【セリエA】ユヴェントスが遮断したナポリのラストパス

ナポリ(H) 1-1 ユベントス(A) | 03-Apr-17

7分に先制したユヴェントス。その後はナポリが攻め込み、ユヴェントスが跳ね返す展開となりますがスタッツにユーヴェ守備陣の狙いが表れています。
データ分析会社「Instat」社から、まずはパスのスタッツを振り返りましょう。

 

ナポリ ユヴェントス
総パス 776 507
成功数 686 441
成功率 88% 86%
ロングパス 22 44
成功数 14 36
成功率 63% 81%
クロス 15 4
成功数 2 0
13% 0

 

パス総数776本

ナポリは片方のサイドを捨ててかなりの密集地帯を作ります。ユヴェントスも4-4ブロックを緊密に保ちながら全員帰陣。ナポリが同点に追いつくまでのあいだ、ハーフコートゲームかつ超コンパクトネスのゲームでした。

 

左サイドから右サイド、右サイドから左サイドへ。
ショートパスを繋ぎながら、最後は逆サイドに振って仕留めるのがナポリの攻撃パターンです。
まるで定規で線を引くかのようにボールはスピード感を持って対角線の軌道に乗るところを、ユヴェントスは遮断しにかかります。

 

 

さてユヴェントス監督のアッレグリはどんなプランを用意したか。
– 右MFに守備を得意とするレミナを起用
– 左MFのマンジュキッチと右MFのレミナは深い位置まで下がり、サイドバックと一緒に相手を挟む
– マルキージオはボールホルダーに寄り、ケディラが中央を埋めてフリーで飛び込むメルテンス(+インシーニェ)を警戒
– フリーで受けたがるメルテンスに対して、ケディラ、ボヌッチ、キエッリーニが3人でマークの受け渡しをする
– ペナルティーアーク付近をボヌッチとキエッリーニが締めて、最終ラインを細かくチューニング
– 相手のボールを引き出す前後の動きにはボヌッチとキエッリーニのどちらかがマーク

ここまでの段取りを整えて、ナポリからみて左から右サイドへ振るクロス(ラストパス)にはキエッリーニが対応。ラストパスの回路を断ちました。

 

“ナポリ対策”はほとんどのチームがこの手でいきますが、わかっていてもやられるのが難しいところ。最後はどうしても真ん中を破られます。先にも触れましたがユヴェントスはケディラ、ボヌッチ、キエッリーニのポジショニングにミスがありません。失点するまで硬く、とても美しい陣形を整えました。

 

両者の平均ポジションマップ

ユヴェントスはボヌッチとキエッリーニが中央に位置して綺麗なラインを形成

両サイドのMFがサイドバックの位置まで吸収されているのがよくわかる

 

ロングボール成功率63%
クロス15本のうち成功2本

ユヴェントスはセットした状態で待ち構えるのではなく、ナポリがロングボールを入れてくることを見越して対策を怠りません。
例えば十数メートル先のボールホルダーに対して細かなライン調整を図る動きで牽制。ロングボールの行き先を限定させる高度なタスクを実行します。
クロスに対してもボヌッチ、キエッリーニ、ケディラのいずれかがフリーで走り込んでくるフィニッシャーをケア。同点に追いつかれるまでの対応はパーフェクトと言っていいでしょう。

 

ただし、試合運びではユヴェントスの狙い通りというわけにはいかず。実際にナポリのアタックは鋭く、ラストパスのクオリティは紙一重。

 

ユヴェントスの選手配置は攻撃時に大きく幅をとりたがります。
押し込まれてコンパクトになった状態から、いったんロングボールで散らし、縮まったポジショニングを引き伸ばす狙いがあるためです。ただ、ナポリもすぐに回収することに成功しています。この均衡をどれだけ打開するかがカギとなるでしょう。

 

4月6日にコッパ・イタリア準決勝2ndレグを控える両者。ナポリのホームで中2日の2連戦。
1stレグはユヴェントス3-1ナポリ。この1戦を受けてアッレグリとサッリは更にどのようなプランを用意してくるのか注目です。

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