【U-21日本代表】なるべくして待ち受けた完敗の現実

【U-21日本代表】なるべくして待ち受けた完敗の現実

 CB立田悠悟(清水エスパルス)が自陣ペナルティエリアで受けたパスにはすでに暗澹たる悲壮感がこもっていた。オールコートマンツーマンでプレスしてくる前方の相手をかわすための仕掛けが完遂する前に、両足の間からボールを奪われて2点目を喫した。一秒間に起こった多くの問題点は、選手たちから反撃の意識以上に現状のリカバーで頭を埋め尽くすに充分なものとなった。
 0-4の結果を『2歳差』の理由で片付けるのはあまりに安易で未来がない。東京世代で今回招集されていないメンバーにこそ、実力を持った選手たちがいる。今回のメンバーが選ばれ続けるには、何が良くて何が悪かったのかを理解する必要が、ある。




 シュート数4-20の圧倒差からも分かる通り、点数以前にフィニッシュワークに持ち込めたかどうかにまず大きな差もあったが、その攻撃陣も、首尾にまわっていたのだから、『守備』の話から始める必要がある。

 1点目の決まる前、中央で大きめのトラップをした立田がこの画像後、ボールを奪われかける。結局慌てて右のCB原輝綺(アルビレックス新潟)に出そうとしたボールをインターセプトされ、シュートを放たれてしまう。その後も同様だ。ボランチラインや原にプレスを掛け続けたMFドストンベク・ハムダモフの縦の推進に対する意識は、ピッチ内随一で、彼に睨まれればボールを戻す、回してる間にロストまたはペネトレイトを許し、失点やシュートを許してしまう展開が続いた。

 攻撃的志向のチームと今後も当たるケースはあり、そもそも森保ジャパンは守備的志向も持ち合わせるチームである。技術力以外も必要になるが、今回打ち出したいのは【リスクマネジメント】に対する頭の使い方だろう。

 この2失点目のシーンは大問題だ。
1.GK小島亨介(早稲田大)が、ゴールキックでCB古賀太陽(柏レイソル)の足元にゆるいスピードのボールで配給した点
2.MF岩崎悠人(京都サンガ)の蓋と引き出しが全くない点
3.古賀が無理と判断して小島に戻すも、小島が慌てて受け状態のMF井上潮音に出してしまった点
4.プレスを受けていた井上が、相手選手が近くにいるのにもかかわらず、自陣ペナルティエリア中央の立田に出した点
5.立田がかわすために相手選手を背にする構図になってしまった点
6.MF神谷優太(愛媛)、井上、古賀含め、ボールを受ける体制や指示出しがなかった点
結局、このボール奪取から得点したのはMFドストンベク・ハムダモフ。
幾度となく原と立田を突いてきていたが、やはり実った形だった。




 ディフェンスの戦術や基本的なボール扱いの技術もそうだが、「どういう」ときに「どう行動する」かの落とし込みや、ぶつかりあうという意味でのデュエルではなく、プレスされた際のいなし方など、実践的な『戦うため』の根本に差があった。
 MF岩崎悠人が明らかに分かりやすかったが、森保監督の守備戦術上、攻撃時や守備時でのポジショニングが雑だったり、間の詰め方や相手との距離感・味方との距離感など、『世代のトッププレイヤー』だからといって許されてきたとは言い難い戦術理解の数々があまりにも多すぎた。
 スカウティングされていたというよりは、「踏み込めば萎縮する」と前半序盤の段階で格付けが完了してしまっていた。この試合で言えば、2失点目あたりで、岩崎やMF高木彰人(ガンバ大阪)を交代し、カンフル剤を注入してみるのは手だったのかもしれない。



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