【#2018開幕展望】名古屋グランパス

 あれから1年3ヶ月が過ぎた。『J1を維持するオリジナル10』からの落日は、サポーターからの信頼を失わせるに十分な出来事だった。しかも、残留に向けた契約更改において、功労者と呼べる選手たちに対する仕打ちの酷さまでもが露呈し、2011年に得た戴冠とはかけ離れた感情を抱くまでになっていた。



 風間新監督、FW佐藤寿人らを迎えて挑む初のJ2。J2で長く叩き抜いてきたチームたちは、新参者に容赦がなかった。それでも逞しく戦った。シーズン途中からはMFガブリエル・シャビエルが加わり、加速度を増した。
 J2POを経て昇格を掴んだが、主将を務めた田口泰士はジュビロ磐田へ移籍。7年前の優勝はおろか2年前のJ1時代さえ知る選手はGK楢崎正剛とFW玉田圭司だけとなった。継続して在籍しているのは楢崎だけだ。
 2季ぶりのJ1となる戦いには、FWジョー、DFホーシャといった実力者からMF秋山陽介、DF菅原由勢といったルーキーやユースの若手まで、新たな選手が名を連ねた。

 【正守護神争い】
 争うこともなく、新加入のGKランゲラクに収まりそうだ。もちろん大ベテランの楢崎の力を必要とするときもあるだろうが、キーパーとしてのスケール感を考えればランゲラクがメイン起用されることとなる。

 【ディフェンダーユニット】
 川崎時代の風間監督と考え方は同じだろう。本来攻撃的なMF和泉竜司や秋山をDF登録することで後方からのつなぎを強める。しかし、CB櫛引一紀ら現状戦力ではJ1を戦い抜くことは厳しく、CBホーシャの獲得に至ったようだ。そして、彼との連携に最もフィットした現・高校2年の菅原由勢にスポットが当たる。開幕カードのガンバ戦で、小学生・中学生の頃から同年代の代表世代を共に牽引してきたFW中村敬斗とマッチアップする可能性がある。

 【オーガナイズを否定するための中盤】
 川崎時代から変化があるとすれば、中盤でのオーガナイズ性を圧倒的に否定することだろうか。RSB宮原和也、LSB秋山陽介、RWG青木亮太、LWGガブリエル・シャビエルといったコントローラーを数多く携えているからこそなせる業だが、中盤にはレシーブを中心としたボール回しに定評のあるMF和泉竜司・MF長谷川アーリアジャスールとMF小林裕紀を組み合わせることで、ボール回しに徹するメンバーを揃えた。

 【前線に座るは…】
 CFジョーを中心に、青木とシャビエルが外で待ち構える。約20年前、中盤支配を否定するためにルイス・フィーゴらウィンガーをサイドに据えた形が席巻した。類似した形だが、風間グランパスは一線を画す。ワイドに張ったパサーと中盤のレシーバーメンバーを配した、まるでバスケットボールのセンター・ポイントガード・スモールフォワードようなポジショニングを形成する。



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