:インテル
ウディネーゼ在籍期間:06年夏~11年夏
ウディネーゼ通算:112試合21ゴール20アシスト
加入時:300万ユーロ(3億6000万円)
移籍時:2600万ユーロ(約31億2000万円)

▽ウディネーゼ産の最高傑作。母国コブレロアの下部組織出身で、トップチームに昇格してからおよそ1年半後の06年夏にウディネーゼへ引き抜かれた(当時17歳)。加入直後は出場機会確保のためコロコロ(チリ)やリーベル(アルゼンチン)へレンタル移籍し、08年夏にウディネーゼへ復帰。2008-09シーズンから2010-11シーズンまで主力として活躍し、11年夏にバルセロナへと完全移籍。バルセロナでもコンスタントに出場機会を得るも、ブラジル代表FWネイマールの加入などが影響し14年夏にアーセナルへ完全移籍。18年冬にアルメニア代表MFヘンリク・ムリタリアンとのトレードでマンチェスター・ユナイテッドへ加入した。しかし、マンチェスター・ユナイテッドではスランプに陥り、19年夏よりインテルでプレー。


セリエAを代表するストライカーたち

● ファビオ・クアリャレッラ(Fabio Quagliarella)
代表:イタリア代表
Pos: CF
生年月日:1983/1/31(37歳)
身長/体重:180cm/79kg
現所属:サンプドリア
ウディネーゼ在籍期間:05年夏~09年夏
ウディネーゼ通算:87試合33ゴール
加入時:フリー
移籍時:1800万ユーロ(21億6000万円)

▽現役選手で最もセリエAでゴールを奪っている衰え知らずのストライカー。これまでユベントスやナポリ、トリノといっイタリアを代表するクラブを渡り歩いてきたクアリャレッラだが、キャリアの転機となったのはウディネーゼであった。トリノの下部組織出身で1999-00シーズンにセリエAデビューしたクアリャレッラだが、当時トリノはセリエBとセリエAを行き来しており、05年にトリノは財政難により破産。ウディネーゼへと完全移籍し、2005-06シーズンはアスコリ、翌2006-07シーズンはサンプドリアへレンタル移籍してプレーした。サンプドリアではセリエAで13ゴールを記録し、07年3月にはA代表デビューを飾った。翌2007-08シーズンよりウディネーゼに復帰し、絶対的エースであるアントニオ・ディ・ナターレらとゴールを量産した。09年夏にナポリに完全移籍。10年夏より所属したユベントスでは2011-12シーズンよりリーグ3連覇を経験した。その後、下部組織を育ったトリノを経て16年冬にサンプドリアにおよそ10年ぶりに復帰。2017-18シーズンはセリエAでキャリアハイの19ゴールを記録。さらに2018-19シーズンはそれを上回る26ゴールを記録し、セリエA得点王に輝いた。また、同シーズンに1994-95シーズンにガブリエル・バティストゥータが打ち立てたセリエA連続試合得点記録に並ぶ11試合連続ゴールを記録。19年3月にはおよそ4年ぶりに代表復帰。EURO 2020予選リヒテンシュタイン戦で2ゴールを記録し、イタリア代表史上最年長ゴールをおよそ11年ぶりに塗り替えた。

● ドゥバン・サパタ(Duván Zapata)
代表:コロンビア代表
Pos: CF
生年月日:1991/4/1(28歳)
身長/体重:186cm/80kg
現所属:アタランタ
ウディネーゼ在籍期間:15年夏~17年夏(ナポリからのレンタル移籍)
ウディネーゼ通算:65試合19ゴール

▽アタランタの躍進を支える大型FW。母国のアメリカ・デ・カリでプロデビューを果たし、11年より在籍したアルゼンチンのエストゥディアンテスでブレイク。13年にイタリアの強豪ナポリに引き抜かれた。しかし、当時ナポリでは絶対的エースであるゴンサロ・イグアインがゴールを量産しており、控えに留まっていた。2015-16シーズンよりウディネーゼへ2年間のレンタル移籍。1年目はセリエAで8ゴール、2年目は10ゴールを記録するなど結果を残した。2017-18はサンプドリアへ買い取りオプション付きのレンタル移籍を果たす。サンプドリアではクアリャレッラと2トップを形成し、セリエA31試合で11ゴールを記録。シーズン終了後に完全移籍となった。ロシアW杯に出場するコロンビア代表候補に入るが、負傷の影響でメンバーから外れた。2018-19シーズンよりアタランタへ買い取りオプション付きのレンタル移籍。アタランタではリーグ初ゴールを記録するまでに11節を要したが、第14節からは8試合連続ゴール(14ゴール)を記録。チームもサパタと同じく好調を維持し、セリエAを3位でフィニッシュ。クラブ史上初のUEFAチャンピオンズリーグ出場権を獲得した。

● ルイス・ムリエル(Luis Muriel)
代表:コロンビア代表
Pos: CF
生年月日:1991/4/16(28歳)
身長/体重:179cm/79kg
現所属:アタランタ
ウディネーゼ在籍期間:10年夏~15年夏(10年夏~11年夏までグラナダ、11年夏~12年夏までレッチェ、15年冬~15年夏までサンプドリアへレンタル移籍)
ウディネーゼ通算:65試合19ゴール
加入時:150万ユーロ(1億8000万円)
移籍時:1200万ユーロ(14億4000万円)

▽10代の頃からコロンビアの未来を担うとされていたストライカー。チームメイトで同胞のサパタとは同い年でムリエルの方が2週間遅く生まれている。母国のデポルティーボ・カリで頭角を現し、19歳となった10年夏にウディネーゼへと引き抜かれた。レンタル移籍を経て2012-13シーズンよりウディネーゼに復帰。同シーズンはセリエAで22試合11ゴールを記録し、当時ACミランに所属していたステファン・エル・シャーラウィと共にセリエAの年間最優秀若手選手に選出された。15年冬よりサンプドリアへ移籍。2017-18シーズンより当時のクラブレコードでセビージャに移籍。しかし、ウィサム・ベン・イェデルらの牙城は高く、19年冬にフィオレンティーナへレンタル移籍。2019-20シーズンより完全移籍でアタランタでプレーしている。

● オディオン・イガロ(Odion Ighalo)
代表:元ナイジェリア代表
Pos: CF
生年月日:1989/6/16(30歳)
身長/体重:181cm/73kg
現所属:マンチェスター・ユナイテッド(イングランド) *上海申花よりレンタル移籍
ウディネーゼ在籍期間:08年夏~14年夏(ウディネーゼでプレーしたのは2008-09シーズンのみ。それ以外はチェゼーナとグラナダへレンタル移籍。)
ウディネーゼ通算:5試合1ゴール
加入時:190万ユーロ(2億2800万円)
移籍時:800万ユーロ(9億6000万円)

▽20年冬にマンチェスター・ユナイテッドへと加入したアフリカ・ネーションズカップ2019得点王。05年に母国でプロデビューを飾り、08年からプレーしたノルウェーのFKリンでブレイク。09年夏にウディネーゼに引き抜かれた。しかし、当時のウディネーゼの前線にはディ・ナターレやサンチェス、クアリャレッラらがプレーしており、09年夏よりオーナーが同じグラナダへレンタル移籍(2010-11シーズンの前半戦のみチェゼーナでプレー。当時は長友佑都も在籍)。およそ5シーズンのグラナダでの生活を経て、14年夏に当時イングランド2部に所属していたワトフォードにレンタル移籍(こちらもウディネーゼとオーナーが同じ)。徐々に出場機会が増え、ゴールを決め始めた10月に完全移籍に移行し正式にワトフォードの選手となった。同シーズンにリーグ戦20ゴールを記録し、ワトフォードのプレミアリーグ昇格に大きく貢献。昇格初年度の2015-16シーズンはプレミアリーグでチームトップの16ゴールを記録し大ブレイクを遂げた。続く2016-17シーズンは大スランプに陥り、第22節終了時点でわずか1ゴール。冬の移籍市場最終日に中国の長春亜泰へ完全移籍。19年には上海申花へと完全移籍した。中国スーパーリーグでは72試合46ゴールを記録した。19年夏に行われたアフリカ・ネーションズカップでは5ゴールを記録し大会得点王に輝くと同時にナイジェリア代表を3位に導く原動力となった。大会終了後に代表引退を表明。20年冬にFWのオプションに欠けるマンチェスター・ユナイテッドへのレンタル移籍が発表された。

▽以上16名の選手で得た純利益(移籍時ー獲得時)がおよそ2億987万ユーロ(251億8500万円)にも及び、獲得の際に支払った金額のおよそ「15倍」の移籍金で他クラブへ移籍している。様々な選手を調べたが、スカウトで発掘してきた選手のほとんどを最終的に他クラブへ”売却していた”。契約満了で退団させず、選手の「売り時」を考えて1番高く売れる時期に他クラブへ移籍させる。「スカウティング」と「セリング」の両方のテクニックを持ち合わせていなければこのような経営方法は成立しない。このような経営方針のクラブは、世界中探してもウディネーゼとブラジルのトンベンセぐらいだろう。

▽以上の11名以外にも多くの選手がウディネーゼからステップアップを遂げいる。

GK
オレスティス・カルネジス(現ナポリ/ギリシャ代表)13年夏~18年夏

DF
シルヴァン・ヴィドマー(現バーゼル/スイス代表)13年夏~18年夏
ドウグラス・サントス(現ゼニト・サンクトペテルブルク/ブラジル代表)13年夏~15年夏

MF
アベル・アギラール(現ウニオン・マグダレナ/元コロンビア代表)05年夏~10年夏
ロマン・エレメンコ(現ロストフ/元フィンランド代表)05年夏~08年夏
アントニオ・カンドレーバ(現インテル/イタリア代表)07年夏~12年冬
ロベルト・ペレイラ(現ワトフォード/アルゼンチン代表)11年夏~15年夏
イグナシオ・プッセート(現ワトフォード/アルゼンチン)18年夏~20年冬

FW
アサモア・ギャン(現カイセリスポル/ガーナ代表)03年夏~08年夏
マチェイ・ヴィドラ(現バーンリー/チェコ代表)10年夏~15年夏
シリル・テレオー(現フィオレンティーナ/フランス)14年夏~17年夏
アイザック・サクセス(現ワトフォード/ナイジェリア代表)14年冬~14年夏 *下部組織

▽記事で選出した選手以外でこれだけの選手を輩出している。現所属を含めて、これからウディネーゼでプレーする選手はチェックしておくべきだろう。